俺がお前を王にしてやる―隠れオメガクイーンは勇者様―

竜鳴躍

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悪の波動

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どうしてこんなことになったのだろう。

娘を王妃にして、孫を王座につけて…。

脳筋のアキレス陛下なんて操縦するのは簡単で。

邪魔なアーサーもとことん自尊心を削って使い物にならなくした。

イスリスは立派な王子で。

何も将来に不安はなかったはずなのに…。


「囚人No47!怠けるんじゃない!」

「ひぃいい!!」


筋肉ムキムキの看守が鞭を振るう。

耳の後ろをピッと通り過ぎ、地面が抉れた。


「が、ががががんばります!!!」


オデット妃を毒殺したことも、イスリスが王太子になったら陛下を殺そうとしていたことも、全てバレていた。
証拠も並べられた。

オデット妃の実家のスワン公爵家からも辛らつな言葉が投げられた。
あの冷たい眼差し――――――――。
オデット妃の弟にあたる当主のルイードは、視線で射殺さんとする勢いだった。


「もぅ、私、むり…、なんでっ、わたし、わたしが、」

オディールの爪は割れて、爪の中まで土が入り込み、真っ白にきめ細かかった肌は荒れて日焼けで真っ赤になった。
すぐにシミやそばかすができてしまうだろう。


そんな私たちに一族も冷たい。


一族でも責任がない者たちは、囚人扱いではない。
さっきの看守も分家の者だ。
ここでまじめに働いて、まとまった金を得たら好きなところへ行って商売をすることができる。

そういうことになっている。

私たちは一生、囚人だが。






冷たい床で娘と身を寄せて薄い布団で横になっていると、誰かの声が聞こえた。

「だ、誰だっ。」

「しっ。静かに。俺はアキレス陛下に恨みを持つ者。俺があなた方を自由にしてあげよう。」

アキレスとその血に連なる者が玉座にいるなんて許せない。



それはとても、魅力的な声だった。


まるで悪魔のささやきのように。

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