【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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アヴニール編【学園編】

あの子はだあれ?

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「いよいよデビュタントね。いってらっしゃい。」

2歳年上の姉が、見送ってくれた。

「キャッツアイ、アヴニール 素敵だよ。」

お母さまとお父様も。


お兄様は、王太子として参加するから、先にもうお城にいる。


「じゃあ行ってきます!」

大好きなキャッツアイ先輩と手を繋いで。
俺は大人への第一歩を踏み出すんだ。





豪華で重たそうな扉が開いて、中へ踏み出す。

何回か来たことのあるお城だけれど、やっぱり緊張する。

「よう!」


「キリア~!」


キリアは、先生の部下の一人のキャット先生とペアを組んでいる。

今日のキャット先生は、お花が開いたような女物のドレスを着ていて、清純そうにみえる。

先輩がキリアのパートナーにあうように、見繕ってくれたんだって。



「こんばんは、アヴニール様。」

純朴で可愛い感じの見た目だけど、ビッチなんだってキャッツアイ先輩が言ってたなあ。


「こんばんは。キリアくん、キャット。キャットは若く見えるから、なかなかお似合いじゃないか。」


「そうですかねぇ~。」

んー。なんかキリアと先輩の間に火花が見える気がするけど、気のせいかな?









「お、おい。アヴニールみたか?」

「ああ、みたみた。淡い水色の衣装を着て、すごくかわいかったな!」

「クライス先生と一緒にいるティンカー先生もやばいくらい綺麗だったぁ~。」

「キャット先生やらせてくれないかなぁ。」

「ジュリエッタ先輩が参加されないから残念だったけど、今年は可愛い子も綺麗な子も多いよな!」


つかつかつか。


副会長を伴って、貴公子のような豪奢な服を着たグラス会長が歩いてくる。

向かうは、アヴニール一直線!



「あっ!」



そのとき、服の裾をひっかけて、だれかを転ばしてしまった。


「すまない…。」

手を貸して、起こそうとして。びっくりする。


「いえ、平気ですから…!」

そこにいるのは、輝くばかりのアフロディテ。


美の女神は、さっとどこかへ駆けて逃げてしまった。



「あの子は誰だろう?見たことがないが。」


「広い学園ですからね。」



会長は、向き直ってアヴニールのもとへ。







やっぱり、アヴニールが一番かわいい。




「キャッツアイ=ブライト! 私はアヴニールが好きだ!必ず在学中に振り向かせて見せる!! だからアヴニール、私と踊ってくれ!」


「アヴニールは私の婚約者だ!婚約指輪が見えないのか!ダンスと私と踊るに決まってるだろう!」

「楽しいのが一番だよな!? こんなやつらほっといて、俺と飯食いに行こうぜ!」


「あっ、僕もごはんっ♡」


「ええ、みんな俺と一緒がいいの?困ったなあ…。」



アヴニールは、壁の花になっているサザエルを発見した。


「俺、サザエルと踊る!」



そんなにみんなが喧嘩するなら、勝手にすればいい。
みんなが喧嘩しないように、ここにいない者を選んだアヴニールは、サザエルと踊り始めた。


「誰?あの地味な子。」

と口々にいう中。

グラス王太子は、先ほどぶつかった子に似てる気がするなと思うのだった。


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