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38話
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「まずはお耳をみていくよー!」
「はーい。」
そう言って透の耳を引っ張り、友梨奈先輩は覗き込む。耳かきをするときは笑顔だが、待たされたからか、いつも以上にご機嫌な様子だ。待ちきれないという気持ちが全身からあふれている。
対する透も緩く返事をする。透も愉快そうに笑い目を閉じた。
「おお!穴は狭いけど耳垢は大きい!みちみちだ!」
「私のやつ、凄いでしょ。すぐたまるんだ。」
「確かにすごい!!うーん!すぐにでも取りたいけど、まずは耳毛、切っちゃうね!」
「はーい。」
そういって、友梨奈先輩は鋏を取り出し、慎重な手つきで耳の穴に滑り込ませ、少しずつ動かしていく。
「気持ちいいね。なかなか上手じゃん。」
「部長だからね!経験値はこっちの中では一番の自信があるよ!でも、透ちゃんもすごいね。気持ちいいっていってるけど、全然動じてない!」
お互いに褒めあっている。伊織や宮古先輩の対戦相手とはまた違ったタイプだ。目を閉じたまま、しかし友梨奈先輩とのトークを普通に楽しんでるだけのように見える。
「耳毛切りおしまい!じゃ、少し落ちてる毛と細かいのを軽く取って、大物取って感じでやるね!」
友梨奈先輩はお気に入りの竹耳かきを取り出す。梵天側を構え、耳の中に入れていく。
「んっ。」
「耳が狭い分、梵天の毛がたくさん触れるからくすぐったいよねー。すぐ気持ちよくなるよ!大丈夫だとは思うけど、万が一痛みとか感じたらすぐ教えてね。」
うなるように梵天が回る。一見すると乱暴にすら見える動きだが、しかし、透が痛がる気配はない。
「んんっ!」
それどころか、耳毛の処理よりもよほど気持ちいいようで、体を震わせている。
「伊織、友梨奈の動き、見えてる?」
宮古先輩は唐突に伊織に声をかける。
「・・・はい。あの激しい動きは、精密に動かす以外の回答ですね。」
そんなタマの人ではない。友梨奈先輩は観客に見せるための動きをするような人ではない気がするが、せっかく伊織自身が友梨奈先輩から何かをつかみかけているのを敢えて邪魔する必要もないと思いなおした。
「うん。凄い細かい動きで耳垢を正確に取り、気持ちよくする方法もあるけど、柔らかい梵天と接触面を増やすという力技もある。試合に出てる以上、必要以上に神経質にならなくてもいいというのは、私も思った。」
狭い耳の中では下手なやり方だと、耳かきがより深く刺さって激痛になることもある。伊織は超精密な動きで耳そのものに触れず垢を取る高度な技術で快感をもたらしていたが、友梨奈先輩は柔らかいもので接触面をふやして敢えて刺激を強化して柔らかくも強い刺激を両立している。大きな技術は必要ない。力を入れすぎず、しかい、たくさんの毛が耳の壁を巻き込むようにするだけだ。
「きもちいー。眠くなってきちゃうよ。」
透の気の抜けた声。勝ち負けすらあまり気にしてなさそうですらある余裕。今までの二人ともまた違った圧を放っている。何一つ有利になる要素がないのに、確信するような余裕。
友梨奈先輩もそうだが、単純に楽しむ過程で観たものをすべて吸収してきたタイプに見えた。
「はーい。」
そう言って透の耳を引っ張り、友梨奈先輩は覗き込む。耳かきをするときは笑顔だが、待たされたからか、いつも以上にご機嫌な様子だ。待ちきれないという気持ちが全身からあふれている。
対する透も緩く返事をする。透も愉快そうに笑い目を閉じた。
「おお!穴は狭いけど耳垢は大きい!みちみちだ!」
「私のやつ、凄いでしょ。すぐたまるんだ。」
「確かにすごい!!うーん!すぐにでも取りたいけど、まずは耳毛、切っちゃうね!」
「はーい。」
そういって、友梨奈先輩は鋏を取り出し、慎重な手つきで耳の穴に滑り込ませ、少しずつ動かしていく。
「気持ちいいね。なかなか上手じゃん。」
「部長だからね!経験値はこっちの中では一番の自信があるよ!でも、透ちゃんもすごいね。気持ちいいっていってるけど、全然動じてない!」
お互いに褒めあっている。伊織や宮古先輩の対戦相手とはまた違ったタイプだ。目を閉じたまま、しかし友梨奈先輩とのトークを普通に楽しんでるだけのように見える。
「耳毛切りおしまい!じゃ、少し落ちてる毛と細かいのを軽く取って、大物取って感じでやるね!」
友梨奈先輩はお気に入りの竹耳かきを取り出す。梵天側を構え、耳の中に入れていく。
「んっ。」
「耳が狭い分、梵天の毛がたくさん触れるからくすぐったいよねー。すぐ気持ちよくなるよ!大丈夫だとは思うけど、万が一痛みとか感じたらすぐ教えてね。」
うなるように梵天が回る。一見すると乱暴にすら見える動きだが、しかし、透が痛がる気配はない。
「んんっ!」
それどころか、耳毛の処理よりもよほど気持ちいいようで、体を震わせている。
「伊織、友梨奈の動き、見えてる?」
宮古先輩は唐突に伊織に声をかける。
「・・・はい。あの激しい動きは、精密に動かす以外の回答ですね。」
そんなタマの人ではない。友梨奈先輩は観客に見せるための動きをするような人ではない気がするが、せっかく伊織自身が友梨奈先輩から何かをつかみかけているのを敢えて邪魔する必要もないと思いなおした。
「うん。凄い細かい動きで耳垢を正確に取り、気持ちよくする方法もあるけど、柔らかい梵天と接触面を増やすという力技もある。試合に出てる以上、必要以上に神経質にならなくてもいいというのは、私も思った。」
狭い耳の中では下手なやり方だと、耳かきがより深く刺さって激痛になることもある。伊織は超精密な動きで耳そのものに触れず垢を取る高度な技術で快感をもたらしていたが、友梨奈先輩は柔らかいもので接触面をふやして敢えて刺激を強化して柔らかくも強い刺激を両立している。大きな技術は必要ない。力を入れすぎず、しかい、たくさんの毛が耳の壁を巻き込むようにするだけだ。
「きもちいー。眠くなってきちゃうよ。」
透の気の抜けた声。勝ち負けすらあまり気にしてなさそうですらある余裕。今までの二人ともまた違った圧を放っている。何一つ有利になる要素がないのに、確信するような余裕。
友梨奈先輩もそうだが、単純に楽しむ過程で観たものをすべて吸収してきたタイプに見えた。
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