【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

アヴニール編【学園編】

結婚式の準備

もうすぐ卒業式。

無事、キリアも俺も近衛に内定したよ!

キリアは、ご褒美に一代だけの男爵位がもらえるんだって。




そして、今、俺は伯爵家で結婚式の準備。


「アヴニール様は髪の色も明るいですし、お肌もしろいので、こちらの白のドレスが映えるかと思います。」

「そうだな、それにしよう。」

「高そう…。」

「アヴちゃん、遠慮しないでいいのよ、うちは伯爵だけど、大金持ちなの!　ファッションブランド大体うちなんだから!このブランドもそう！」

だから、アヴちゃんには流行の発信者になってもらわなきゃ!


アレクサンドラお母様は優しい。



そして、実は今、子宮の準備もしてるとこ。

前々から培養していたものを、手術して入れてきたの。

式の日くらいには定着するから、初夜には問題ないの。

手術のときは、先輩が付き添ってくれて、嬉しかったな。


就職するまでにやっとかないと、新人は激しい特訓があるから、むしろ今やらないと、タイミングが難しいんだって。


赤ちゃん、早く会いたいなあ。




「じゃあ、アヴニール。送るよ。」

「ありがとう。」


馬車で帰る途中、かわいい雑貨屋さんが見えた。




「あ、あのお店かわいい。」


「ああ、あのお店。キャットの実家だよ。今はすぐ下の弟さんがやってるらしい。」

「ちょっと見ていい？ラスティたちのお土産にしたいから。」





だが、近づくと、気分が悪い会話が聞こえた。



「このお店、潰れかけてたでしょう?長男が娼婦になって、そのお金で持ちこたえたのよ。」

「あそこの長男は、すごく頭が良くて弟妹の面倒見がいい、かわいい良い子だったのに、親のせいでかわいそうよね。」

「かわいそうに家に帰る前に、あそこで蹲って泣いてたわ。いつも複数の男に乱暴された跡をつけて。」




「行こう、アヴニール。」


「…うん。」


なんとなく、今の先生になったのがわかる気がする。




「いらっしゃいませ。」


店の中に入ると、先生にどこか似た感じの男の人がいた。


「このてんとう虫の髪飾りを2つください。」

「ありがとうございます。」


「このお店、可愛いものがたくさんですね。」

「ありがとうございます。仕入れを見直して、僕の代では殆ど店の手作りなんですよ。噂は聞こえたでしょうが、兄が助けてくれたお店なので。お金はだいじにしないと。」


「キャット先生のことが好きなんですね。」


「え、兄は今、教師なんですか？」


「そうですよ。」

そう言うと、店長さんは涙を流した。

「よかった、兄が普通の仕事に。心配していたんです。俺たちのために、ずっと体を…。兄さんは自分から絶縁して、教えてくれないから。」


今日はあえてよかったです。


俺たちは店を出た。