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番の上書き
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「ウワァァアアアア!」
城の中を、獣人が我が物顔で暴れる。
「落ち着いて!全員避難、絶対に振り返るな!」
「はっ、はいっ!」
「キィを頼む…!」
「おかあさま!」
俺はキイや非戦闘員のみんなをあらかじめ用意していた脱出経路から逃がした。
そして、しかけを作動させる。
本当はこんなもの、使う時がなければいいとは思っていた。
だが、万が一を想定して準備しておくのが務めというもの。
遠くで、串刺しになった音や、重いものに潰された音、狼の悲鳴が聞こえてくる。
だいぶ、数は減らせたはずだ。
「…全く酷いですネェ。口ではああいっておきながら、我々のことは信頼していなかったというわけだ。」
現れた3メートル近い曲の白銀の狼。
こいつが、あの王の後継者だった男。シリウスか。
「信頼してはいたさ。そうはいっても、保険をかけておくのが王というものだ。」
「さぁ。エン将軍も、ブルックもいない。あなた一人でどうするおつもりかな?」
「……!!」
「なぜそれを、といった表情ですね。ふふふ、さすがのあなたも焦っていると見える。できていませんよ。ポーカーフェイス。」
銃を向ける俺を気にもせず、シリウスは信じられない速さと身軽さで、あっという間に俺の腕をつかんだ。
「……ぐっ。」
「二人とも死にましたよ。罠にかけて、爆弾で、ど・かーん。」
あなたはね、殺しませんよ。
「…あっ、あぁぁああああああっ!」
背後をとられて、項を噛まれる。
「ふふふ、これであなたは俺はの番だ。俺の思うように動いてもらいますよ。」
「…ばかな。俺は既にあいつの…。」
「群れのリーダーだけは、上書きできるんですよ。」
さぁ、まずはあなたの体をもらいましょうかね。
「…いっ、 い や だっ。」
これが、番契約の力か。
嫌なのに、体が思うように抵抗してくれない。
かかってみて分かる。
俺は、番契約なんて関係なく、ブルックが好きだったのだと。
「いや、イやだぁっ! ブルック!!」
「シリウス!!! やめろ!!!!!」
王広間に声が響く。
その声は、ブルックのーーーーーーーー。
シリウスの肩越しに見えたブルックは、黒く汚れていたけど確かにブルックで。
同じように汚れているけど、エン将軍も一緒だった。
「お前、生きていたのか。でも、もう遅い。群れのリーダーは俺だし、お前の番も俺のモノだ!」
「お前に決闘を申し込む!リーダーを決める決闘だ! リーダーを名乗るのは俺を倒してからにしてもらおうか!」
ブルックは雄たけびをあげ、リーダーを決める戦いの合図を知らせた。
見届け人になろうと、獣人が集まってくる。
「さぁ、どうする?シリウス? 俺から逃げるのか?」
「まさか…。今日こそお前を叩きのめしてくれる!」
血戦が始まる。
城の中を、獣人が我が物顔で暴れる。
「落ち着いて!全員避難、絶対に振り返るな!」
「はっ、はいっ!」
「キィを頼む…!」
「おかあさま!」
俺はキイや非戦闘員のみんなをあらかじめ用意していた脱出経路から逃がした。
そして、しかけを作動させる。
本当はこんなもの、使う時がなければいいとは思っていた。
だが、万が一を想定して準備しておくのが務めというもの。
遠くで、串刺しになった音や、重いものに潰された音、狼の悲鳴が聞こえてくる。
だいぶ、数は減らせたはずだ。
「…全く酷いですネェ。口ではああいっておきながら、我々のことは信頼していなかったというわけだ。」
現れた3メートル近い曲の白銀の狼。
こいつが、あの王の後継者だった男。シリウスか。
「信頼してはいたさ。そうはいっても、保険をかけておくのが王というものだ。」
「さぁ。エン将軍も、ブルックもいない。あなた一人でどうするおつもりかな?」
「……!!」
「なぜそれを、といった表情ですね。ふふふ、さすがのあなたも焦っていると見える。できていませんよ。ポーカーフェイス。」
銃を向ける俺を気にもせず、シリウスは信じられない速さと身軽さで、あっという間に俺の腕をつかんだ。
「……ぐっ。」
「二人とも死にましたよ。罠にかけて、爆弾で、ど・かーん。」
あなたはね、殺しませんよ。
「…あっ、あぁぁああああああっ!」
背後をとられて、項を噛まれる。
「ふふふ、これであなたは俺はの番だ。俺の思うように動いてもらいますよ。」
「…ばかな。俺は既にあいつの…。」
「群れのリーダーだけは、上書きできるんですよ。」
さぁ、まずはあなたの体をもらいましょうかね。
「…いっ、 い や だっ。」
これが、番契約の力か。
嫌なのに、体が思うように抵抗してくれない。
かかってみて分かる。
俺は、番契約なんて関係なく、ブルックが好きだったのだと。
「いや、イやだぁっ! ブルック!!」
「シリウス!!! やめろ!!!!!」
王広間に声が響く。
その声は、ブルックのーーーーーーーー。
シリウスの肩越しに見えたブルックは、黒く汚れていたけど確かにブルックで。
同じように汚れているけど、エン将軍も一緒だった。
「お前、生きていたのか。でも、もう遅い。群れのリーダーは俺だし、お前の番も俺のモノだ!」
「お前に決闘を申し込む!リーダーを決める決闘だ! リーダーを名乗るのは俺を倒してからにしてもらおうか!」
ブルックは雄たけびをあげ、リーダーを決める戦いの合図を知らせた。
見届け人になろうと、獣人が集まってくる。
「さぁ、どうする?シリウス? 俺から逃げるのか?」
「まさか…。今日こそお前を叩きのめしてくれる!」
血戦が始まる。
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