33 / 66
お城からお引越しします☆
今日はお城からお引越し!
お父様も一緒でいいって言ってくれたけど、お父様はお城でお仕事があるから行くのはボクだけ…。
だけど、ビューテ侯爵家の領地は馬車とか馬で30分の距離でそんなに遠くないから、気軽。
学園にも実家から馬で通ってたらしいし…。
「えっと、これと、あれと…。」
「ミルキィ、これも持って行ってよ。ミルキィが気に入ってたクリームと化粧水。」
「え~、いいのぉ!」
「うん。トニーお兄様が化粧品事業を展開するなら、お城が使っているものも知ってた方が良いと思うし、そんなにすぐに完成しないと思うから。多めにいれとくね。」
「ありがとー。でも重くないかなぁ。」
「大丈夫だよ、トニーお兄様はああ見えて力持ちだし、うちの馬は軍馬に使うような馬だから。」
「やぁ、よく来てくれた。ミルキィはここだ。」
なんだか朗らかな殿下の声が聞こえる。トニーお兄様を連れてきたのだ。
クズ太子はミルキィが侯爵家に移り住むのが心底嬉しいらしい。
シルキィはとっくに毒杯を賜っていなくなり、公爵位をミルキィに与えたはいいものの、よほどいい思い出がないのかミルキィは領地に帰ろうとしなかったのだ。
なので、父親であるカブキは、当主代理として現在領地経営を見直しつつ、屋敷の改修をしているところなのである。
「迎えに来たよ、ミルキィ。」
「トニー様ぁ!」
(爵位が上のミルキィの方が様付けしているのは変な感じだなあ。トニーお兄様はミルキィが公爵位を継いでいることを知らないんだろうな…きっと。そして、今はまだミルキィも教えたくないんだろう。)
確かに、お兄様は委縮しちゃうだろうからなー…。
余計なことをいうなよ?と夕べのうちに殿下を脅しておいた。
「ははは、寂しくなるなぁ!」
「ふふふ、ご安心ください。遊びに来ますので!」
「トニー、ミルキィを、しっっっっっかり守ってやってくれ。都会よりそちらの方がミルキィも伸び伸びできるだろう!」
「そうですね。うちは王都の裏山ですけど、人より動物の方が多いくらいですので、悪い噂も伝わりません。それに、噂より目で見た者を信じる質なので、きっとすぐに領民とも打ち解けるでしょう。全く、こんなに素直で可愛らしい人を悪女よばわりするなんて、都会は怖いところですね。」
「トニー様っ。」
ミルキィは目を潤ませる。
連れ立って、ミルキィはお城を出て行った。
「カブキ。」
殿下の声で、しゅたっと天井からミルキィのお父様が降りてくる。
「これで、よかったんだな。」
「はい、丁度いいタイミングでした。助かりましたよ。ミルキィはあまり関わらせたくない…、せっかく幸せになれるところなのに。」
2人とも神妙な表情だ。
「一体何があったの?ミルキィは俺の友達だよ。聞いていいことなら、俺も知りたい。力になれるかもしれないし。」
「うちの国がカブキ様の身柄を保護していただろう?その関係で結婚式にジパンクからも参列者がいたんだ。」
「向こうの公爵で、私の従弟になります。昔は私の側近をしていた男で、名をジョー=ルリ。」
………カブキ様のところに、その男が訪れたらしい。
カブキ様は元々ジパンクの王太子だった。
婚約者がいながら不貞を犯したことで死罪となり、秘密裏でアクオス公爵家に種馬として買われ、アルティメット王国へ来た。
実はそれは冤罪だったが、そういう隙を作ってしまった自分の責任だと感じていたカブキ様は罪を受け入れていた。
王位には弟が継ぎ、婚約者だった女性は弟と結婚して妃になった。
ところが、その事は丸々、王位を得んとする弟とその弟とねんごろになっていた元婚約者が仕組んでいたことだったことが、ついに明らかとなり、カブキ様は王族籍に復帰することになったのだという。
