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最愛を亡くした男
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まだ少年だったとき。俺たちは出会った。
銀色の髪にアイスブルーの瞳。
精巧な人形のように、ひときわ美しい公爵家の嫡男。
リュウ=シータ=ユプシロン。
高位貴族ほど魔力が高い、魔力至上主義の魔界にあって、彼は魔法を使わない。
魔法の実技の授業は悉く免除されており、それなのに座学では1位で、飛び級で卒業できる十分な単位を取得しているのにもかかわらず学園にい続けている。
そんな状況から同級生からは避けられていたし、公爵家だから先生から贔屓されているだの、公爵家なのに出来損ないで魔力がないのだろうだの、陰口をたたかれていた。
だが、そんなふうに同級生から関わるなと諫められても、俺は既にこのときから彼に惹かれていた。
彼が魔法を使わないのは、力が大きすぎて肉体と魔力のバランスがうまくいっていないからだ。
彼は、強すぎる魔力と引き換えに長く生きられない、『氷魔』と呼ばれる氷属性の魔族の先祖返りで、最後の氷魔だった。
魔力を使えば心臓に負担がかかる。
そのせいで、彼は魔力を行使できなかった。
本当は生まれ持ったこの力で魔界に安寧をもたらしたいと、従軍を希望していたのに。
辺境伯の実家にあった禁忌の魔道具に手を出し、彼に知られないように自分の寿命を彼に差し出した。
一緒に死ねたら最高だと思った。
そして、一緒に従軍して、将軍職までともに登り詰めた。
なのに、彼はいつのまにか魔道具の危うさに気づいたらしい。
魔道具を使うのをやめ、そして倒れ、魔力の殆どを封印して、総司令官兼学園長の先の英雄、メフィスト様の秘書官への配置換えとなった。
このまま平和に過ごせていたらよかったのに。
聖女だった彼の妹とともに結局彼は戦乱に巻き込まれ、命と引き換えに世界を守ることを選んだ。
そして、俺も、それを応援するしかできなかった。
聖女が魔を封印する時間を彼が作るのに、俺が彼を守り続けた。
心臓が潰されるような痛みで口から血を吐いて、意識がもうろうとしながらも最後の最期まで力を使って、そうして腕の中で息絶えるのを、俺は少しでも長く彼が戦えるように守ることしかできなかった。
彼を守るために、右目と右腕は無くなった。
茫然自失の俺に、メフィストは後進育成に集中したいから軍の総司令に就けという。
最愛の彼が守ったものを守るのは俺の役目だと。
顔の傷を隠すことはせず、真っ赤な髪はオールバックに。
右眼には俺の赤銅色ではなく、彼のアイスブルーの義眼を入れ、鋼の義手もつけた。
そうして何年たっただろう。
彼の妹は、魔族を祖に持ち魔法の素養がある魔術師と結婚し、男の子を生んだ。
その子は、俺の最愛の生まれ変わりだった。
いい年して結婚しない俺に、その子は「そんなに好きなら言ってくれればよかった。」といった。
いいのか?
いいんだろうか。
だが、散々後悔して分かった。
もう遠慮はしない。
俺は今度こそその手を離さない。
銀色の髪にアイスブルーの瞳。
精巧な人形のように、ひときわ美しい公爵家の嫡男。
リュウ=シータ=ユプシロン。
高位貴族ほど魔力が高い、魔力至上主義の魔界にあって、彼は魔法を使わない。
魔法の実技の授業は悉く免除されており、それなのに座学では1位で、飛び級で卒業できる十分な単位を取得しているのにもかかわらず学園にい続けている。
そんな状況から同級生からは避けられていたし、公爵家だから先生から贔屓されているだの、公爵家なのに出来損ないで魔力がないのだろうだの、陰口をたたかれていた。
だが、そんなふうに同級生から関わるなと諫められても、俺は既にこのときから彼に惹かれていた。
彼が魔法を使わないのは、力が大きすぎて肉体と魔力のバランスがうまくいっていないからだ。
彼は、強すぎる魔力と引き換えに長く生きられない、『氷魔』と呼ばれる氷属性の魔族の先祖返りで、最後の氷魔だった。
魔力を使えば心臓に負担がかかる。
そのせいで、彼は魔力を行使できなかった。
本当は生まれ持ったこの力で魔界に安寧をもたらしたいと、従軍を希望していたのに。
辺境伯の実家にあった禁忌の魔道具に手を出し、彼に知られないように自分の寿命を彼に差し出した。
一緒に死ねたら最高だと思った。
そして、一緒に従軍して、将軍職までともに登り詰めた。
なのに、彼はいつのまにか魔道具の危うさに気づいたらしい。
魔道具を使うのをやめ、そして倒れ、魔力の殆どを封印して、総司令官兼学園長の先の英雄、メフィスト様の秘書官への配置換えとなった。
このまま平和に過ごせていたらよかったのに。
聖女だった彼の妹とともに結局彼は戦乱に巻き込まれ、命と引き換えに世界を守ることを選んだ。
そして、俺も、それを応援するしかできなかった。
聖女が魔を封印する時間を彼が作るのに、俺が彼を守り続けた。
心臓が潰されるような痛みで口から血を吐いて、意識がもうろうとしながらも最後の最期まで力を使って、そうして腕の中で息絶えるのを、俺は少しでも長く彼が戦えるように守ることしかできなかった。
彼を守るために、右目と右腕は無くなった。
茫然自失の俺に、メフィストは後進育成に集中したいから軍の総司令に就けという。
最愛の彼が守ったものを守るのは俺の役目だと。
顔の傷を隠すことはせず、真っ赤な髪はオールバックに。
右眼には俺の赤銅色ではなく、彼のアイスブルーの義眼を入れ、鋼の義手もつけた。
そうして何年たっただろう。
彼の妹は、魔族を祖に持ち魔法の素養がある魔術師と結婚し、男の子を生んだ。
その子は、俺の最愛の生まれ変わりだった。
いい年して結婚しない俺に、その子は「そんなに好きなら言ってくれればよかった。」といった。
いいのか?
いいんだろうか。
だが、散々後悔して分かった。
もう遠慮はしない。
俺は今度こそその手を離さない。
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