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ケーキ王国のお姫さま

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「予算増えたし、何をしようかなあ。」

文官の執務室で、腕を組んで考える。


「ソルト君はホントにすごいなあ~。僕なんて、あがってきた申請を通常のやり方で予算内でできることだけしか考えられないのに。」

太っちょのナス課長は感心している。

「やる気と意欲を持って勤め始めても、出る杭打たれているうちに、丸くなっちゃうんですよね。」

背の高いキュウリ先輩は、ソルトのためにお茶を入れた。



いつものようにもさあっになったソルトのそばで、眼鏡をかけなくなったアニスは、ニコニコとソルトを眺めている。

「どうか私も利用してくれ、ソルト。コネで何でも協力するよー。」


そこに、カモミール団長も現れた。

「魔物のレア素材が必要なら言っておくれ。いつでも取りに行くから。」



うーん。

二人の気持ちはありがたいんだけど、今考えているのは、両方いらないかなあ。

せっかく予算があるんだから、国中の下水道と交通路を整備したいんだよね。

どちらかといえば、ノウハウのあるケーキ王国から技術者に指導に来てほしいなあ。

交通路が整備されれば交易が進むし、下水道整備がうまくいけば、病気も減るから、やっぱりこの2つがやりたい。



僕は、ディスクの電話に手をかけた。


「もしもし、久しぶり!ティラミス。元気してた?」

ティラミスは、僕の数少ない友人。
ケーキ王国に今はいるんだ。

彼女に力になってもらっちゃお!







「お母様、なんですって?」

城の中で、残念な側妃が残念な息子とティータイム。

マドレーヌはすっかり王子に愛想をつかしたので、ここにはいない。


「マドレーヌとは婚約破棄できなかった。あなたはもうソルトとは難しい。なら、ソルト以上の子と婚約しなきゃ。」


「そうですが………。この国には。」


「近々、ケーキ王国から王女が来るのよ!王女にはまだ婚約者はいないらしいわ!チャンスよ!!」

「そうか、王女から請われたということなら、婚約解消もおかしくない!円満に縁が切れますね!」


「そうよ、あなたはかっこいいわ!頑張って!」

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