28 / 38
偽聖女は逃げてリリーを狙う
しおりを挟む
会場を出て、ルビー王国の人々は我が目を疑った。
干上がった川の跡に水が流れ、緑が茂り、乾いた大地は潤いを取り戻していた。
「水っ!水だっ!!!」
「ああ、もう食べるものを心配しなくてもいいんだ!この環境なら作物を育てられるぞ!」
街の住民たちは、キャッキャと草の上を裸足で走り回っている。
石油を売って、他国から食糧を集めても、庶民の口には入らない。
多くの国民にとっては、豊かな自然の方がどんなにありがたいか。
だが、依然として日差しは厳しいし、昼夜の気温差は激しい。
一時緑を取り戻しても、対策を講じなければ、また砂漠化は進行する。
それに、中心部から離れたところに砂漠地帯は残り、砂漠ならではの多肉植物や生き物は移動し、不思議な光景を生み出していた。
全てを変えてしまわなかったのは、例え難儀な気候だとしても、それに紐づいて進化した生命を失わせるのは違う、とジュエルは考えたからだ。
マルグリット様には緑化の技術と砂漠化を食い止める策を教えた。
「色々とありがとうございました。新しい産業はみなで模索していきます。」
ジュエルはちょっと苦手だったけど、この人たちは女性だけどいい人たちだ。
女性だから怖いのではなく、怖い人が女性だったのだと最近、ジュエルは思うようになった。
まだトラウマは残るし、やっぱり女性と添い遂げる気持ちは起きないけど。
「さて。次は最後の国。サファイア王国だよ。張り切っていこ!」
マルグリット様達に見送られ、そして竜車は北へ向かう。
「ルビー王国とはあまり商売にならなかったですね。まあ、うちはクリーンエネルギーで十分賄えていますから、そもそもルビー王国から欲しい物もなかったのですが。」
マリウスは眉根を寄せた。
「ですが、ジュエル殿下のすばらしさは充分布教できたので満足です。大聖女リリーの石像は、永遠に崇められることでしょう。」
「交易はともかく、国交は結べたし、国民の中にはシャイニー王国に観光に来る人も外商に来る人もいると思うよ。それに、石油を売らなくてもあそこは良質なスパイスが手に入るんだ。楽しみだね。」
マリウスの左手に右手を重ねて、アナベルは微笑みながら首を傾げた。
「そうですねっ。」
ほほ笑みあう二人。
「………?」
ジュエルは腕を組みながら考える。
ん?この二人ってこういう距離感だったっけ………。
「ああ、殿下。僕たち付き合い始めたの。恋愛対象としてだよ。殿下が同性同士でも子どもができるようにしてくれたから、障害なんてないし。マリは殿下が一番だから、二番でもいいって言ったんだ~。」
そういえばアナベルは三男だった。
マリウスのところに嫁いでも支障はないのか。
「ちなみに僕は入婿です。ふふっ。」
ええっ、えええっ。なんか照れちゃう。知っている友だち同士がだなんて。
「ジュエル様、顔、あかーい。意識しちゃった?そうだよ、女のコが苦手なら、男のコでもいいじゃない!ジュエルが産んでもいいんだよ?」
えっ。
ぽぽっとほおが染まる。
「アナベル、やめろ。殿下は純粋なんだ。」
「ケインのためでもあるのに。僕、焦れったくて。サファイア王国にはアクアリウム王国とは違った海の幸があるし、温泉があるんだよ。ね、しっぽり。たのしそうだよね!」
おんせん。いいかも。
うちの温泉も好きだけど、雪山の露天風呂はどれほどすてきだろう。良かったら参考にさせてもらおう!
