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第0章
004、邂逅と再会
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クロノは、耳鳴りの聞こえる頭を押さえ、小さな舌打ちと共に改めて公園を見やる。
先程は気に留めなかったものが目に入った。
――誰かいる。
無意識に腰の得物へと手を伸ばし、警戒態勢になる。
そこにいたのは、膝まであるゆったりとした水色のフレアワンピースを、クロノと同じように赤い液体で汚した少女。
クロノと同い年か少しだけ年下であろう彼女は、間違いなく、一般市民。
何しろ、術師結社所属である証拠を示すものなど何一つ身に付けていない。そして、どう見ても彼女が魔力に聡いとも思えない。
俯いていた顔を上げてクロノを見た彼女は、控え目に微笑む。
ふわりと、彼女の萌葱色の髪が宙に舞う。
だが、微笑まれたクロノは、表情を引きつらせるだけだった。
どう考えてもその微笑みは嫌な予感しかしない。それも、身の危険レベルの。
「まだ、いた」
小さく聞こえた言葉。
同時にクロノの真横の空気を、鋭い何かが切り裂く。
続いて、真後ろで何かが粉砕する音が聞こえた。
避けたわけではない。当てるつもりがなかったのか、手元が狂ったのか。
息を呑むクロノの頬を、冷や汗が伝う。
これはもう、ここに公園があったのかとか、速やかな状況報告とか、悠長なことを言っている場合ではない。「魔導具かそこらの強い魔力で気が触れた一般人が襲ってきた」と言えば聞こえは良いが、実際これは「紋章術を暴走させた使い手が襲ってきた」レベルだ。しかも相手は紋章術の知識を持たない一般人。むやみに手を出して、挙句殺したりしては、ただでさえ雀の涙ほどの給料が更に減ってしまう。……いや、そうじゃなくても常識的に考えれば人殺しなどやっていけないのだが、生憎こちら側では「敵は殺せ」と教わっている。
「最悪だ……」
何が戻るついでだ、と内心、もう何度目かわからない悪態を吐く。
そんなことで状況が変わるわけでもなく、クロノは仕方ないと言いたげに得物に触れる。
真っ直ぐ手を翳す少女。
ふわりと、魔力が一瞬高まった。
目に見えるほどにまで濃縮された魔力は、風の刃となり、踊るように襲い掛かってくる。
「っ」
それをクロノは転がるように避けた。
頭上を通り抜ける風刃。
疑いようがない、彼女が扱う紋章術は〝風〟である。
それは四大元素とも呼ばれる基礎属性の一つ。
そして……、クロノが最も苦手としている属性だ。
「わたしが、守るんだっ!」
言葉と共に、大砲レベルの威力と速度で襲い掛かってくる風刃。しかも広範囲。
これは避けられそうにないな、と他人事のように思いながらクロノは、少女と同じように片手を目の前に伸ばした。
と、同時。
予期しない別の音が、耳を打つ。
それはまるで、思い切り壁を殴ったような、堅い何かに衝撃を与えたような音だった。
クロノの目の前で風刃は、見えない何かに弾かれて消える。
僅かに肌に感じる、覚えのない懐かしい魔力。
「何が、起きたんだ……?」
驚きで目を見開くクロノ。
彼の正面では、少女が驚愕の表情を浮かべて固まっていた。
「…………なんだ、お前か」
突然背後から聞こえた第三者の声。
クロノは、その失礼極まりない言葉に、噛み付くような勢いで振り返った。
そこにいたのは、銀髪に褐色の肌の青年。無愛想な菫色の瞳がクロノを映している。
彼の傍らには、クロノのそれより色素の薄い金髪を持つ女性がおり、彼女は少女の方を向いている。彼らの服装は控え目なゴシックで、しかも何故かお揃い。服と同じくお揃いのチョーカーには、少年が身に付けているものと違う形の刻印があった。
クロノがいる結社とは違う組織に所属する、紋章術の使い手。
「……元気そうだな」
こんな状況でも相手を気遣う言葉が出てくるもんだと、クロノは内心苦笑いを浮かべる。
青年とはこちら側に踏み込む前からの知り合いで、幼馴染み。そして何より、彼はクロノが争奪戦に参加するきっかけである。同い年なのに容姿年齢に差があるのは、その辺が理由だったりする。青年が連れる女性のことは詳しく知らないが、おそらく彼女絡みで彼はこちら側に入ったのだろうとクロノは踏んでいる。本人があまり語らないので詳しくは知らないが。
「また、来た……」
静かに響いた声と同時に、少女は新たに現れた二人組に狙いを変えたらしい。
一文字に薙ぎった腕、ふわりと高まった魔力。
風刃は絶え間なく彼らを襲うが、やはり先程と同じように、見えない壁に弾かれている。
「お前が連れてるその人も、使い手なのか?」
「一応な」
風刃は突風に変わり、荒々しい風の刃が触れたものすべてを切り裂く。瞬く間に公園は無残な姿に変わり果てた。――だが、三人は無傷。女性が少女に手を向けて、自分たちを守るための見えない壁を作り出していた。先程クロノを助けたのも、彼女だったようだ。
突然、女性がくるりとこちらに……いや、青年に視線を向ける。
そのガラス玉のような、光の宿っていない翡翠色の瞳にクロノはぎょっとした。
「――――――」
「……そうか」
何言ってるのかわかるのかよ、と内心突っ込む。
女性は口を開けていたが声は発してなかった。……そう、クロノには見えた。
「放っておけ」
どこか突き放すように、青年は言い捨てた。
そして、相変わらずの無愛想な目付きでクロノを見た。
「お前、なんて結社に居座ってんだよ」
「は?」
「上が勝手に作っといて、不必要になったら下に始末させるようなところだぞ」
クロノには、彼の言葉の意味がわからなかった。
ただ、何度か聞いたことのある噂が脳裏をよぎる。
あの結社は人間を使って実験をしている。
根も葉もない噂だが、火のないところに煙は立たないとも言う。
だけど、もしかしたら……と何か悪い予感がした。
「それ、詳しく教え――」
「みんな、消えちゃえ!」
クロノの言葉を遮って聞こえたのは、何とも物騒な言葉。
今まで忘れていた少女の方を振り返ると、僅かに目を潤ませた彼女が、こちらを睨んでいた。それも、その綺麗な顔立ちからは想像も出来ないほどの、鬼のような形相で。
続けて少女が何か言葉を発しようとした、次の瞬間。
「へ?」
少女は間抜けな声を残して地面に倒れた。
どうやら、紋章術の使いすぎでガス欠したようだ。
辺りを吹き抜けていた風がピタリと止む。
静寂が訪れた。
「使い手と関係のある人間に魔導具を使って、鍵の模造品を造ろうとしてんだよ」
淡々と告げる青年の言葉が、耳に入ってきた。
「そこに倒れている女も、模造品の一つらしいが……ま、失敗作だって話だ」
「なんで……っ?」
「お前が聞いたんだろ、詳しく教えろって」
聞きたいのはそっちじゃない、と言い返そうとしたクロノだったが、気持ちと裏腹に口からは何も出て来ない。言いたいことはたくさんあるのに、何一つ言葉にならない。
真っ白になった思考の中で、淡々と告げられた言葉がぐるぐると回る。
「これ以上は俺も知らねえ。お前の組織の奴にでも聞けば良い」
青年は吐き捨てるようにそれだけ言うと、女性を連れてさっさと去って行く。
その背中をクロノは無言で見送った。……見送ることしか出来なかった。
彼のどこか辛そうに歪んだ表情に何も言えなかった。その顔はあの時と同じだった。
姉の代わりに術師結社に入ると決めた、あの時と。
いつもそうだ。クロノは、青年のそんな表情に弱い。
「あー、くそっ」
若干の自己嫌悪を振り払うようにガシガシと髪を掻くクロノ。
今はあのバカのことなどどうでも良いと自身に言い聞かせ、頭のスイッチを切り替える。
最優先事項は一刻を争うと言われたこの仕事の報告だ。内容については帰り道で考えれば良いとして、当面の問題は倒れている少女の対処だろう。
自分で歩けるか聞こうとしたクロノが、少女がガス欠ついでに気絶しているのに気付いた時には、今日は本当についてないと盛大なため息を零した。
