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立太式と結婚式

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実りの秋。

今年は豊作で、まるで神に祝福されているような晴れの日に、クミンの立太式が行われた。

「クミン=シード=スパイス。そなたを王太子に任命する。」

陛下が目を細め、一時はどうなるかと思ったクミンが立派になったことを喜んだ。
妊娠しているクミンは、ゆったりした白のパンツドレスを優雅に身につけている。


「謹んでお受けいたします。私は、出来が悪い王子です。一生懸命国のために精進したしますが、私一人では出来ません。私の愛する伴侶や、弟、支えてくれる皆様の力をお借りしながら、民の声に耳を傾け、尽くしてまいります。」


冠を頂き、皆に応えるクミン。
その先には、騎士の正装をしたアッサムがいる。

「ああ、クミン。立派よ、クミン。」

側妃は涙を流して喜んでいる。
正妃も祝を伝えた。

少し残念ではあるけれど、母としては息子が幸せであればそれでいい。

頼りなく先行きが心配だったクミンは、己にあった配偶者を見つけ、これならば国政を任せられる。

王妃としても、賛同できる。

「ねえ、ディル。」

正妃は、側妃の名前を呼んだ。


「あなた、忘れているかもしれないけど、私達も子どもたちも、元は仲良しだったのよ。これで、肩の荷をおろして、前みたいになれないかしら。」


悪い人たちが、私達を引き裂いたの。


「ああ、ローリエ!わたし、貴方に嫌われていると思っていたのよ?」

「何言ってるの。あなたは素直で可愛いわ。」

「ローリエ、いえ、ローリエおねえさま!」


正妃と側妃も仲直りし、つづいて結婚式になる。


「王太子クミンは、アッサム=ダージリン侯爵令息と婚姻を結ぶ。クミンが王となった際には、アッサムは王配となる。二人で国を支えていくのだ。彼らに祝福を!」


フラワーシャワーが舞い、楽団が二人を祝福した。


ソルトも家族みんなで、アニスとカモミールも、クミンたちを祝福する。

そして、ひっそりと、ミリーも柱の影から拍手をしていた。



「さて、この佳き日に。皆も好きな人に愛を囁くといい。優愛でも、家族愛でも。婚約者にでも。宴の始まりだ!」


王の号令でぱあっと場がパーティー会場になった。

立食メニューが奥から運ばれる。

アニスとカモミールは、自分のソルトの前に来て、手の甲にキスをした。


「どっちかすぐわかるんだな、すごい。」

ホワイトが目を丸くする。


「わかるだろ?このちょっと色っぽい方が俺のソルトだ。」
「わからないほうがおかしいですよ、私のソルトはこんなに白百合のようなのに。」

みんなで話をしていると、ブラックだけが、柱に向かって歩き出した。

ミリーさんのもとへ。

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