悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍

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閑話 プレート伯爵家

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ファーメット公爵家の分家として、かつては交流がありながら、今では親戚づきあいも断絶した状態にあり、うだつも上がらない。

気が狂って離縁した妻は、嫡男の従者となったカエサルとともに、公爵家に引き取られていった。

あの時は、しめたものだと思った。


なんだかんだといいながら、妻はやはり先代公爵と関係があったに違いない。
カエサルは、先代の子だったに違いない。

そう思っていたのに、再婚した妻が産んだ娘も髪が黒かった。



アレンは言った。

黒い色は優性遺伝だと。

分家なのだから、その分家の始まりの男の髪や目の色は黒かった筈。

長い年月をかけて、その色は焦げ茶から茶色に変化しても、いつ、『黒』が出てきてもおかしくないのだと。

それは、その時には最先端の論文だったが、カエサルの父親は知らなかった。

後添えの妻は、前妻のことがあるので、生娘で嫁入りさせて以降、常に周りを女性の従者で固め、男と言えば自分以外はいない。

そもそも、後妻の行動範囲の中に、黒い色の者など一切いない。


ここにきて、プレート伯爵は、前妻が正しいことを知り、カエサルが自分の息子であったことを知った。


愚か者として、家門の者は相手をしなくなっていた。



長男は、自分によく似ている凡人だった。
凡人が悪いわけではない。

だが、手放したカエサルのすばらしさといったらない。

カエサルが望むのであれば、王宮の筆頭魔術師にも、騎士団長にもなれるほどの魔法と剣の天才。
また、王の右腕にもなりうる執務能力。

本家からの覚えもよく、自分の子としてきちんと大切にしていたのであれば、プレート家は安泰だっただろう。



遠くから輝くようなカエサルの姿を見るたびに、なんとも言えない後悔がよぎる。

もう、どうしようもない…。


カエサルによく似た美しい前妻は、今頃どうしているのだろうか。
私が追い詰めてしまった妻…。

今の妻子もいるのに、望むのは前妻とカエサルばかりで、伯爵は手元に残った長男からも、後妻や娘からも、もはや見捨てられていることに気付かない。






―――――――――その頃、カエサルの母親は…。

「奥様、私ほんとーにどうかしていましたわ。なんであんな人に拘っていたのかしら。あの人と別れて、こちらで暮らせて、私、本当に幸せですわ!」

「うふふ、あんな奴丸めてぽいですわよ。そういえば、アルバート殿下はまだ気が付いていないのですよ。」

「まぁ!よく気付きませんわね。」

「ええ、今は塔で侍従もいませんしね。後頭部にバカって部分的にツルツルですわ~!」

「まぁ!!それは元夫にかけてやりたい呪いです事!」

「それはそうと、頼んでいたものは出来たかしら~!」

「ええ、マンドラゴラの栽培に成功しましたわ!」

「んまぁ!素晴らしい!流石当代きっての植物魔法使いですわね!」

「「ほほほほほ。」」


元気になって、今では公爵家お抱えのガーデナー。
アレンの母親と仲良くアルバートの頭髪のことで盛り上がっている。
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