王太子殿下は聖女でアイドル様。今日も無邪気に魅了します?

竜鳴躍

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お供もつけずに入って来た鳳嵐。

そりゃあ自国の王太子サマだ。
アポなしで推しのアイドルの楽屋に入ろうとしても、会場の管理人には止めることもできるわけがない。



「あっ。」


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

絶望的な表情をするケインに構わず、無詠唱で女体化魔法をかけ直す。


「いや、遅いから。ジュエル。というか、分かってたから。」





「〇るか。」


「いや、アナベル、だめだから。隣国の王太子様。国際問題、ダメゼッタイ。」

「でもこいつのことだから、俺たちの正体をネタにゆすりくらい考えているよ。夜会でもジュエルのこと『リリたん』って呟いていたから警戒してたんだが、まさか王子殿下様が先ぶれもなくノーノックで楽屋に押し入るとはね、全く考えられないよ。夜会でジュエルに媚薬を盛ろうとしたのも嵐殿下だし、酒に酔わせて既成事実を作ろうともしたでしょう。全部このアナベル様がお見通しなんだよ!なんなら証拠もあるんだからね!そっちがその気ならこっちも問題提起させてもらう!」

「びやく?なんで?男同士だよ?」


「分かってないなぁ、ジュエル。僕とかジュエル殿下みたいな綺麗どころは性別に関係なく魅了された蝶が群がってくるものなの。男同士でも、恋愛対象になるでしょ?僕たちは男性にとっては嫁側として人気なわけ。全く解釈違いも甚だしいよね。僕は攻めだっつーの。」

「責め?なんに責任を感じているんだい?」

「トラウマなのは分かるけど、そこまでいくとカマトトすぎるんじゃないですかね。いい加減目を覚まさないと幸せが逃げちゃいますよ。」



「アナベル。〇るのはいかがなものかと思うが、断片的に記憶を失ってもらうのはどうだろう。……そう、俺のみっともない女装姿も記憶の藻屑に。」


「ケインまで物騒すぎだろう!せめて金銭を要求しよう。」




「あはは、そこまでしなくても大丈夫。私を新メンバーとして入れてくれればね!」





「「「はあ??!」」」



「まず、愛するジュエルのためなら私も君たちと同じように女装だってやれる。」


「ほう!なかなか見込みがある!」


「自分がどんなふうな美少女に変身できるのか関心もある。」


「だよね、アイドルかわいいよね!」

「ジュエル、まだ危ない人かもしれないんだから近づかないで。」

「もう、ケインのやきもち!」




「今回のツアーは、あと2か所。オアシスの街、ルビー王国と北の雪国、サファイア王国でしょ?私も外交視察として外に出る約束は取り付けて来た。だから、追加メンバーということで。」




緊急発表!プリンセスカルテット改め、プリンセスクインテット。

追加メンバーは紫の髪のスレンダーな女の子。



「うふっ。みんなよろしくね~っ!」
(ふふふ、このツアーで距離を詰めて見せる!負けないよ、ケイン=マクスウェル!!)







丁度その頃、ルビー王国とサファイア王国では。

お互いに鏡を使って通信している貴き女性たちがいた。


「ジュエル=リリー=シャイニー殿下ともうすぐ会えるわね!」

「そうね。でもちゃんと順番守ってなさいよ。貴方なんでうちにくる予定なのよ。」
「だって、貴方に出し抜かれたらいやですし、早く会いたいからですわ。なんでルビー王国が先なのかしら。」

「あんたなんか自国の王子がお似合いよ。婚約者追い出して、自分が次期王妃になったんでしょうが、この自称聖女が。」

「あなたこそ、目障りな女たちの生き血は美味しいのかしら?」

「やだわ、生き血なんてすすらなくてよ。」

サファイア王国の聖女・マフィ。
ルビー王国の悪役令嬢・ガーネット=クリムゾン公爵令嬢。

二人は魔法の鏡で向き合いながら、ほほ笑みあう。

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