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地球では
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異世界では3年が経過していたが、地球では、まだ来栖が列車の事故で亡くなってから、それほど時間は経っていなかった。
「来栖もバカよね…。大人しくうちで働いていればよかったのよ!」
来栖の姉の櫻子は、綺麗に巻いた髪に黒い服を着て、瞼が腫れ、せっかくの美人が台無しになっていた。
45になる櫻子は、いわゆる美魔女で、グループで働く好青年を婿にした。
大事な大事な可愛い弟が、知らないところでブラック企業に使い潰されて、挙句の果てに列車事故。
自殺かもしれないなんて言われて、そんなわけないでしょと憤る。
過労で足がもつれて、落下してしまったのだと思う。
「来栖くんって確か、薬学部の院を出ていなかった?引く手あまたで将来有望だったはずなのに。それでどうしてて畑違いの三流商社で事務員兼開発兼営業なんて…。それに、こんなことなら…。」
夫が唇を噛む。
うちと遜色ないくらいの大企業の後継者だったのに、来栖が継がないから弟に地位を譲ってウチにわざわざ婿入りしてくれたのよ!天使!
「過去を後悔しても仕方ないわ。もう来栖はこの世にいないんですもの。使い潰されて、恋人も友人もいずに1DKのアパートに独り身で…。寂しかったでしょうね…。苦しかったでしょうね……。ウゥッ。家の力を借りずに一人でやっていきたいから手を出すなって…、頼りがないのが元気の証拠って……、意思を尊重なんて思ってる場合じゃなかったのよ、興信所くらい使ってればよかっ
「櫻子、癒太郎爺さんが呼んでるから来なさい。」
どこか意気消沈して顔色の悪い父親に呼ばれ、櫻子はようやく遺影の前を離れた。
遺影の中の弟は大学生で。
生意気そうに快活に笑っていた。
屋敷の奥の日当たりと風通しの良い部屋のベッドには、祖父の有栖が寝込んでいる。
若い頃はイケメンでバイタリティに溢れ、種田グループを世界で名だたるグループに発展させた祖父。
ただ、異世界からの転生者なのだという夢物語を語る人で、それは家族の前でだけではあったが、変わった人だという認識だった。
不思議なことに祖父の周りの人や親戚もそれが当たり前の事実のように振る舞うので、世間一般的には自分たちが変わっているのだと気づくまで、だいぶ恥はかいたかもしれない。
来栖が事故で亡くなったという一報を受けて、急に生命力が失われたように寝たきりになってしまった祖父。
祖父の側には和服美人の輝夜おばあ様が腰かけ、手を握る。
そして、母方の祖父である癒太郎さんは、大病院の院長先生で祖父の親友でもあった。
「有栖……お祖父さんはもう長くないでしょう。」
「そんな!」
「この世界の医学では原因が不明です。おそらく、向こうの世界に呼ばれている。」
「先生まで……!」
「櫻子さんのお父さんの世代からはそうではないが、有栖の両親を中心にその前後の世代までは、全員、ここではない別の共通する世界に生きた記憶がある。現代の医学では解明できない、前世からのつながりをもった家族なのだよ。私は前世ではザオラルという名前の、癒しの力を持つ神獣で、3人いる有栖の妻の一人だった。輝夜さんも妻の一人だ。もう一人の妻は君の旦那さんのお爺さんの紅緒さんだ。僕らは今世では輝夜さんだけが妻で他の2人は親友になったけれど、前世からの絆で強く結ばれている。紅緒さんが存命なら、有栖の病床に駆けつけただろう。神獣だったからか、転生しても私にはどこか超常的な能力があるみたいでね。」
「………まさか…。」
「有栖の魂があの世のはざまとを行ったり来たりしているんだ。もしかしたら来栖くんの関係で呼ばれているのかもしれない。」
「呼ばれてるって誰に…。」
「種田氷祐、種田剣…。君の曾祖父母じゃないかな。」
フラつく背中を夫が支えてくれる。
眠ったような祖父。
異世界……。転生……?
