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ベルの心
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「おかあさま。どうしてぼくをおいていってしまったの。さみしいよ、おかあさま。」
幼い私が、闇の中で泣いている。
母を亡くしたばかりで、3歳くらい。
この頃の私は、ドレスを着て過ごしていた気がする。
男でも女でもある両方の性の特徴を持って生まれた私を、『どちらとして育てればいいか』両親は悩んだ。
とりあえず、政敵にならないことを強調するために姫の姿で育てようということになっていた。
年頃になり、どちら寄りなのか自認出来る頃になれば、決めればよくて。
それまでは行ったり来たりでもいいのではないかと。
もし将来的に男の姿で育てることになるのであれば、幼い頃の姫姿は、上二人が王子だったから自分が望んだことにすればいいと、父親は笑っていた。
意地悪な正妃様はいたけれど、第二妃さまはお母さまのお友達で優しくて。カイザーお兄様もいつもお菓子をわけてくれて、とっても幸せだったのに。
お母様が亡くなったその日、正妃様がいきなり宮にやってきて、顔は優しい顔をしていたけどとても怖くて、『かわいそうに、これからは私があなたの母ですよ。私の宮で暮らしましょうね。』そういって、僕を引っ越しさせた。
カイザーお兄様たちにも会えなくなって、お父様にもあまり会えなくなった。
ロワお兄様は、皆が見ていないところで意地悪するの。
体が弱いからって嘘つかれて、お茶会も出れなくて、ロワお兄様の代わりに宿題をやらされて、4歳も上の子の宿題をやるために、とっても勉強しないと行けなくて、辛かった。
正妃様がいうの。
僕の体はおかしいんだって。
男の子と女の子両方の特徴がある体。普通じゃない。こんな体でお友達にばれたら恥ずかしいからお友達は作らないほうがいいんだって。
お母様は身分が低くて、僕はお父様の子だけど要らない子なの。
お父様やお兄様たちの足手まといにならないように、いっぱい努力して、みんなのために役に立てるようにならなきゃ。
こんな体じゃ、誰もお嫁さんに来てくれないし、お嫁さんにも行けない。
独り立ちできなくて、お兄様たちにご厄介になるんだから。
11歳になって、僕は女の人に赤ちゃんを産ませることができないことが確定した。
だけど、生理も来なくて、女性としても未成熟で赤ちゃんが産めないんだって。
正妃様は、せっかく器量だけはいいのに子どもが産めないんじゃ役立たずだわ。とおっしゃった。
政略結婚の道具にもなりゃしないと。
このくらいから、私は男の姿をとるようになった。
王女として生活していれば、王子から政略結婚の打診がくる。けれど、私には赤ちゃんを産むこともできないし、普通の体ではなかったから。
王家の恥を晒さないように、王子として扱われるようになった。
そして14歳。
相変わらず初潮はこない。
当然胸のふくらみはなく、中途半端な棒のような自分の体。
ロワは18歳だった。
「ベル。あなた、役に立たない体なのだから、お兄様のために差し出しなさい。」
お兄様が気持悪かった。
痛くて、血も出たし、悲しかったけど。
お兄様の役に立てたと言われて、嬉しいと思うことにした。
そうだ。
ずっと嫌だったんだよ。
15歳になって、初めて外に出してもらえた。
カルス=イオ=ブルーローズ公爵令息。
正妃さまと違う公爵家の人。
青い髪がきれいで、ダークブルーの瞳が深い海のようで、背が高くてがっしりして、頼りがいがありそうな素敵な人と知り合うことが出来た。
友達になって、一緒に騎士団に入った。
騎士団長、副団長になり、ずっと一緒だったけど、秘密を抱えたまま辛かった。
体のことやお兄様とのことをカルスに知られた。
へいき、な顔をするしかないじゃない。
お父様が元気になって、