ふとみると、嵐の元気がない。
なでなで。
元気になあれ。
「せ、聖女!なぜ私を!」
「ルビー王国の元王太子、レッド様。貴方にチャンスをあげようと思って。」
サファイア王国の教会で、マフィはレッドを絨毯に投げ捨てた。
転生特典か、マフィは転移魔法が使えるし、怪力である。怪力は隠しているが。
ヒロインぽくないので。
「あなた、リリーをものにするのよ。いやよいやよも好きのうち。あなたたちは運命。神のお告げです。(嘘だけど)」
リリーを犯して、閉じ込めて。
そうしたら、あの子は私の障害にならない。
干上がった川の跡に水が流れ、緑が茂り、乾いた大地は潤いを取り戻していた。
「水っ!水だっ!!!」
「ああ、もう食べるものを心配しなくてもいいんだ!この環境なら作物を育てられるぞ!」
街の住民たちは、キャッキャと草の上を裸足で走り回っている。
石油を売って、他国から食糧を集めても、庶民の口には入らない。
多くの国民にとっては、豊かな自然の方がどんなにありがたいか。
だが、依然として日差しは厳しいし、昼夜の気温差は激しい。
一時緑を取り戻しても、対策を講じなければ、また砂漠化は進行する。
それに、中心部から離れたところに砂漠地帯は残り、砂漠ならではの多肉植物や生き物は移動し、不思議な光景を生み出していた。
全てを変えてしまわなかったのは、例え難儀な気候だとしても、それに紐づいて進化した生命を失わせるのは違う、とジュエルは考えたからだ。
マルグリット様には緑化の技術と砂漠化を食い止める策を教えた。
「色々とありがとうございました。新しい産業はみなで模索していきます。」
ジュエルはちょっと苦手だったけど、この人たちは女性だけどいい人たちだ。
女性だから怖いのではなく、怖い人が女性だったのだと最近、ジュエルは思うようになった。
まだトラウマは残るし、やっぱり女性と添い遂げる気持ちは起きないけど。
「さて。次は最後の国。サファイア王国だよ。張り切っていこ!」
マルグリット様達に見送られ、そして竜車は北へ向かう。
「ルビー王国とはあまり商売にならなかったですね。まあ、うちはクリーンエネルギーで十分賄えていますから、そもそもルビー王国から欲しい物もなかったのですが。」
マリウスは眉根を寄せた。
「ですが、ジュエル殿下のすばらしさは充分布教できたので満足です。大聖女リリーの石像は、永遠に崇められることでしょう。」
「交易はともかく、国交は結べたし、国民の中にはシャイニー王国に観光に来る人も外商に来る人もいると思うよ。それに、石油を売らなくてもあそこは良質なスパイスが手に入るんだ。楽しみだね。」
マリウスの左手に右手を重ねて、アナベルは微笑みながら首を傾げた。
「そうですねっ。」
ほほ笑みあう二人。
「………?」
ジュエルは腕を組みながら考える。
ん?この二人ってこういう距離感だったっけ………。
「ああ、殿下。僕たち付き合い始めたの。恋愛対象としてだよ。殿下が同性同士でも子どもができるようにしてくれたから、障害なんてないし。マリは殿下が一番だから、二番でもいいって言ったんだ~。」
そういえばアナベルは三男だった。
マリウスのところに嫁いでも支障はないのか。
「ちなみに僕は入婿です。ふふっ。」
ええっ、えええっ。なんか照れちゃう。知っている友だち同士がだなんて。
「ジュエル様、顔、あかーい。意識しちゃった?そうだよ、女のコが苦手なら、男のコでもいいじゃない!ジュエルが産んでもいいんだよ?」
えっ。
ぽぽっとほおが染まる。
「アナベル、やめろ。殿下は純粋なんだ。」
「ケインのためでもあるのに。僕、焦れったくて。サファイア王国にはアクアリウム王国とは違った海の幸があるし、温泉があるんだよ。ね、しっぽり。たのしそうだよね!」
おんせん。いいかも。
うちの温泉も好きだけど、雪山の露天風呂はどれほどすてきだろう。良かったら参考にさせてもらおう!
ふとみると、嵐の元気がない。
なでなで。
元気になあれ。
「せ、聖女!なぜ私を!」
「ルビー王国の元王太子、レッド様。貴方にチャンスをあげようと思って。」
サファイア王国の教会で、マフィはレッドを絨毯に投げ捨てた。
転生特典か、マフィは転移魔法が使えるし、怪力である。怪力は隠しているが。
ヒロインぽくないので。
「あなた、リリーをものにするのよ。いやよいやよも好きのうち。あなたたちは運命。神のお告げです。(嘘だけど)」
リリーを犯して、閉じ込めて。
そうしたら、あの子は私の障害にならない。
46
あなたにおすすめの小説
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
夫婦喧嘩したのでダンジョンで生活してみたら思いの外快適だった
ミクリ21 (新)
BL
夫婦喧嘩したアデルは脱走した。
そして、連れ戻されたくないからダンジョン暮らしすることに決めた。
旦那ラグナーと義両親はアデルを探すが当然みつからず、実はアデルが神子という神託があってラグナー達はざまぁされることになる。
アデルはダンジョンで、たまに会う黒いローブ姿の男と惹かれ合う。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる