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狂った女

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ハワードが奴らの部屋を開けると、部屋にはルビー妃だけが残されていた。



「……ふ。うふふふ。はははは。私は王女、王女なのよ?私の国は豊かなの。だからっ…、」


なんで?どうして?

どうして、みんなアイツがいいの?

どうしてサンディに勝てない!

サンディサンディサンディサンディ!

サンディの息子にさえ、私はっ…。



「おい!お前の夫はどこに消えたっ!」


「ははは。知らないわよ。あの人、私がパウダールームに行った隙にどこかへ消えたわ!この部屋は窓もないし、部屋の外はずっと見張りがいたのよ!でもねえ、私だって王女ですもの?知っていてよ。お城には必ず隠し部屋や隠し通路があるの。何かあった時に身を隠したり、外に脱出できるようにね?王族しか分からないのよ!きっと、その通路を使ってあの男、アレックスのところに行ったに違いないわ。どうせ殺されるなら、最後に本懐を遂げたいって言ってたもの!あの男、サンディを愛していたのよ!実の兄の妃なのにね!!!馬鹿みたいでしょう?」

自分がなりかわったからあの女を抱きたかったのに抱けなかったから、代わりにアレックスを抱きたいのね!



狂ったように、妃は叫ぶ。




「いくらアレックスでも…、この夜更け、寝不足で神経をすり減らしているところに隠し部屋から忍び込んで、薬を嗅がされたら、どうしようもないんじゃないかしら?フフッ、残念ねェ、かわいそうな王子様。お姫様はわるぅい王様にぱくりっと食べられちゃってるわよぉ?キャハッ。」


蒼白になる。






「お母さま。下品ですよ?」

憎悪のまなざしを隠したステンシルと、ユリウスがそこにいた。



「ユリウスっ!!私と一緒に隣国へ行きましょう!?きっとお父様が助けてくださるわ!」


縋る母親をユリウスはパシッと跳ねのけた。


「やめてください。私は貴方たちと違って、何も悪いことをしていないんだ。あなたたちと縁が切れたらせいせいする。ずっと、あなた方が大嫌いだった。これで、私は自由だ。大好きなを見つけて、ささやかに楽しく暮らしますよ。もう、王子ではいられないでしょうしね。」



「あああああ、やめてっ、あなたは高位の貴族令嬢や他国の王女と結婚するの。そして…。男の子なんて、跡取りが生まれないじゃない!」

「やだなあ、だからいいんじゃないですか。あなた方と同じ血が流れているなんてゾッとする。あなた方みたいなのが子どもに生まれたら大変じゃないですか。だから、子どもなんていらないんですよ!」



さあ、いきましょう。国王の執務室へ。


ユリウスは実母を言葉のナイフで抉り、三人は執務室へ急いだ。
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