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ラナのアタック (イーノの場合)
「イーノ様~~~。い~の様はどちらかしらぁ~♪」
艶やかな黒髪。キリッとした怜悧な美貌のイーノ様。
クールビューティ!
宰相家はお金持ちだし、公爵家だし!素敵!
護衛のトーマスを連れて、お母様と2人でお仕事中のイーノ様を捜索中!
お母様は『あの女の息子だと思うと複雑だけど……息子を奪ってザマァしてやるわぁ!予定とは違うけどめちゃくちゃにしてやる!』とおっしゃっていた。
あのカント王子の婚約者の兄、なのよね。
あそこにいたカトレア?っていう綺麗な人がお母さまの言うあの女?
確かにお父様に元婚約者って言ってたわ…。
あの生意気な女の子の姉にしか見えなかったけど……。
お母様のライバル?だったっていうことは、お母様やお父様と同じくらいのお年なのかしら。
あの方が生意気な子とイーノ様のお母様ってこと?
確かに老化には個人差があるものなのね。
老化の具合は親に似るって言ってた…。
チラリとお母さまを見る。
厚い化粧と派手な衣装で誤魔化しているけど、あの人と比べたらお母さまは…。
ううん、考えちゃだめだわ。
頭がおかしくなりそう。
イーノ様に会うために侍女に居場所を聞いていたら、丁度婚約者の方が来ているらしいわ。
なんでも、職場恋愛で女官長らしいけど?
元はたかが伯爵令嬢らしいじゃない?
地味~で真面目~で華のない面白みのない女性なんでしょうね。
「イーノ様っ♡」
甘い声を作って、呼びかける。
2人はお庭でランチをとっているところだった。
ありふれた茶色の髪で眼鏡の地味女が麗しいイーノ様の隣に座っている。
全く不釣り合いよ。
「イーノ様、わたくしもそちらよろしくて?」
「………どうぞ。私たちは他に行きますので。」
地味女をエスコートして去ろうとしたイーノ様をトーマスに止めさせる。
「いいではないですか。王女殿下は一緒にいることを望んでおります。」
「私が嫌ですので。王子殿下たちがダメだったから、私でしょうか?私もあなたなどお断りいたします。」
「なっ!不敬だわ!王女に向かって!」
お母様が凄い顔で叫ぶ。
「不敬にはなりませんよ。ロゼッタ王国の陛下から、『望まなければハッキリ断っても構わない。そうでなければ理解ができない愚かな母親と娘だから。どんな言い方をしたとしても不敬には問わない。』と、そう、書簡を受けておりますからね。」
「な……ッ!」
「私には素晴らしい婚約者がおります。知性と教養に優れ、会話をしていても面白い。違う意見を持っていても、ともに意見を言い合えたり、会話が弾むような。そういう相手でなければ結婚はできません。そうでなければ、長く夫婦ではいられないでしょうからね。」
イーノは、婚約者の髪をほどき、眼鏡を外した。
そこにいたのは、妖精のような美貌の女。
地味のように見えた茶色の髪は、艶やかに波を打ち、腰まで伸びて、白い肌を引き立てている。
「……イーノさまっ!」
「君が慎ましやかでTPOを弁えている素敵なレディなのは分かっているが、我慢しておくれ。君の美貌を見せつけてやらないと、理解できないだろう?君が馬鹿にされるのも我慢できないんだ。」
「な、なんなのよ!どうしてわざわざ地味な格好をするの?人をバカにしたいの?どうしてっ、がり勉女のくせに、頭がいいくせに綺麗なのよ!」
