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終章 魔王と勇者
あまり親しくないほうが
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ポロポロ泣き出す彼を、自分の車に乗せる。
「あまり、親しくないほうが話しやすいこともある。僕で良かったら、お礼代わりに聞くよ?」
「うん…。誰にも相談できなくて。」
ちょろい。
さすがクリスさん、ちょろい。
「俺、男なのに女だって。赤ちゃん産めるの。戸籍を女にしてお嫁さんにいけるって。男としては、女の人に赤ちゃん作る機能がないの。」
「栗栖は女の子が好き? 男に抱かれるのは嫌?」
ここは大事なところだ。僕としても。
「わかんない。」
ジッと僕を見る。
「でもたぶん、種田みたいな人なら、平気な気がする。なんとなく。」
ああ。
僕を見る栗栖の目が、アイスを見るクリスの目だった。
覚えてなくても、どこかで覚えているんだ。
「でも、こんなの気持ち悪いでしょ。両方ついてるんだよ?」
「気持ちわるくないよ。」
君は僕のためにその体で産まれたんだよ。
「ありがとう。少しスッキリした。」
涙をふいて、パッと車のドアを開ける。
「これでチャラ! 体がどうでも俺は俺だ! 切り替えていくわ!」
呼び止める間もなく、彼は行ってしまった。
バイト先にむかうために、繁華街を抜ける。
「…!!」
いきなり背後から襲われた。
薬品を嗅がされ、力が抜ける。
「おまえら、簡単じゃん。こんなの。」
大柄な柄の悪い大人。
後ろには5人の極東高の生徒。
「見ろよ、細い腕。やられてるのは合気道かなんかだろ。バカ正直に向かっていくからやられるんだよ。アタマ使え、頭。」
無駄な正義感振り回すから、痛い目を見るんだ。
カラダに思い知らせてやろうぜ。
「はい、先輩。」
近くでみると、少女のような顔。
人目に目立たないよう、取り囲みながら人気のない空き店舗スペースに運び込む。
皆んなでマワしてやれば、大人しくなるだろう。
「あまり、親しくないほうが話しやすいこともある。僕で良かったら、お礼代わりに聞くよ?」
「うん…。誰にも相談できなくて。」
ちょろい。
さすがクリスさん、ちょろい。
「俺、男なのに女だって。赤ちゃん産めるの。戸籍を女にしてお嫁さんにいけるって。男としては、女の人に赤ちゃん作る機能がないの。」
「栗栖は女の子が好き? 男に抱かれるのは嫌?」
ここは大事なところだ。僕としても。
「わかんない。」
ジッと僕を見る。
「でもたぶん、種田みたいな人なら、平気な気がする。なんとなく。」
ああ。
僕を見る栗栖の目が、アイスを見るクリスの目だった。
覚えてなくても、どこかで覚えているんだ。
「でも、こんなの気持ち悪いでしょ。両方ついてるんだよ?」
「気持ちわるくないよ。」
君は僕のためにその体で産まれたんだよ。
「ありがとう。少しスッキリした。」
涙をふいて、パッと車のドアを開ける。
「これでチャラ! 体がどうでも俺は俺だ! 切り替えていくわ!」
呼び止める間もなく、彼は行ってしまった。
バイト先にむかうために、繁華街を抜ける。
「…!!」
いきなり背後から襲われた。
薬品を嗅がされ、力が抜ける。
「おまえら、簡単じゃん。こんなの。」
大柄な柄の悪い大人。
後ろには5人の極東高の生徒。
「見ろよ、細い腕。やられてるのは合気道かなんかだろ。バカ正直に向かっていくからやられるんだよ。アタマ使え、頭。」
無駄な正義感振り回すから、痛い目を見るんだ。
カラダに思い知らせてやろうぜ。
「はい、先輩。」
近くでみると、少女のような顔。
人目に目立たないよう、取り囲みながら人気のない空き店舗スペースに運び込む。
皆んなでマワしてやれば、大人しくなるだろう。
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