あなたがいい~妖精王子は意地悪な婚約者を捨てて強くなり、幼馴染の護衛騎士を選びます~

竜鳴躍

文字の大きさ
27 / 42

ゴウマン侯爵家の破滅

しおりを挟む
「これより、ゴウマン元侯爵一派の処刑を執行する。」



「ひぃぃ、陛下あ!私たちは悪魔に、悪魔に操られて…………!」


「黙れ、悪魔の甘言に乗り、長い月日、国民を苦しめ、国をめちゃくちゃにしたのはお前たちの罪である!」

そして手をこまねいていた私たちにも、という言葉をクロム陛下は飲み込んだ。


また悪魔はやってくるだろう。
しかしそれは、オオバコかもしれないし、他の国かもしれない。

あいつは人間が滅べばそれでいいのだから。
戦争を起こす国はオオバコでなくてもいいのだ。


対悪魔対策でクローバー王国王妃バイオレットとシュゼット陛下は聖なる結界をオオバコにまで延ばした。
この結界があれば、邪悪な者は侵入できない。
なる程、あれほど妖精王に執着するあの悪魔が、クローバー王国に現れなかったわけである。

元々、クローバー王国は妖精たちの国だった。
その昔、オオバコと隣接した小国のムーンライト王国。オオバコからの侵略戦争に敗戦し、生き残った末の王子とその従者たちが瀕死の重傷を負って妖精の国の深い森の中に迷い込んだ。
自らの永遠の命を魔力に変えて、妖精王アヴァロンは彼らを救った。
アヴァロンと王子は恋に落ち、従者たちもやがて妖精を妻に娶って、彼らは人となり、クローバー王国になったと言われている。
悪魔にとって故郷を追われ、余計に人間への恨みを募らせたのだろうが、それはそれ、許してはいけない。

そして、奴らも、アクセルも。



壊れた城の上でギロチンに首をはめていく。


奴らの被害者には、それを見ることを許した。
希望した者達は、家族の遺影を胸に静かに見守る。

辺りには神葉樹の葉が並べられ、遺族の心の闇を浄化する。



「あー、やああ!」

ザシュッと嫌な音がして、侯爵はこの世から消えた。



「次!」


「いやああ!私は、悪くない!だって妻としてあの人に逆らえるわけないじゃないのよぉ!」

「黙れ、むしろ嬉々としてお前も侯爵を唆したのだろうが!悪女め!」

「私は直接何もしてないわ!なのに実行した奴らが処刑されないのはどうしてなのよ!」
夫人は騎士たちや仲間だった者、一部の縁者を見つけては睨む。

「彼らはお前らの仲間ではあったが、家族を人質にとられた者、本意ではなかった者たちなどだ。クローバー王国の妖精の力で心を覗き、更生が可能な者とお前らを分けた。例え一族の端だろうが、虐げられた妾の子やまだ何もわからぬ幼な子を罪に問う気はないわ!爵位没収は変わらぬ、浄化や教育の上、それぞれ関わった内容によってそれでも罰を負う。しかし彼らには、罪を償い、本人次第で爵位を得、のしあがることを許そう。侯爵家をはじめとした貴族家は、心清き彼らの手で復興されることを私は望む。」



「心清き!!?妾や愛人の子が…!?使用人風情、いや我が一族の奴隷たちが我が家を…!!!?」


「下種な一族だ。人妻やよそのご令嬢に強引に手をつけて、生まれた子や彼女たちを虐げて。」


芋づる式に次々と発覚した悪行。
いうことを聞かなかった貴族家や平民の家から美しい女を見つけては強引に屋敷に連れ去っていた。
陛下が合図をすると、騒がしい悪女の口も永遠に噤まれた。


「……次。」



陛下は片隅に視線を移して、呼んだ。




「あああ、こんなのおかしいわ!私は子どもよ!私が何をしたっていうの!お父様たちに育てられたとおり貴族の娘らしくライバルを排除しようとしただけじゃないの!」

引き摺られるように連れてこられたミレルダは、鬼のような形相で、整えられていた髪は乱れ、ドレスの裾はあちこち汚れている。


「貴族は駆け引きをするもの。ライバルを蹴落とそうとするのも貴族としてはよくあることだろう。だがそれは、全て領民を守るために行うことだし、だからといって犯罪は許されない。目的と手段、自分に非があることを分からない。だから君を生かすわけにはいかぬのだ。」


「うう、陛下、私は更生します!アクセル、アクセル、お願い!貴方が後見人になってくれるなら私は死ななくていいの!助けて!!」



アクセルはうずくまったまま、耳をふさいで目を閉じる。






しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜

鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。 そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。 あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。 そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。 「お前がずっと、好きだ」 甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。 ※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後

結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。 ※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。 全5話完結。予約更新します。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

処理中です...