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アヴニール編【学園編】
デビュタントが迫る。
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「いやぁ、懐かしいなぁ。取っておいてよかった。貧乏性も役に立つものだ。」
放課後、ミカエルさんとハデスさんのおうちに、キリアを連れて行った。
ミカエルさんはお仕事があるので、ハデスさんが俺たちの迎えがてら、迎えてくれた。親切!
ハデスさんは、衣装棚からきちんと収納された衣装を取り出すと、キリアにあててくれている。
「当時の俺とあまり体格が変わらないからピッタリだ。直さなくていいね。」
キリアはなんだか照れくさそう。
「申し訳ないです。ありがとうございます。」
「全然気にしなくていいよ。俺も男爵家の3男だったから、そこまで上等なものじゃないし。なんならあげるよ。俺も息子がいるけど、どちらかというとミカエルに似ていて、俺みたいな大柄じゃないからサイズが会わないんだ。」
「そういえば、ヘラさまは昨年卒業されたから…。あっ!サザエル様ってもしかして俺たちの1学年上!?」
「そうだよ。学園って広いから学年も違うとなかなか会わないよね。あの子は大人しいし。」
「俺のお姉さまも本当だったら最終学年だけど、さっさと卒業単位とって通ってないしなあ。」
「えっ。お前のお姉さまってそうだったの?」
「そうだよ、お姉さまは頭がめちゃくちゃいいんだよ。サウス王国の王妃になるから、お城に通って先代の王妃様に色々教えてもらっているみたい。そっちの方がためになるんだって。」
「おかーさま。あら、いやだ!お客様?」
長身の女の子が部屋に入ってくる。
「もう、ヘラ。入るときはノックしなさいって、いつも言っているでしょう。そんな調子だといつまでも結婚相手が現れないよ?」
「いいのよ。そしたらずっと、この家にいるんだから。というか、私が可愛い女の子のお嫁さんもらったらどうかしら。」
ハデスさんにそっくりの女の子が、ぷうと口を尖らせた。
「もう、サザエルが嫁に行けばいいのよ。私がこの家継ぐから!」
「ひどいよ、姉さん。」
ヘラの後ろから、前髪の長い男の子が現れた。
モップ?
「またサザエルはそんな髪型して。前がみえないでしょ。」
「えっ、ちょっと!待って!やめておかあさ
ハデスさんが、クリップで前髪をあげた。
これはまたミカエルさんそっくりの美少年。
これだけ可愛ければ学園で噂になってもおかしくないのに、きっとモップみたいな髪型で顔を隠して平穏にやりすごしているんだろう。
「俺は顔を見せたくないの…!お母さまやお姉さまみたいな顔がよかった…。」
この顔のせいで今までどんなセクハラを受けてきたか…。
ハデス親子の会話を聞きつつ、2人は屋敷を後にした。
「いろんな家庭、いろんな事情があるんだなあ。」
「可愛いと得なこともあるけど、困ったこともあるよな。俺は普通でよかった。」
いよいよ来週がパーティか。
敷地に停めている馬車で帰ろうとすると、キャッツアイが迎えに来ていたので、みんなで帰る。
キリアが降りるまで、終始無言で、キャッツアイとキリアは笑顔でにらみあっていた。
放課後、ミカエルさんとハデスさんのおうちに、キリアを連れて行った。
ミカエルさんはお仕事があるので、ハデスさんが俺たちの迎えがてら、迎えてくれた。親切!
ハデスさんは、衣装棚からきちんと収納された衣装を取り出すと、キリアにあててくれている。
「当時の俺とあまり体格が変わらないからピッタリだ。直さなくていいね。」
キリアはなんだか照れくさそう。
「申し訳ないです。ありがとうございます。」
「全然気にしなくていいよ。俺も男爵家の3男だったから、そこまで上等なものじゃないし。なんならあげるよ。俺も息子がいるけど、どちらかというとミカエルに似ていて、俺みたいな大柄じゃないからサイズが会わないんだ。」
「そういえば、ヘラさまは昨年卒業されたから…。あっ!サザエル様ってもしかして俺たちの1学年上!?」
「そうだよ。学園って広いから学年も違うとなかなか会わないよね。あの子は大人しいし。」
「俺のお姉さまも本当だったら最終学年だけど、さっさと卒業単位とって通ってないしなあ。」
「えっ。お前のお姉さまってそうだったの?」
「そうだよ、お姉さまは頭がめちゃくちゃいいんだよ。サウス王国の王妃になるから、お城に通って先代の王妃様に色々教えてもらっているみたい。そっちの方がためになるんだって。」
「おかーさま。あら、いやだ!お客様?」
長身の女の子が部屋に入ってくる。
「もう、ヘラ。入るときはノックしなさいって、いつも言っているでしょう。そんな調子だといつまでも結婚相手が現れないよ?」
「いいのよ。そしたらずっと、この家にいるんだから。というか、私が可愛い女の子のお嫁さんもらったらどうかしら。」
ハデスさんにそっくりの女の子が、ぷうと口を尖らせた。
「もう、サザエルが嫁に行けばいいのよ。私がこの家継ぐから!」
「ひどいよ、姉さん。」
ヘラの後ろから、前髪の長い男の子が現れた。
モップ?
「またサザエルはそんな髪型して。前がみえないでしょ。」
「えっ、ちょっと!待って!やめておかあさ
ハデスさんが、クリップで前髪をあげた。
これはまたミカエルさんそっくりの美少年。
これだけ可愛ければ学園で噂になってもおかしくないのに、きっとモップみたいな髪型で顔を隠して平穏にやりすごしているんだろう。
「俺は顔を見せたくないの…!お母さまやお姉さまみたいな顔がよかった…。」
この顔のせいで今までどんなセクハラを受けてきたか…。
ハデス親子の会話を聞きつつ、2人は屋敷を後にした。
「いろんな家庭、いろんな事情があるんだなあ。」
「可愛いと得なこともあるけど、困ったこともあるよな。俺は普通でよかった。」
いよいよ来週がパーティか。
敷地に停めている馬車で帰ろうとすると、キャッツアイが迎えに来ていたので、みんなで帰る。
キリアが降りるまで、終始無言で、キャッツアイとキリアは笑顔でにらみあっていた。
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