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消える加護

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「待ってください!加護がなければわが国は衰退してしまいます!」

冗談じゃない!
今、加護がなくなれば、完全に王族のせいじゃない!

息子は役に立たないし、陛下はベッドの上。

愚かな仮面を脱ぎ捨てて、アイリは叫ぶ。



『他の国は加護がなくとも、工夫してやっているじゃないか。いきなりなくなると困るだろうし、徐々に加護を薄くするから頑張りなさい。』


「そっ そんな!」

それでは、頭を働かせて施政に汗をかかなければならない。
今までのんびりとしていて、何もしてこなかったこの国が?

できるのか。

特に、うちのあの子に。



『加護を与えたときのような状況じゃない。自然の脅威は変わらないが、この数百年で周りの国はずいぶん進歩した。彼らに習えばいいじゃないか。君たちも独り立ちするときだよ。私はね、怒っているんだ。私の大好きな魂が人質のように王家に囚われる。それで悲しい思いをした子もいる。アレックスがお飾りになんてされなくてよかったって思ってるんだよ。レナードと結ばれて本当に良かった。』


じゃあね。


アレックス、おめでとう。二人とも幸せにね。


そう言って、精霊の王様は消えた。



「加護が…。」

「精霊の王様は王家にお怒りだったわ。」

「この国はどうなるのかしら。」





ざわつきを見て、不安になる。

僕たちは幸せになるけど、みんなはどうなるんだろう。

グレイシャスたちのことは嫌いでも、ここにはお父さまもお母さまもいる。お姉さまも。クリフォートのお父様お母様、ヤードも。いっぱいいっぱい大事な人たちが。



つかつか。


冷えた大理石の床に響く靴の音。



黒髪の侍女を従えて真っ赤な王女がぴしゃりと扇を閉じた。




「大丈夫ですわ。アイリ王妃、グレイシャス王子。私がこの国をお救い致しましょう。王子の妃として。婚約のお話、お受けいたしますわ。」




サザンドラ王女は僕たちを見てほほ笑み、スワン王子達もほほ笑んだ。

サザンドラ王女の瞳は緑。


お姉さまの婚約者もほほ笑んでいる。



アメル様が以前言っていた、ウインター王国の王族の南の親戚筋。

南の国の従妹とは、サザンドラ王女のことだったのか。



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