上 下
42 / 56

結婚式 参列者サイド

しおりを挟む
初めて見る成長した王太子とその番。

王太子は凛として、黒の正装に銀色の装飾が威厳を漂わせていた。


野性的に癖のある金髪。
面差しは陛下の若い頃にそっくりだ。

立ち居振る舞いが洗練され、ほう、というため息がもれる。


楽曲とともに、ヒトの番が現れる。


殿下の青い瞳に合わせた濃い青と髪色の縁取りの上着は、肌の白さとかれの美しさを際立たせている。


ゆっくりと、だが綺麗な姿勢と歩き方で、エンゼリカの王太子である父親にエスコートされる番は、途中立ち止まり、しかしすぐに歩き始めた。


涙の匂い。



ヴェールをあげられ、その顔を見る。


ぱっちりした瞳の美貌。

黒い瞳は涙で潤み、きらきらと揺れている。



美しい妃と麗しい王太子。

絵物語のヒーローとヒロインのようだ。



結婚が宣誓され、陛下から祝いとともに王太子の功績が発表された。


教育機関の整備と農地改革、福祉政策など、これらが王太子が諸国を回って視察して、王国に反映させた政策だと紹介された。


妃になったレノ様は、これから宜しくお願いしますと挨拶した上で、製造業技術者の育成とあわせて特産品のブランド化、高品質化に力を入れると宣言された。


そして、彼はヒトではあるがS級冒険者で、ワールドランドの王以上の戦闘力があるという。

何かのときには力になると約束して下さった。




誰だ?

レオ様が王太子で妃がヒトで不安だと。

次代の王からレオ様を下ろそうと言い出したのは。

とんでもない。



見ると、グリーン公爵の親族の伯爵が青い顔をしている。

グリーン公爵は望んでいないのに、自分の利益を皮算用して勝手に動いていたのだろう。

破滅するな、と誰もが確信した。





エンゼリカの王女を妃にしたドラゴニュートの長一家が続いて紹介される。

レノ様の親族らしく、よく似ている。

ドラゴニュート公国の誕生。



エンゼリカと強い縁を結び、ビースト王国は栄えるだろう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,764pt お気に入り:3,808

貴方のために涙は流しません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:36,007pt お気に入り:2,150

悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,039pt お気に入り:2,474

それはとても、甘い罠

BL / 完結 24h.ポイント:631pt お気に入り:1,772

Tally marks

BL / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:112

処理中です...