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王族色々
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「うふふ、もうすぐローゼの結婚式ね。楽しみだわ!」
シュヴァイツァー王国では母・セーラが楽しそうにほほ笑んだ。
結婚式に向かうにあたって、セーラは両親と久しぶりに領地から王都のタウンハウスへ移動した。
領地よりも王都の方が港に近いからだ。
それに、タリスマン王国へ向かう船には王族も乗船する。
ワイズマン家の応接間には出入りの業者が所狭しとドレスを広げ、アクセサリーを広げる。
「でも私にドレスをプレゼントしなくてもいいのに。陛下たちったら。大事な方にやきもちを妬かれても知らないんだから。」
「いいじゃないの。くれるというのだから甘えるといいと思うわよ。」
「そうだぞ。我が家と王家との距離の近さを証明するものになるだろう。ローゼが王太子妃になるにあたって、納得できない輩もいるだろうから、助かるな。」
両親は、まるで少女のように娘を扱う。
「はは、陛下は夫婦で参加されるそうですよ。その護衛に魔術師団長と騎士団長もついてくるそうです。みんなお姉さまのファンですからね。」
ベルの隣には、彼の妻のナディア。
茶色の髪と瞳に知性が宿る才女で、ナディアもセーラの大ファンだ。
うんうん、と頷いた。
「大所帯ねぇ。」
「ローゼがシュヴァイツァー王国から大事にされているということですよ。」
学生時代、何度もセーラが彼らから婚約の打診をされてきたのは、国内では有名な話だ。
そのたびにセーラが断っていたことも。
みんな幼馴染で親友。
男女の友情なんてないのかしら、なんてセーラが少し寂しい気持ちを抱いていたのは、誰も知らないが。
親友たちは、愛する人の産んだ子どもの幸せが嬉しいのだろう。
「せめて皆さん、セーラ様を自分からのプレゼントで飾りたいのですよ。」
侍女のメリージェンがドレスをセーラに当てながらほほ笑んだ。
「でも私、誰にもこたえられないのに………。だって……。」
「お嬢様は王国のスタァですね。私からの贈り物も受け取ってくれますか?」
それは、ドレスの深い青によく似合う、ブラックパールのイヤリング。
「もちろんよ!」
ところで、タリスマン王国と共同で立ち上げたリサイクル事業とクリーンエネルギー事業は順調だ。
新たに鉱山から資源を集めなくても、ある程度リサイクルで製品開発ができるようになったし、他国から石油や天然ガスを買わなくても、電気を作れるようになった。
これがよかったのが、環境に優しいということで。
長い目でみれば、シュヴァイツァー王国にとってもよい投資になった。
製品の材料を自前でも調達できるようになると、いろいろと欲が出てくる。
ベルは内心笑いが止まらない。
薬品や化粧品事業が順調で、世界中から取引希望が殺到し、ワイズマン家の資産は潤沢だ。
その潤沢の資産で、やってやったのだ。
可愛いうちの甥っ子と2人で。
(でもあいつら、頭の中までお花畑だから気付いてないんだろうなあ………。)
「全く持って!あのアーサーとかいう王太子にも困ったものだ!」
丁度その頃、フローラ王国では国王であるアタマザン=ネン=フローラ陛下が、カオバッカ=デヤンス=フローラ王妃と憤慨していた。
王妃といちゃいちゃしていたら、突然現れたアーサーが、苦情文を叩きつけていったのだ。
「全く小国のくせに!アンジュの運命の番だというから大目に見てやってるものを!」
「お父様、アーサー様は悪くありませんわ!あのどーせ偽物の勇者とやらが悪いのですっ!」
「そんな者、娼館にでも売り飛ばせばいいのですわ。」
「全くその通りだ!」
「その前にいたぶってあげましょう!」
ろくでもない王族たちがとんでもないことを言っている中、宰相である公爵はキリキリ胃が痛む気がしながら話しかける。
「陛下、込み入っているところ申し訳ありませんが、重要な話が………。」
「なんだ、後にしろ!」
「いえ、なるべく早く手をうたねば。」
はぁあ、と陛下はため息をつきながら、でっぷりとした腹を揺らす。
「なんだ。弟だからな、お前は。特別に許す。手短にいえ。」
「我が国の主要な商会や産業の株が他国の商会に購入されています。」
「それで?半分以上保有されたのではあるまいな。」
「いえ、1/4少し越えるか、くらいですが…。」
「ならそう騒ぐな!いいじゃないか、カネを払ってくれるなら!」
「ですが…「退け!」」
宰相は、胃を押さえたまま頭を下げて去った。
「全くアイツはいつも心配しすぎるんだ。」
