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悪夢のお見合い

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あれは僕が5歳の頃だった。

問答無用で高位貴族の令嬢とオメガの令息が召集されたのだ。

趣味の悪い真っ赤な封筒に包まれたお城からの招待状。



家令から受け取った瞬間、絶望でお父様は手紙を落としてしまった。



「あなた………!どうにかならないのですか!?」

プラチナブロンドでエメラルドグリーンの瞳のお母様が涙ながらに僕を抱きしめた。

「あんな乱暴者!かわいいうちの天使が殺されてしまいます!」

お兄様がさらに抱きしめる。


「私だって!」

お父様は唇を噛み締める。

「あのバカ陛下と馬鹿妃殿下…!馬鹿を量産しおって!」




宰相のお父様が頑張っているから、国はどうにかなっている。

前の陛下は有能だった。

だけど、息子が馬鹿すぎた。



よりによってその妃もバカで…。




絶望に打ちひしがれながら、けして選ばれないように、髪の毛を鬘で隠して、顔にそばかすを描き、認識疎外の眼鏡をはめた。










そしてやってきたお茶会は地獄だった。


みんなが死刑宣告を待っている中、エリザベートという女だけがやたら着飾って自信まんまんだった。


「なああに、みんなブスばっかりじゃない!ほほほ、将来の王妃の座は私のものね!」


僕より鈍い色のプラチナブロンドで、青味がかった緑の瞳。


いいよ~いいよ~~~そんなの君にあげるよ~~~。



「ミラー王子のおなありぃ!」



ファンファーレとともにレッドカーペットが光れる。

金髪縦ロールの王妃と、でっぷりお腹の国王陛下。


そして、金髪碧眼で、見た目だけは天使のようなミラー王子。



「パパ、ママ!こいつらが僕のお嫁さんになりたくて土下座して集まって来た子たち?」


「そうよぉ、かわいいミラーちゃん!」

まだ幼いとはいえ、こてこてに飾り立てた子どもにほおずりするな。




その後、こいつはお茶がぬるいと言っては皿を投げつけ、大けがを負わせて侍女を首にし、
自分より顔が綺麗な騎士には、自分で顔に傷をつけるよう命令した。


酷いにもほどがある。






こんな奴と婚約なんてまっぴらごめんだ。



そう心に誓っていた時、馬鹿で不細工と有名な第二王子の声が聞こえてきた。













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