「身の潔白が証明され、王族籍に復帰するのだから嬉しいだろうと勝手に考えたようです。あれから何年経っていると思っているのか…。向こうでは私が生きていたことを喜んでいるようです。しかも、他国の筆頭公爵家の女性の婿になり、息子がいるのですから。弟夫婦には子が出来なかったようですので。」
「それって…つまり…。」
「ええ、ジョー=ルリは私とミルキィを迎えに来たのです。」
「陛下たちにも話があった。そして、本人の意向を優先することにした。カブキ様は優秀な方だから、手放したくはないが、一方的に断るわけにもいかないだろう。」
「向こうの王族になれば、ミルキィは王太子です。せっかく、自分の意思で恋をしたのに…。トニー様と結ばれることができなくなります。私は、この話を断ります!」
「カブキ様はそれでいいのですか?」
「もちろんです。郷愁がないと言えば噓になりますが、死罪になった時に私は死んだのです。今更、王位に未練はありません。それに、弟が王位を継いだことで分かったのです。自分でなければ国を守れないというのは違います。民が国なのです。王様はただの旗振り役。民さえいれば国は成る。自分が王である必要はありません。」
薬草事業はいずれビューテ侯爵家の独壇場になるだろうから、今は少しずつ領地の新たな特産品開発を行っている。自分が直接、領地のことを考えられるのが楽しいのだと、カブキ様に未練はないようだ。
―――――――ミルキィ。
この話が伝わる前に、お兄様のハートをがっちりキャッチするんだよ!
お父様も一緒でいいって言ってくれたけど、お父様はお城でお仕事があるから行くのはボクだけ…。
だけど、ビューテ侯爵家の領地は馬車とか馬で30分の距離でそんなに遠くないから、気軽。
学園にも実家から馬で通ってたらしいし…。
「えっと、これと、あれと…。」
「ミルキィ、これも持って行ってよ。ミルキィが気に入ってたクリームと化粧水。」
「え~、いいのぉ!」
「うん。トニーお兄様が化粧品事業を展開するなら、お城が使っているものも知ってた方が良いと思うし、そんなにすぐに完成しないと思うから。多めにいれとくね。」
「ありがとー。でも重くないかなぁ。」
「大丈夫だよ、トニーお兄様はああ見えて力持ちだし、うちの馬は軍馬に使うような馬だから。」
「やぁ、よく来てくれた。ミルキィはここだ。」
なんだか朗らかな殿下の声が聞こえる。トニーお兄様を連れてきたのだ。
クズ太子はミルキィが侯爵家に移り住むのが心底嬉しいらしい。
シルキィはとっくに毒杯を賜っていなくなり、公爵位をミルキィに与えたはいいものの、よほどいい思い出がないのかミルキィは領地に帰ろうとしなかったのだ。
なので、父親であるカブキは、当主代理として現在領地経営を見直しつつ、屋敷の改修をしているところなのである。
「迎えに来たよ、ミルキィ。」
「トニー様ぁ!」
(爵位が上のミルキィの方が様付けしているのは変な感じだなあ。トニーお兄様はミルキィが公爵位を継いでいることを知らないんだろうな…きっと。そして、今はまだミルキィも教えたくないんだろう。)
確かに、お兄様は委縮しちゃうだろうからなー…。
余計なことをいうなよ?と夕べのうちに殿下を脅しておいた。
「ははは、寂しくなるなぁ!」
「ふふふ、ご安心ください。遊びに来ますので!」
「トニー、ミルキィを、しっっっっっかり守ってやってくれ。都会よりそちらの方がミルキィも伸び伸びできるだろう!」
「そうですね。うちは王都の裏山ですけど、人より動物の方が多いくらいですので、悪い噂も伝わりません。それに、噂より目で見た者を信じる質なので、きっとすぐに領民とも打ち解けるでしょう。全く、こんなに素直で可愛らしい人を悪女よばわりするなんて、都会は怖いところですね。」
「トニー様っ。」
ミルキィは目を潤ませる。
連れ立って、ミルキィはお城を出て行った。
「カブキ。」
殿下の声で、しゅたっと天井からミルキィのお父様が降りてくる。
