異世界転移した性奴隷は若き辺境伯の愛に溺れる

竜鳴躍

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まるで救国の英雄のような

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フォルテ伯爵家…辺境伯家は、200年前にその血筋から救国の英雄を出した。

王位継承権のある筆頭公爵家に嫁ぎ、男の身で後の国王の母となった神速の二刀流、黒髪にアメジストの瞳の美貌で社交界では『竜胆の君』と謳われたクリス=クレイソン騎士団長。その人である。


それよりはるか昔には、クレッシェンド=フォルテという、強く、美しい勇者たちを。


辺境伯家の血筋には、優れた剣士が多いが、とある時代で当主となったタクト=フォルテの一人娘が神眼を持つアッシュフォード家に嫁いだことで、より優秀な血となった。
けして恵まれた体格ではなかったクリス=クレイソンが『最強』の剣士になったのには、『神眼』による動体視力とフォルテの身体能力があったからだと言われている。

今のフォルテ辺境伯家は、アッシュフォード家から公爵夫人になったクリスではなく、その兄の血筋ではあるが、度々王家から降嫁もあり、この国、レッドキングダムの中でも権力の強い家となっていた。

クリス=クレイソンは最強であるがゆえに、全盛期の頃に魔物にその姿をコピーさせている。
魔物と行っても従順な生き物で、クレイソンのコピーは世界中に散り、彼の死後も暫くは世界平和の維持に貢献した。


しかし、大きな自然災害により、ほとんどの国が壊滅すると、そのシステムは国民の多くを守って機能しなくなってしまった。
クリス=クレイソンの息子であり、国王となったアリス=クレイソンの妃の一人である神獣も、多くの民の傷を癒して亡くなり、魔物をコントロールしていた術も、何もかもが、失われた。

そして、今現在は、200年前に発展したはずの文明を失い、300年前程度まで大きく後退している。



国王から頭を下げられ、スタンピードから国を守るために辺境伯家が立ち上がったのは、かつて勇者や英雄を輩出した一族としての義務と責任。

本来であれば、当代の当主であるピアノ=フォルテが軍を率いるところ、急な病で次期当主である若干18歳のトーン=フォルテが初陣に行くことになってしまったのだった。



「いい宿でしたね。飯もうまいし、男たちも美人揃いで。」

「ああ…。」


ひょろりと背が高い、薄い茶色の髪に瞳の、軽薄そうな甘いマスクのボルテスは、私の乳兄弟であり、腹心だ。
彼に言われて、途中にを挟むことにしたが、本心では納得してはいなかった。

男たちは性奴隷で、主である伯爵に逆らえず、その身を日々売っている。
文明が後退し、いつのまにか再び奴隷制度が生まれ、貧しい家庭が子を売り、または、人さらいが人を売る。
自分たちの最期の思い出作りのために、若者に悔いなく戦ってもらうために男を買うというのも、気が進まない。
だが、戦いで気が立った男たちは、どこかで発散する場所が必要であるというのは確かであるし、自分たちが買わなくても、彼らは誰かに買われるのだ。

大災害以降、王家の力自体が弱まり、地方貴族の力が強まっている現在、辺境伯といえど奴隷制度を撤廃させるほどの力は、まだない。

男を買うのには抵抗があり、夕飯を食べるためにメニューを開くと、見慣れないメニューばかり。
お勧めでお願いすると、美しい前菜からフルコースで出て来た。


そして、目を奪われた。



一つに結わった肩甲骨までの艶やかな長い黒髪。

猫のようにパッチリとした瞳はアメジストの色が煌めき、唇は艶めいて、赤い。

<竜胆の君の再来>

まるでクリス=クレイソンの生き写しだと見惚れていると、首輪が目に入る。

まさか。

この人も性奴隷なのか。ここで身を売っているのか。



クリス=クレイソンは貞淑な人で、攫われて一度だけ、夫ではない男性に抱かれてしまったことがあるが、一生それを気に病んでいたし、そのことがトラウマで、任期よりも早く騎士団長を退任してしまったほど。

それなのに、そんな人に生き写しのこの人が、数えきれないほどの男に日々体を好きにさせているなんて。

どれ程の屈辱だろう。

彼には、諦めの色が見えていた。

他の人間が抱くくらいなら、自分が抱きたい。


それは、矛盾した、自分の欲。




この手にあの人を抱いて、誓った。

「生きて帰ってくる。そして、あの人を身請けするんだ。」


ボルテスは目を見開き、

「生きて帰って来ましょう。」

とだけ、告げた。
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