ただ、久しぶりに会えた青年の生存確認が出来たついでに、重大な情報を得られたことを考えるとついていたのかもしれない。
良いことだけを考えながら、クロノは気を失っている少女を背負い結社へと戻った。
先程は気に留めなかったものが目に入った。
――誰かいる。
無意識に腰の得物へと手を伸ばし、警戒態勢になる。
そこにいたのは、膝まであるゆったりとした水色のフレアワンピースを、クロノと同じように赤い液体で汚した少女。
クロノと同い年か少しだけ年下であろう彼女は、間違いなく、一般市民。
何しろ、術師結社所属である証拠を示すものなど何一つ身に付けていない。そして、どう見ても彼女が魔力に聡いとも思えない。
俯いていた顔を上げてクロノを見た彼女は、控え目に微笑む。
ふわりと、彼女の萌葱色の髪が宙に舞う。
だが、微笑まれたクロノは、表情を引きつらせるだけだった。
どう考えてもその微笑みは嫌な予感しかしない。それも、身の危険レベルの。
「まだ、いた」
小さく聞こえた言葉。
同時にクロノの真横の空気を、鋭い何かが切り裂く。
続いて、真後ろで何かが粉砕する音が聞こえた。
避けたわけではない。当てるつもりがなかったのか、手元が狂ったのか。
息を呑むクロノの頬を、冷や汗が伝う。
これはもう、ここに公園があったのかとか、速やかな状況報告とか、悠長なことを言っている場合ではない。「魔導具かそこらの強い魔力で気が触れた一般人が襲ってきた」と言えば聞こえは良いが、実際これは「紋章術を暴走させた使い手が襲ってきた」レベルだ。しかも相手は紋章術の知識を持たない一般人。むやみに手を出して、挙句殺したりしては、ただでさえ雀の涙ほどの給料が更に減ってしまう。……いや、そうじゃなくても常識的に考えれば人殺しなどやっていけないのだが、生憎こちら側では「敵は殺せ」と教わっている。
「最悪だ……」
何が戻るついでだ、と内心、もう何度目かわからない悪態を吐く。
そんなことで状況が変わるわけでもなく、クロノは仕方ないと言いたげに得物に触れる。
真っ直ぐ手を翳す少女。
ふわりと、魔力が一瞬高まった。
目に見えるほどにまで濃縮された魔力は、風の刃となり、踊るように襲い掛かってくる。
「っ」
それをクロノは転がるように避けた。
頭上を通り抜ける風刃。
疑いようがない、彼女が扱う紋章術は〝風〟である。
それは四大元素とも呼ばれる基礎属性の一つ。
そして……、クロノが最も苦手としている属性だ。
「わたしが、守るんだっ!」
言葉と共に、大砲レベルの威力と速度で襲い掛かってくる風刃。しかも広範囲。
これは避けられそうにないな、と他人事のように思いながらクロノは、少女と同じように片手を目の前に伸ばした。
と、同時。
予期しない別の音が、耳を打つ。
それはまるで、思い切り壁を殴ったような、堅い何かに衝撃を与えたような音だった。
クロノの目の前で風刃は、見えない何かに弾かれて消える。
僅かに肌に感じる、覚えのない懐かしい魔力。
「何が、起きたんだ……?」
驚きで目を見開くクロノ。
彼の正面では、少女が驚愕の表情を浮かべて固まっていた。
「…………なんだ、お前か」
突然背後から聞こえた第三者の声。
クロノは、その失礼極まりない言葉に、噛み付くような勢いで振り返った。
そこにいたのは、銀髪に褐色の肌の青年。無愛想な菫色の瞳がクロノを映している。
彼の傍らには、クロノのそれより色素の薄い金髪を持つ女性がおり、彼女は少女の方を向いている。彼らの服装は控え目なゴシックで、しかも何故かお揃い。服と同じくお揃いのチョーカーには、少年が身に付けているものと違う形の刻印があった。
クロノがいる結社とは違う組織に所属する、紋章術の使い手。
「……元気そうだな」
こんな状況でも相手を気遣う言葉が出てくるもんだと、クロノは内心苦笑いを浮かべる。
青年とはこちら側に踏み込む前からの知り合いで、幼馴染み。そして何より、彼はクロノが争奪戦に参加するきっかけである。同い年なのに容姿年齢に差があるのは、その辺が理由だったりする。青年が連れる女性のことは詳しく知らないが、おそらく彼女絡みで彼はこちら側に入ったのだろうとクロノは踏んでいる。本人があまり語らないので詳しくは知らないが。