「これで、よかったんだな。」
「はい、丁度いいタイミングでした。助かりましたよ。ミルキィはあまり関わらせたくない…、せっかく幸せになれるところなのに。」
2人とも神妙な表情だ。
「一体何があったの?ミルキィは俺の友達だよ。聞いていいことなら、俺も知りたい。力になれるかもしれないし。」
「うちの国がカブキ様の身柄を保護していただろう?その関係で結婚式にジパンクからも参列者がいたんだ。」
「向こうの公爵で、私の従弟になります。昔は私の側近をしていた男で、名をジョー=ルリ。」
………カブキ様のところに、その男が訪れたらしい。
カブキ様は元々ジパンクの王太子だった。
婚約者がいながら不貞を犯したことで死罪となり、秘密裏でアクオス公爵家に種馬として買われ、アルティメット王国へ来た。
実はそれは冤罪だったが、そういう隙を作ってしまった自分の責任だと感じていたカブキ様は罪を受け入れていた。
王位には弟が継ぎ、婚約者だった女性は弟と結婚して妃になった。
ところが、その事は丸々、王位を得んとする弟とその弟とねんごろになっていた元婚約者が仕組んでいたことだったことが、ついに明らかとなり、カブキ様は王族籍に復帰することになったのだという。
「身の潔白が証明され、王族籍に復帰するのだから嬉しいだろうと勝手に考えたようです。あれから何年経っていると思っているのか…。向こうでは私が生きていたことを喜んでいるようです。しかも、他国の筆頭公爵家の女性の婿になり、息子がいるのですから。弟夫婦には子が出来なかったようですので。」
「それって…つまり…。」
「ええ、ジョー=ルリは私とミルキィを迎えに来たのです。」
「陛下たちにも話があった。そして、本人の意向を優先することにした。カブキ様は優秀な方だから、手放したくはないが、一方的に断るわけにもいかないだろう。」
「向こうの王族になれば、ミルキィは王太子です。せっかく、自分の意思で恋をしたのに…。トニー様と結ばれることができなくなります。私は、この話を断ります!」
「カブキ様はそれでいいのですか?」
「もちろんです。郷愁がないと言えば噓になりますが、死罪になった時に私は死んだのです。今更、王位に未練はありません。それに、弟が王位を継いだことで分かったのです。自分でなければ国を守れないというのは違います。民が国なのです。王様はただの旗振り役。民さえいれば国は成る。自分が王である必要はありません。」
薬草事業はいずれビューテ侯爵家の独壇場になるだろうから、今は少しずつ領地の新たな特産品開発を行っている。自分が直接、領地のことを考えられるのが楽しいのだと、カブキ様に未練はないようだ。
―――――――ミルキィ。
この話が伝わる前に、お兄様のハートをがっちりキャッチするんだよ!
あなたにおすすめの小説
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
長年仮番として務めてきましたが、王子は正式な番を娶るそうです
けふ
BL
王都を守る巨大結界は、王族の魔力によって維持されている。
第二王子アデルの傍らには、常に一人の騎士がいた。
近衛騎士レオン。
彼は長年、王子の「仮番」として特別な任務を担っている。
しかし王子は、他国の王女との正式な番契約が決まってしまった。
仮番の役目は、そこで終わるはずだった。
だが結界塔で行われる儀式の中で、
二人の関係は次第に変わり始める。
王族と騎士。
主と臣下。
越えてはならない境界を前にしても、
王子は騎士の手を取る。
「共に立て」
※オメガバースではありません
※ふんわり読んでください
※なんでも許せる方向け
※イラストはChatGPTさん
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。