カルスとカイザーお兄様が何か色々やっていたみたい。
あの人たちが断罪されて自由になれた。
空虚。
幼い私が、闇の中で泣いている。
母を亡くしたばかりで、3歳くらい。
この頃の私は、ドレスを着て過ごしていた気がする。
男でも女でもある両方の性の特徴を持って生まれた私を、『どちらとして育てればいいか』両親は悩んだ。
とりあえず、政敵にならないことを強調するために姫の姿で育てようということになっていた。
年頃になり、どちら寄りなのか自認出来る頃になれば、決めればよくて。
それまでは行ったり来たりでもいいのではないかと。
もし将来的に男の姿で育てることになるのであれば、幼い頃の姫姿は、上二人が王子だったから自分が望んだことにすればいいと、父親は笑っていた。
意地悪な正妃様はいたけれど、第二妃さまはお母さまのお友達で優しくて。カイザーお兄様もいつもお菓子をわけてくれて、とっても幸せだったのに。
お母様が亡くなったその日、正妃様がいきなり宮にやってきて、顔は優しい顔をしていたけどとても怖くて、『かわいそうに、これからは私があなたの母ですよ。私の宮で暮らしましょうね。』そういって、僕を引っ越しさせた。
カイザーお兄様たちにも会えなくなって、お父様にもあまり会えなくなった。
ロワお兄様は、皆が見ていないところで意地悪するの。
体が弱いからって嘘つかれて、お茶会も出れなくて、ロワお兄様の代わりに宿題をやらされて、4歳も上の子の宿題をやるために、とっても勉強しないと行けなくて、辛かった。
正妃様がいうの。
僕の体はおかしいんだって。
男の子と女の子両方の特徴がある体。普通じゃない。こんな体でお友達にばれたら恥ずかしいからお友達は作らないほうがいいんだって。
お母様は身分が低くて、僕はお父様の子だけど要らない子なの。
お父様やお兄様たちの足手まといにならないように、いっぱい努力して、みんなのために役に立てるようにならなきゃ。
こんな体じゃ、誰もお嫁さんに来てくれないし、お嫁さんにも行けない。
独り立ちできなくて、お兄様たちにご厄介になるんだから。
11歳になって、僕は女の人に赤ちゃんを産ませることができないことが確定した。
だけど、生理も来なくて、女性としても未成熟で赤ちゃんが産めないんだって。
正妃様は、せっかく器量だけはいいのに子どもが産めないんじゃ役立たずだわ。とおっしゃった。
政略結婚の道具にもなりゃしないと。
このくらいから、私は男の姿をとるようになった。
王女として生活していれば、王子から政略結婚の打診がくる。けれど、私には赤ちゃんを産むこともできないし、普通の体ではなかったから。
王家の恥を晒さないように、王子として扱われるようになった。
そして14歳。
相変わらず初潮はこない。
当然胸のふくらみはなく、中途半端な棒のような自分の体。
ロワは18歳だった。
「ベル。あなた、役に立たない体なのだから、お兄様のために差し出しなさい。」
お兄様が気持悪かった。
痛くて、血も出たし、悲しかったけど。
お兄様の役に立てたと言われて、嬉しいと思うことにした。
そうだ。
ずっと嫌だったんだよ。
15歳になって、初めて外に出してもらえた。
カルス=イオ=ブルーローズ公爵令息。
正妃さまと違う公爵家の人。
青い髪がきれいで、ダークブルーの瞳が深い海のようで、背が高くてがっしりして、頼りがいがありそうな素敵な人と知り合うことが出来た。
友達になって、一緒に騎士団に入った。
騎士団長、副団長になり、ずっと一緒だったけど、秘密を抱えたまま辛かった。
体のことやお兄様とのことをカルスに知られた。
へいき、な顔をするしかないじゃない。
お父様が元気になって、
カルスとカイザーお兄様が何か色々やっていたみたい。
あの人たちが断罪されて自由になれた。
空虚。
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