ははは、と嗤いながら、国王たちは結婚式の日にどうやってローゼを笑いものにするかという話題で盛り上がる。
シュヴァイツァー王国では母・セーラが楽しそうにほほ笑んだ。
結婚式に向かうにあたって、セーラは両親と久しぶりに領地から王都のタウンハウスへ移動した。
領地よりも王都の方が港に近いからだ。
それに、タリスマン王国へ向かう船には王族も乗船する。
ワイズマン家の応接間には出入りの業者が所狭しとドレスを広げ、アクセサリーを広げる。
「でも私にドレスをプレゼントしなくてもいいのに。陛下たちったら。大事な方にやきもちを妬かれても知らないんだから。」
「いいじゃないの。くれるというのだから甘えるといいと思うわよ。」
「そうだぞ。我が家と王家との距離の近さを証明するものになるだろう。ローゼが王太子妃になるにあたって、納得できない輩もいるだろうから、助かるな。」
両親は、まるで少女のように娘を扱う。
「はは、陛下は夫婦で参加されるそうですよ。その護衛に魔術師団長と騎士団長もついてくるそうです。みんなお姉さまのファンですからね。」
ベルの隣には、彼の妻のナディア。
茶色の髪と瞳に知性が宿る才女で、ナディアもセーラの大ファンだ。
うんうん、と頷いた。
「大所帯ねぇ。」
「ローゼがシュヴァイツァー王国から大事にされているということですよ。」
学生時代、何度もセーラが彼らから婚約の打診をされてきたのは、国内では有名な話だ。
そのたびにセーラが断っていたことも。
みんな幼馴染で親友。
男女の友情なんてないのかしら、なんてセーラが少し寂しい気持ちを抱いていたのは、誰も知らないが。
親友たちは、愛する人の産んだ子どもの幸せが嬉しいのだろう。
「せめて皆さん、セーラ様を自分からのプレゼントで飾りたいのですよ。」
侍女のメリージェンがドレスをセーラに当てながらほほ笑んだ。
「でも私、誰にもこたえられないのに………。だって……。」
「お嬢様は王国のスタァですね。私からの贈り物も受け取ってくれますか?」
それは、ドレスの深い青によく似合う、ブラックパールのイヤリング。
「もちろんよ!」
ところで、タリスマン王国と共同で立ち上げたリサイクル事業とクリーンエネルギー事業は順調だ。
新たに鉱山から資源を集めなくても、ある程度リサイクルで製品開発ができるようになったし、他国から石油や天然ガスを買わなくても、電気を作れるようになった。
これがよかったのが、環境に優しいということで。
長い目でみれば、シュヴァイツァー王国にとってもよい投資になった。
製品の材料を自前でも調達できるようになると、いろいろと欲が出てくる。
ベルは内心笑いが止まらない。
薬品や化粧品事業が順調で、世界中から取引希望が殺到し、ワイズマン家の資産は潤沢だ。
その潤沢の資産で、やってやったのだ。
可愛いうちの甥っ子と2人で。
(でもあいつら、頭の中までお花畑だから気付いてないんだろうなあ………。)
「全く持って!あのアーサーとかいう王太子にも困ったものだ!」
丁度その頃、フローラ王国では国王であるアタマザン=ネン=フローラ陛下が、カオバッカ=デヤンス=フローラ王妃と憤慨していた。
王妃といちゃいちゃしていたら、突然現れたアーサーが、苦情文を叩きつけていったのだ。
「全く小国のくせに!アンジュの運命の番だというから大目に見てやってるものを!」
「お父様、アーサー様は悪くありませんわ!あのどーせ偽物の勇者とやらが悪いのですっ!」
「そんな者、娼館にでも売り飛ばせばいいのですわ。」
「全くその通りだ!」
「その前にいたぶってあげましょう!」
ろくでもない王族たちがとんでもないことを言っている中、宰相である公爵はキリキリ胃が痛む気がしながら話しかける。
「陛下、込み入っているところ申し訳ありませんが、重要な話が………。」
「なんだ、後にしろ!」
「いえ、なるべく早く手をうたねば。」
はぁあ、と陛下はため息をつきながら、でっぷりとした腹を揺らす。
「なんだ。弟だからな、お前は。特別に許す。手短にいえ。」
「我が国の主要な商会や産業の株が他国の商会に購入されています。」
「それで?半分以上保有されたのではあるまいな。」
「いえ、1/4少し越えるか、くらいですが…。」
「ならそう騒ぐな!いいじゃないか、カネを払ってくれるなら!」
「ですが…「退け!」」
宰相は、胃を押さえたまま頭を下げて去った。
「全くアイツはいつも心配しすぎるんだ。」
ははは、と嗤いながら、国王たちは結婚式の日にどうやってローゼを笑いものにするかという話題で盛り上がる。
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