【完結】元SS冒険者の部隊長は王族に陥落される

竜鳴躍

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終章 魔王と勇者

揺れる心

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空き店舗の片隅に寝かせ、上着を脱がせる。

18歳のもうすぐ大人になる男の体には思えない、細身なのになぜか丸みを感じる体。

「女みたいだな。」


続けてズボンを脱がせると、血の匂いに男たちは首を傾げた。


「このパンツ、女が生理中にはくやつじゃ。」

「こいつ、女なんじゃねえか?」


どうせここは空き店舗で、汚れても構わない。

脱がせると、彼の下肢は血で汚れていて、股の間から出血していた。 

男の生殖器はある。

ただし、子どものように小さい。


足を広げさせて奥を見ると、尻の割れ目から繋がるように、女性の性器があった。

経験のある大人の男が観察をする。


「初めて見た。こいつ、ふたなりだ。しかも女寄りだ。」


血塗れを厭わず、人差し指を誰も侵入させたことのないそこへゆっくりと突き入れる。


「う……。」

覚醒が近そうだ。


奥をつついて引き抜き、男は満足そうな笑みを浮かべた。

「処女だ。」


「え、龍宮さんヤルんですか?」

女だとわかったのは面白い。
是非自分の相手をさせて啼かせてやりたい。
それはそれとして、生理中ですよ?

「生理中だろうが関係ねぇよ。どうせ処女膜破ったら血が出るんだ。」

濡れていたほうが、滑りもいいぞ?



その言葉に、喉を鳴らす。


「う…うぅ。」

まどろむ頭で、目を開ける。


「エッ、な!」

周りには見覚えのある極東高の奴等。

自分は裸で、体の上には知らないヤクザ風の男。


「や、やだッ!」


暴れる体を押さえつけられる。

「お嬢ちゃん、粋がったツケを払ってもらうよ。」


男が息を呑む音と、ジッパーを下ろす音が聞こえる。


「やだあ! いやあああ!」







「お前ら、そこで何をやっている!」

「おまわりさん、こっちです!」


その時、バタバタと複数の足音がした。





「やべぇ、ズラかるぞ!」

お嬢ちゃん、また今度な?

恐ろしい言葉を残して、男たちは去った。





カタカタ震えが止まらない。
それに一番よくない相手に体の秘密を知られてしまった。


「「栗栖!」」



奥から種田と花村さんが駆けつける。


「大丈夫か?」

花村さんは優しく背中を擦ってくれる。

種田は上着をかけると、散らかった服を集め、渡してくれた。


「君は女の子だったんだね。遠くから見えたものだから…。不審に思って駆けつけてよかった。」

花村さんは優しい。

「僕も君が気になって、追いかけたら見えたから。間に合ってよかった。」

種田も優しい。


よくわからないけど、二人とも俺を見かけて、協力して助けてくれたらしい。

おまわりさんを呼んだ声や複数の足音も、二人の演技だった。



「栗栖、こういうことがあると怖いだろう。前から君のことが好きだった。君を守るから、俺と一緒に暮らさないか。」


「栗栖。僕も君を愛している。あのとき、僕は一目惚れをしたんだ。誰にも負けないくらい、愛している。だから結婚しよう、栗栖。2度とあんな奴らに触れさせない。一生幸せにするから。」



「え…」



花村さんと種田に同時にプロポーズされて。


俺の頭はフリーズした。




心が、揺れる。
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