「かわいそうに、王女様は誤った価値観を王太子妃様から植え付けられてしまったのですね。あなたのお母様は、男爵令嬢でありながら、嘘をつき、騙し、操って、筆頭公爵家の娘だった私の母から妃の座を奪った方。それからというものお父様であるアンドリュー王太子様は、尻ぬぐいの日々。ご存じでしょうか?あなた方が騒ぎを起こし、相応しくない振る舞いをするほど、王太子様は追い詰められていることを。もし仮に、将来城を追いだされることがあるならば、それはあなた方のせいですよ。王太子様は、やつれてらっしゃって、とても父や母と同い年には見えません。元々は素敵な方だったと伺っておりますよ。そちらの王太子妃さまの容貌の衰えは、単純に若い頃からの不摂生………夜遊びのせいでしょうね。」
「きいいいいいいっ!もういいわ!行きましょう、ラナ!全くあの憎い女そっくりだわ!」
お母様の声が遠く聞こえる。
「ラナ王女?今更生き方を変えるのは難しいでしょうが、貴方が狙うような男性が望む女性は、教養のある女性ですよ。頭が空っぽで我儘でいいなんて、王女だから許されるということはないのです。本来、高位貴族であればあるほど、王族ならなおのこと、我儘ではいられません。国民のため、領民のために心を砕く使命と責任、義務があるからです。お母さまは運が良かっただけです。普通、お母様のようなことをして男性を手に入れようとすれば、遊ばれて終わるだけですよ。これを機にお母様とは距離をとることをお勧めしますよ。隠居した年上の男性の後妻くらいを目指せば、まだ、可愛いだけでもなんとかなるかもしれないですしね。」
………私がモテないのは、お母様の教育が間違っていた、せいなの?
もんもんとして、逃げるように私は去った。
「お優しいですね。」
フルフェイスの騎士、トーマスが逃げる主を追いかけようとして振り返り、
イーノを見つめる。
「助言だと思っていただければいいのですがね。父や母なら甘いというかもしれませんが。いろいろ確執があるようですし。」
「そういえば、週末に歓迎パーティを開いてくださるそうですね。」
「ええ。他国から王太子夫妻と王女がいらしているのに、しないのもおかしいでしょう?」
「あなたやあなたの弟君も参加されるのでしょうか。」
「………はい。」
騎士は礼をして去る。
艶やかな黒髪。キリッとした怜悧な美貌のイーノ様。
クールビューティ!
宰相家はお金持ちだし、公爵家だし!素敵!
護衛のトーマスを連れて、お母様と2人でお仕事中のイーノ様を捜索中!
お母様は『あの女の息子だと思うと複雑だけど……息子を奪ってザマァしてやるわぁ!予定とは違うけどめちゃくちゃにしてやる!』とおっしゃっていた。
あのカント王子の婚約者の兄、なのよね。
あそこにいたカトレア?っていう綺麗な人がお母さまの言うあの女?
確かにお父様に元婚約者って言ってたわ…。
あの生意気な女の子の姉にしか見えなかったけど……。
お母様のライバル?だったっていうことは、お母様やお父様と同じくらいのお年なのかしら。
あの方が生意気な子とイーノ様のお母様ってこと?
確かに老化には個人差があるものなのね。
老化の具合は親に似るって言ってた…。
チラリとお母さまを見る。
厚い化粧と派手な衣装で誤魔化しているけど、あの人と比べたらお母さまは…。
ううん、考えちゃだめだわ。
頭がおかしくなりそう。
イーノ様に会うために侍女に居場所を聞いていたら、丁度婚約者の方が来ているらしいわ。
なんでも、職場恋愛で女官長らしいけど?
元はたかが伯爵令嬢らしいじゃない?