「来栖もバカよね…。大人しくうちで働いていればよかったのよ!」
来栖の姉の櫻子は、綺麗に巻いた髪に黒い服を着て、瞼が腫れ、せっかくの美人が台無しになっていた。
45になる櫻子は、いわゆる美魔女で、グループで働く好青年を婿にした。
大事な大事な可愛い弟が、知らないところでブラック企業に使い潰されて、挙句の果てに列車事故。
自殺かもしれないなんて言われて、そんなわけないでしょと憤る。
過労で足がもつれて、落下してしまったのだと思う。
「来栖くんって確か、薬学部の院を出ていなかった?引く手あまたで将来有望だったはずなのに。それでどうしてて畑違いの三流商社で事務員兼開発兼営業なんて…。それに、こんなことなら…。」
夫が唇を噛む。
うちと遜色ないくらいの大企業の後継者だったのに、来栖が継がないから弟に地位を譲ってウチにわざわざ婿入りしてくれたのよ!天使!
「過去を後悔しても仕方ないわ。もう来栖はこの世にいないんですもの。使い潰されて、恋人も友人もいずに1DKのアパートに独り身で…。寂しかったでしょうね…。苦しかったでしょうね……。ウゥッ。家の力を借りずに一人でやっていきたいから手を出すなって…、頼りがないのが元気の証拠って……、意思を尊重なんて思ってる場合じゃなかったのよ、興信所くらい使ってればよかっ
「櫻子、癒太郎爺さんが呼んでるから来なさい。」
どこか意気消沈して顔色の悪い父親に呼ばれ、櫻子はようやく遺影の前を離れた。
遺影の中の弟は大学生で。
生意気そうに快活に笑っていた。
屋敷の奥の日当たりと風通しの良い部屋のベッドには、祖父の有栖が寝込んでいる。
若い頃はイケメンでバイタリティに溢れ、種田グループを世界で名だたるグループに発展させた祖父。
ただ、異世界からの転生者なのだという夢物語を語る人で、それは家族の前でだけではあったが、変わった人だという認識だった。
不思議なことに祖父の周りの人や親戚もそれが当たり前の事実のように振る舞うので、世間一般的には自分たちが変わっているのだと気づくまで、だいぶ恥はかいたかもしれない。
来栖が事故で亡くなったという一報を受けて、急に生命力が失われたように寝たきりになってしまった祖父。
祖父の側には和服美人の輝夜おばあ様が腰かけ、手を握る。
そして、母方の祖父である癒太郎さんは、大病院の院長先生で祖父の親友でもあった。
「有栖……お祖父さんはもう長くないでしょう。」
「そんな!」
「この世界の医学では原因が不明です。おそらく、向こうの世界に呼ばれている。」
「先生まで……!」
「櫻子さんのお父さんの世代からはそうではないが、有栖の両親を中心にその前後の世代までは、全員、ここではない別の共通する世界に生きた記憶がある。現代の医学では解明できない、前世からのつながりをもった家族なのだよ。私は前世ではザオラルという名前の、癒しの力を持つ神獣で、3人いる有栖の妻の一人だった。輝夜さんも妻の一人だ。もう一人の妻は君の旦那さんのお爺さんの紅緒さんだ。僕らは今世では輝夜さんだけが妻で他の2人は親友になったけれど、前世からの絆で強く結ばれている。紅緒さんが存命なら、有栖の病床に駆けつけただろう。神獣だったからか、転生しても私にはどこか超常的な能力があるみたいでね。」
「………まさか…。」
「有栖の魂があの世のはざまとを行ったり来たりしているんだ。もしかしたら来栖くんの関係で呼ばれているのかもしれない。」
「呼ばれてるって誰に…。」
「種田氷祐、種田剣…。君の曾祖父母じゃないかな。」
フラつく背中を夫が支えてくれる。
眠ったような祖父。
異世界……。転生……?
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