生まれてすぐ劣等種と追放された俺が他国の王子の番として溺愛されて幸せになるまで

竜鳴躍

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ライオス王子

「本当にびっくりしたよ…。でも、よかった。」


騒動が過ぎ、冒険者ギルドは本日休業状態。


サンドラを心配した冒険者たちが集まっている。


「ごめんなさい…っ!ごめんなさい!私、本当はヒトで…っ!」


冒険者たちは困惑しつつも、サンドラを労わっている。


「……いや、サンドラちゃんはサンドラちゃんだよ。…びっくりしたけど。」

「無事で、よかったよ…。」



先に『サンドラ』を知ってるから、ヒトだと分かっても、ちゃんと大事に思えるんだ。

周りにヒトとバレたから、これからいろんなことが起きるかもしれない。

だが、冒険者たちは、自分たちがサンドラを守るのだと言っている。




こういう光景を見ていると、可能性があるのかなって思う。

ヒトが劣等種として、差別されない。

そんな可能性―――――――。


レオは、サンドラたちを見る俺を後ろから見守っている。

何か言いたそうに。





「やあ。」


そこへ、白ローブの男が入って来た。

フードを取ると、それは――――――


「ライオス王子!?」


ギルドのみんなも騒然となる。


「みんな、楽にして。ちょっとそこの二人と話があってね。ギルドマスター、部屋を借りていいかな?」

「あっ、はい、もちろん!先ほどはありがとございましたっ!どうぞ、こちらですっ!」






ライオス王子はギルドマスターの部屋で俺たちと3人になると、王子様然とした様子を少し崩した。


「レオ!久しぶりだなっ!レオ!」

「ライオス!ライオスならあの子を助けてくれるって信じてたよ!」


抱き合う二人。

こうして並べてみると、二人はどことなく似ている。

そういえばイトコになるんだっけ。


「………レノ。」


ライオス王子が俺を見る。



「ああ、レノ。ララ様にそっくりだ。俺はライオス。お前の兄になる。第二王子だ。」

ライオスはいとおしそうに俺を見た。

「俺の母、レオナとお前の母ララ様は、剣のライバルであると同時に親友だった。妃同士だが、二人は仲が良かったんだ。お前たちがいなくなって、どれだけ悲しかったか。ララ様のことは残念だった。お母様も俺も現在の状況には憤りを覚えている。」


「……ありがとうございます。あんな人たちが兄だなんて嫌でした。あなたみたいな人も兄で嬉しいです。」



「レノ、ライオス。俺は王になる。王になって、ヒトも安心して暮らせる社会を目指す。だが、それには俺だけじゃだめなんだ。」

城の中。兵士も侍従も、大臣たちも、貴族たちも。揃って差別主義者だ。

ライオス王子は俺の手をとる。


「俺たちは確かに、あの男に復讐したいと思っている。だけど、それだけじゃない。世界中にヒトは決して差別され、侮られ、搾取されるだけの存在ではないことを示し!みんなの価値観をひっくり返す必要がある!そして、そのために、レノ、お前に力を貸してほしいんだよ!」


これは俺の復讐じゃない、

母さんを慕っていたライオス王子たちの復讐なのだ。

そう強調する。


「あと、レオが君のことを愛しているのは本当だよ。だって、20年前赤ちゃんの君を見て番と気づいて、ず―――っと君のことを心配して追ってたんだからね!まあ、長年の思いを拗らせて色々失敗したみたいだけど、どうか考えてあげて欲しい。」


「…………うぅ。」


考える。


さっきのサンドラ。


あんな目にあってるヒトは、この世には多いはず。


そして本当にその力に俺がなれるなら。




「ライオス王子…。」


「お兄さまって呼んで欲しいな。」


「ライオスお兄様。分かりました。俺にも手伝わせてください。」



俺は勝手に生きていく。

ヒトが安全に生きていける世の中になったら。

レオ………とのことはこれからどうなるか分からないけど。

今更この国の第4王子になるつもりなんて毛頭ない。

だけど、それまではこのお兄様に協力したい。


俺が力になれるなら。
感想 5

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