地味~で真面目~で華のない面白みのない女性なんでしょうね。
「イーノ様っ♡」
甘い声を作って、呼びかける。
2人はお庭でランチをとっているところだった。
ありふれた茶色の髪で眼鏡の地味女が麗しいイーノ様の隣に座っている。
全く不釣り合いよ。
「イーノ様、わたくしもそちらよろしくて?」
「………どうぞ。私たちは他に行きますので。」
地味女をエスコートして去ろうとしたイーノ様をトーマスに止めさせる。
「いいではないですか。王女殿下は一緒にいることを望んでおります。」
「私が嫌ですので。王子殿下たちがダメだったから、私でしょうか?私もあなたなどお断りいたします。」
「なっ!不敬だわ!王女に向かって!」
お母様が凄い顔で叫ぶ。
「不敬にはなりませんよ。ロゼッタ王国の陛下から、『望まなければハッキリ断っても構わない。そうでなければ理解ができない愚かな母親と娘だから。どんな言い方をしたとしても不敬には問わない。』と、そう、書簡を受けておりますからね。」
「な……ッ!」
「私には素晴らしい婚約者がおります。知性と教養に優れ、会話をしていても面白い。違う意見を持っていても、ともに意見を言い合えたり、会話が弾むような。そういう相手でなければ結婚はできません。そうでなければ、長く夫婦ではいられないでしょうからね。」
イーノは、婚約者の髪をほどき、眼鏡を外した。
そこにいたのは、妖精のような美貌の女。
地味のように見えた茶色の髪は、艶やかに波を打ち、腰まで伸びて、白い肌を引き立てている。
「……イーノさまっ!」
「君が慎ましやかでTPOを弁えている素敵なレディなのは分かっているが、我慢しておくれ。君の美貌を見せつけてやらないと、理解できないだろう?君が馬鹿にされるのも我慢できないんだ。」
「な、なんなのよ!どうしてわざわざ地味な格好をするの?人をバカにしたいの?どうしてっ、がり勉女のくせに、頭がいいくせに綺麗なのよ!」
「かわいそうに、王女様は誤った価値観を王太子妃様から植え付けられてしまったのですね。あなたのお母様は、男爵令嬢でありながら、嘘をつき、騙し、操って、筆頭公爵家の娘だった私の母から妃の座を奪った方。それからというものお父様であるアンドリュー王太子様は、尻ぬぐいの日々。ご存じでしょうか?あなた方が騒ぎを起こし、相応しくない振る舞いをするほど、王太子様は追い詰められていることを。もし仮に、将来城を追いだされることがあるならば、それはあなた方のせいですよ。王太子様は、やつれてらっしゃって、とても父や母と同い年には見えません。元々は素敵な方だったと伺っておりますよ。そちらの王太子妃さまの容貌の衰えは、単純に若い頃からの不摂生………夜遊びのせいでしょうね。」
「きいいいいいいっ!もういいわ!行きましょう、ラナ!全くあの憎い女そっくりだわ!」
お母様の声が遠く聞こえる。
「ラナ王女?今更生き方を変えるのは難しいでしょうが、貴方が狙うような男性が望む女性は、教養のある女性ですよ。頭が空っぽで我儘でいいなんて、王女だから許されるということはないのです。本来、高位貴族であればあるほど、王族ならなおのこと、我儘ではいられません。国民のため、領民のために心を砕く使命と責任、義務があるからです。お母さまは運が良かっただけです。普通、お母様のようなことをして男性を手に入れようとすれば、遊ばれて終わるだけですよ。これを機にお母様とは距離をとることをお勧めしますよ。隠居した年上の男性の後妻くらいを目指せば、まだ、可愛いだけでもなんとかなるかもしれないですしね。」
………私がモテないのは、お母様の教育が間違っていた、せいなの?
もんもんとして、逃げるように私は去った。
「お優しいですね。」
フルフェイスの騎士、トーマスが逃げる主を追いかけようとして振り返り、
イーノを見つめる。
「助言だと思っていただければいいのですがね。父や母なら甘いというかもしれませんが。いろいろ確執があるようですし。」
「そういえば、週末に歓迎パーティを開いてくださるそうですね。」
「ええ。他国から王太子夫妻と王女がいらしているのに、しないのもおかしいでしょう?」
「あなたやあなたの弟君も参加されるのでしょうか。」
「………はい。」
騎士は礼をして去る。
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