王太子殿下は聖女でアイドル様。今日も無邪気に魅了します?

竜鳴躍

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ルビー王国でざまぁ~人を呪わばなんとやら~

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「今宵はシャイニー王国とルビー王国の良好な関係を祝して、シャイニー王国から『あいどる』が舞いと歌を披露してくれるとのこと。楽しむがよい!」

国王の盃で、皆が乾杯する。

国王は豪華な食事を前に座し、妃たちを侍らし、逞しい男に扇を仰がせている。


「ああ、ジュエル殿下、美人だったなあ……。いや、あの小柄な子も捨てがたい。」

「王太子よ、1人に絞る必要はない。あとで薬を盛って、二人とも啼かせてやればよいのだ。邪魔な側近たちはそうだな……奴隷にでもするか。オークションにでもかけたら欲しがる者はいるだろう。」

「陛下、流石に他国の王族と高位貴族の令息を…。」

「公爵。バレねばいいのだろう?軍隊も連れずに他国に来るのが悪い。とんだ平和馬鹿だ。」

「さすがお父様!」

「いや、だが彼らはどこへ消えた?」

「彼らはアイドルと打ち合わせがあるそうです。舞台の演出などもやっておるのでしょう。」

「少人数で来るからこうなる。王族自らやることではあるまい。国の規模が知れるな。」

「我が国の小貴族程度の国なのかもしれませんね。」

「なるほど、流石我が王太子は賢い。なれば、軍事力もたかが知れておるな。誰も入れない高地にあるということで戦火を免れたような国だ。軍事力も育たなかったに違いない。」



「あなた。」

「お父様。」

ガーネット=クリムゾンとアプリコット=クリムゾン。
その背後にはサファイア王国からの客人である聖女が控える。

デレデレと王太子は鼻の下をのばし、ガーネットの肩を抱いた。

「どうした?エスコートが待てなかったのか?」

「うふふ、私もアイドルに興味がありましたの。それに……将来の王妃としてシャイニー王国の方々にご挨拶したくて。」

(技師に手配して、ステージに彼女たちが上がった瞬間、照明が落ちることになっているのよ。本当は酸を落としたかったけど、私たちにまでかかったら困りますもの。)



その時、会場が急に暗くなった。







「—-----あの女は…。」

会場に入る前、待機場所から幕を捲って、嵐は何かを考えていた。

「どうしたの?」

「うん、19年前に追放になった罪人の顔が見えて。うーん。おじい様たちが甘いから…!」
やはり大罪人はそれなりの処罰をしないと、被害が広がる…。せめて放逐する前に顔の目立つところに大きく罪人の焼き印か刺青を入れるべきだった。自分が生まれる前の出来事で、自分にはどうしようもなかったことだけど、嵐や嵐の父であればそのくらいのことをしたものを、と歯がゆく思う。

同時に、この国の悲劇は自国に責任があると。


「ジュエル、罠もたくさん仕掛けられてたみたいだよ。」

アナベルがシュタッと降り立つ。

「ケイン、いけるよね。僕を守ってね。」

「もちろん。」

「それじゃあ、プリンセスクインテット、いくよ!ゴー!」


ステージにあがり、照明が急に落ちる。

だが、僕たちは驚かない。

「プリズムライト!」

嵐がステージ上に霧を張り、マリウスがその霧に向けて光を発する。

「エレキチェイン!」

光に浮かび上がったそこには、空中に浮いた舞台の櫓。折れた照明の照明部分だけが、星々のように宙で輝く。
アナベルの電気魔法によって。


センターのリリー……ジュエルの頭上。
大きな柱は、ケイン、ケイが片腕で受け止め、空中に投げると、細かく剣で刻んで、瞬間で消し炭にした。



「なっ…なんて圧倒的な魔力!」

「シャイニー王国は一踊り子風情でもこのような魔法が使えるのか!」



「今回は特別にアクアリウム王国出身のランちゃんもメンバーに加わってくれました。さー、みんな、あげてくよー!」


『ちやほやされたい あの子より目立ちたい 王子様の御妃に選ばれたい だから誰より 誰よりも 私が1番になりたいの♪』

『でも それって 他人を蹴落として 傷つけて そうまでしてもいいものなの』

『罪 はいつか 自分に返ってくる』


『水の国でライバル蹴落とし残虐殺戮繰り広げ』
『バレて断罪国外追放懲りない女は異国で狙う』

『お人好しの公爵様の玉の輿♪』



「なっ、なんなの!この歌はッ!不快だわ!今すぐ辞めさせてッ!」
公爵夫人が金切り声をあげる。

その瞬間。
霧のスクリーンに映し出されるかつての姿。

ライバルの手足を切り落とし、貶め、そして断罪されて国外追放になる姿。


『ああ、アプリコット。かの国では杏という名の悪妃。希代の悪女。娘も同じ罪を繰り返す♪』


今度はガーネットのやってきた悪事の数々が…。

「いやぁああああ!何よ!止めて!止めさせなさいよ!こんなのッ!」


『何故誰も強く言えないの?水が欲しいから?』


「民の声を聞くのが国王の仕事だろー!!そんなに水が欲しければ、緑豊かな国土に変えてあげるよ!みんな、良心を思い出して!傷ついた人には癒しを!僕がみんなを助けてあげるから!」

リリーの体から黄金の光が放たれ、会場、城内、ルビー王国のいたるところにまで広がっていく。



欠損さえ癒していく聖なるオーラ。
シャイニー王国を包む悪意を和らげるオーラが広がっていく。



「ああ、マルグリット!マチルダ!!!!」

公爵は膝をついて、泣いた。



「うそでしょ……。この聖なるオーラ……。私以上…。聖女!?この女が真の聖女だっていうの??」

聖女・マフィは親友が慌てふためく様を視界にも入れず、ただ、ステージ上のツインテールのアイドルを見る。

自分の地位が脅かされるかもしれない。
心に影をおとしていく。

こんな女がサファイア王国に来てしまったら…!



「そこまでよ、この醜く肥え太った我儘坊やが!天使様のお陰で貴族院の署名が集まった。女性でも王として認める署名がね!」

ざわっと会場が揺れる。

マダム……マルグリット様がマチルダ嬢と女性たちを連れて、ドレスアップして現れた。


「国に害しかなさない国王も王太子も要りません。そこの女たちも処罰します。私が女王、娘が王太女になります!」


「くぅ!そ、そんなぁ、馬鹿なァ!」

「シャイニー王国とアクアリウム王国からの書状です。この国から得たいものはない。取引はしない。ただし、私が女王になるのであれば、友好条約を結んでくださるそうです。」

「そんなぁ、お父様、僕のハーレムはぁ!?あのこ、あの子がほしいよ!」

引き摺られるように元国王と元王太子が兵士に連れていかれる。


「お、おまえ、やりなおそう、私は王配として…」

「クリムゾン公爵。王配など不要です。私とあなたは離縁した身。もはや他人でしょう。以後、口には気を付けるように。」


「きぃいいいぃ!このアイドルめ!お前たちのせいだ!」

「許さない!許さないんだから!マチルダまであんなに綺麗にして!折角私が排除したのにっ!」


舞台によじ登ってきたとき。



かろうじて天井にくっついていた櫓の一部が彼女たちに落ちて。


体の骨はぐちゃぐちゃに。


顔も照明の破片やらでぐちゃぐちゃに。


それはもう呪い返しのように母娘とも二目とみられなくなったけど。

ジュエルは治してやる気はなかった。



そして、マフィも、逃げた。




何かに使えると思ったのか、この国の元王太子をむんずと掴んで。



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