20 / 20
最愛を手に入れた男
しおりを挟む
桜が咲いて、卒業して。当初の二人の予定では、それから結婚式を挙げるつもりだったけど。
夏合宿の帰りに婚姻届を役所にもらいに行った。
「……本当に、いいのね?竜。」
「うん。俺、アルファさんが好き。アルファさんのお嫁さんになって、可愛い子どもをたくさん産みたい。」
「竜と結婚させてください。」
「アルファさんてヘタレだから、早く結婚して安心させたい。なんかこの人、自分に自信なさすぎ。」
「幸せにしてください。」
「はい。」
そんな会話が家族であって、俺は高校生にしてお嫁さんになった。
結婚式は挙げなくていい。
一緒にいられたら幸せ。
俺は最愛を手に入れた。
目が覚めると、隣にいるぬくもり。
竜は俺の傷にキスをする。
「前の俺のためにつけた傷だけど、いつまでも前の俺のものな気がして癪だから絶対に治すから。」
こんなふうに若妻に言ってもらえるなんて、なんて幸せなんだろうか。
確かに不便だけど、もう慣れたし、気にしていないのだが。
合宿の後、竜はとっくに引退していたサッカー部に行くのを辞めた。
あんなに楽しそうにしていたのに?って聞いたら、
「だって、もし赤ちゃんできてたら走り回るのよくないじゃない。」
と言われて、なんだかうれしくなった。
そのとおり、赤ちゃんは出来ていて、卒業するころにはお腹がぱんぱんになった。
産まれて来てくれた命。
自分の手と義手で抱っこする。
俺に似た赤い髪の男の子。
「最低あと一人男の子を産みたい。ユプシロン家の跡取りが元々宙ぶらりんなんだよね。」
俺は元々、家督を妹に譲ったし、加賀美家の婿養子みたいになっている。
竜が言うには、加賀美家の他に祖父母の家に跡取りが欲しいようだ。
大学に行って研究しながら、子どもを産み、育て、6年後。
長男が6歳になるころに、再生医療が成功し、俺は自分の右眼と右腕を取り戻した。
傷がなくなった俺は、童顔寄りで若く見えると竜は笑った。
君が生きていて、俺の腕の中で笑ってくれることが、一番幸せだ。
夏合宿の帰りに婚姻届を役所にもらいに行った。
「……本当に、いいのね?竜。」
「うん。俺、アルファさんが好き。アルファさんのお嫁さんになって、可愛い子どもをたくさん産みたい。」
「竜と結婚させてください。」
「アルファさんてヘタレだから、早く結婚して安心させたい。なんかこの人、自分に自信なさすぎ。」
「幸せにしてください。」
「はい。」
そんな会話が家族であって、俺は高校生にしてお嫁さんになった。
結婚式は挙げなくていい。
一緒にいられたら幸せ。
俺は最愛を手に入れた。
目が覚めると、隣にいるぬくもり。
竜は俺の傷にキスをする。
「前の俺のためにつけた傷だけど、いつまでも前の俺のものな気がして癪だから絶対に治すから。」
こんなふうに若妻に言ってもらえるなんて、なんて幸せなんだろうか。
確かに不便だけど、もう慣れたし、気にしていないのだが。
合宿の後、竜はとっくに引退していたサッカー部に行くのを辞めた。
あんなに楽しそうにしていたのに?って聞いたら、
「だって、もし赤ちゃんできてたら走り回るのよくないじゃない。」
と言われて、なんだかうれしくなった。
そのとおり、赤ちゃんは出来ていて、卒業するころにはお腹がぱんぱんになった。
産まれて来てくれた命。
自分の手と義手で抱っこする。
俺に似た赤い髪の男の子。
「最低あと一人男の子を産みたい。ユプシロン家の跡取りが元々宙ぶらりんなんだよね。」
俺は元々、家督を妹に譲ったし、加賀美家の婿養子みたいになっている。
竜が言うには、加賀美家の他に祖父母の家に跡取りが欲しいようだ。
大学に行って研究しながら、子どもを産み、育て、6年後。
長男が6歳になるころに、再生医療が成功し、俺は自分の右眼と右腕を取り戻した。
傷がなくなった俺は、童顔寄りで若く見えると竜は笑った。
君が生きていて、俺の腕の中で笑ってくれることが、一番幸せだ。
24
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
《完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
作品整理の通知が届いたので
まだ読んでなかった作品を読もうと
一番古い位置にあった聖女の話を読んだら、あれ?前作なのね?と気づき
その後のSS版も読みました。
アル〜今度こそ幸せになって〜〜と
応援しています^_^
感想ありがとうございます。
今度こそ!
こんにちは、続きを読みたかったので嬉しいです♪
やっぱり作者さまの世界観、大好きです!
手術も無事終わり、いろいろゆっくり頑張っております。
また楽しみが増えました。応援しております。
感想ありがとうございます。
手術お疲れさまでした!
今頃どうしているだろうか、と思っておりました。
恐縮ですが、楽しんでいただけると幸いです。
昨日作品整理の通知きた後読み返そうと思ってたやつの関連作だー。
1話目読んで『そう言えばこんなお話あったなぁ…』と短編の方よんできました。
続き楽しみにしてます。
ありがとうございます。続編依頼あったので、はじめました。