「また、来た……」
静かに響いた声と同時に、少女は新たに現れた二人組に狙いを変えたらしい。
一文字に薙ぎった腕、ふわりと高まった魔力。
風刃は絶え間なく彼らを襲うが、やはり先程と同じように、見えない壁に弾かれている。
「お前が連れてるその人も、使い手なのか?」
「一応な」
風刃は突風に変わり、荒々しい風の刃が触れたものすべてを切り裂く。瞬く間に公園は無残な姿に変わり果てた。――だが、三人は無傷。女性が少女に手を向けて、自分たちを守るための見えない壁を作り出していた。先程クロノを助けたのも、彼女だったようだ。
突然、女性がくるりとこちらに……いや、青年に視線を向ける。
そのガラス玉のような、光の宿っていない翡翠色の瞳にクロノはぎょっとした。
「――――――」
「……そうか」
何言ってるのかわかるのかよ、と内心突っ込む。
女性は口を開けていたが声は発してなかった。……そう、クロノには見えた。
「放っておけ」
どこか突き放すように、青年は言い捨てた。
そして、相変わらずの無愛想な目付きでクロノを見た。
「お前、なんて結社に居座ってんだよ」
「は?」
「上が勝手に作っといて、不必要になったら下に始末させるようなところだぞ」
クロノには、彼の言葉の意味がわからなかった。
ただ、何度か聞いたことのある噂が脳裏をよぎる。
あの結社は人間を使って実験をしている。
根も葉もない噂だが、火のないところに煙は立たないとも言う。
だけど、もしかしたら……と何か悪い予感がした。
「それ、詳しく教え――」
「みんな、消えちゃえ!」
クロノの言葉を遮って聞こえたのは、何とも物騒な言葉。
今まで忘れていた少女の方を振り返ると、僅かに目を潤ませた彼女が、こちらを睨んでいた。それも、その綺麗な顔立ちからは想像も出来ないほどの、鬼のような形相で。
続けて少女が何か言葉を発しようとした、次の瞬間。
「へ?」
少女は間抜けな声を残して地面に倒れた。
どうやら、紋章術の使いすぎでガス欠したようだ。
辺りを吹き抜けていた風がピタリと止む。
静寂が訪れた。
「使い手と関係のある人間に魔導具を使って、鍵の模造品を造ろうとしてんだよ」
淡々と告げる青年の言葉が、耳に入ってきた。
「そこに倒れている女も、模造品の一つらしいが……ま、失敗作だって話だ」
「なんで……っ?」
「お前が聞いたんだろ、詳しく教えろって」
聞きたいのはそっちじゃない、と言い返そうとしたクロノだったが、気持ちと裏腹に口からは何も出て来ない。言いたいことはたくさんあるのに、何一つ言葉にならない。
真っ白になった思考の中で、淡々と告げられた言葉がぐるぐると回る。
「これ以上は俺も知らねえ。お前の組織の奴にでも聞けば良い」
青年は吐き捨てるようにそれだけ言うと、女性を連れてさっさと去って行く。
その背中をクロノは無言で見送った。……見送ることしか出来なかった。
彼のどこか辛そうに歪んだ表情に何も言えなかった。その顔はあの時と同じだった。
姉の代わりに術師結社に入ると決めた、あの時と。
いつもそうだ。クロノは、青年のそんな表情に弱い。
「あー、くそっ」
若干の自己嫌悪を振り払うようにガシガシと髪を掻くクロノ。
今はあのバカのことなどどうでも良いと自身に言い聞かせ、頭のスイッチを切り替える。
最優先事項は一刻を争うと言われたこの仕事の報告だ。内容については帰り道で考えれば良いとして、当面の問題は倒れている少女の対処だろう。
自分で歩けるか聞こうとしたクロノが、少女がガス欠ついでに気絶しているのに気付いた時には、今日は本当についてないと盛大なため息を零した。
ただ、久しぶりに会えた青年の生存確認が出来たついでに、重大な情報を得られたことを考えるとついていたのかもしれない。
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