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雪村ルナ

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「冬木さん。あー、冬木さんだ!うわぁ、偶然。」



打ち上げには何故かTV局の偉い人も来ていて、豊兄さんと秋口さんは囲まれてしまった。

太陽と一緒にいたけれど、東雲さんが勧めるお酒を僕の分まで飲んでいたら気持ち悪くなったみたいで、トイレに行った後………。

東雲さんと太陽さんは抱き合っていて、東雲さんにもたれかかるようにして二人は消えてしまった。



ちくり。



東雲さんは昔は俳優さんだったって聞いたことがある。
声優としても長いし…。

もしかして、太陽さんの好きな人って東雲さんだったのかな。

尊敬してるって言ってたし…。


心の中がぐるぐるして気持ち悪い。


豊兄さんにここで待つよう言われたし…、動かないで待ってなきゃ…。



そうしてたら、頭の上で明るい声がして。



見上げたら入道アポロさんがいた。


「や。打ち上げ?監督は一緒じゃないみたいだね。俺はプライベートだよ。」

「監督は…編集とか、まだやることがあるから。本当の打ち上げはまだ先で、今日は出演者の打ち上げというか。」


「ふぅん、あいつは?夏目さんは一緒じゃないの?」


「夏目さん…は……。」


「ね。俺、冬木さんのこと好きだな。………二人で、別の店で飲まない?」


「……………はい。少しだけなら。」






誘われたのは少しだけ歩いた先のラウンジバー。

接客係がいない、マスターだけの店。
他に客はいない。
入道さんは合図をして、マスターが下がる。



「ごめんねぇ、俺、騒がれたら大変だからさ。どうしてもこんな感じの隠れ家的な方が都合がよくて。本当は喫茶店とかの方がよかったよね。でも、冬木さんと話したかったからさ…。」


「はい。」


「俺、覚えてないかな。雪村火垂。君のお父さんの雪村光の弟の、雪村篝の息子。年に一回しか集まらない正月でも君は来れない時もあったし、君の母親は夫の実家の帰省を好まなかったからね。」


「え」


「俺、好きだったよ。ルナのことが。気を付けて、ルナ。ルナの母親はルナに気づいた。ルナに」

ガシャン!!



突然大きな音がして、火垂くんが倒れる。


え!?



そこには。

僕たちの背後には、いつの間にか見覚えのある、会いたくなかった人が立っていた。



「キャハハ。お願いきいてくれないから、尾行しちゃった。ルナ、お母さんよ。会いたかったわ。」
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