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三章 狂ったコト
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「ユキ、エミから何か届いた」
エミが僕の心を揺るがして遠方へ帰ってしまってから二ヶ月が経っていた。
降り止まない雨空を窓から眺めていた僕に、アールは小箱を持ってきた。
「開けたら何かが飛び出してくるかもしれないよ」
「流行に拘っていたエミに限って、数十年前に流行った悪戯を再現する可能性はないだろう」
「冗談だってば」
生真面目な執事から箱を受け取り、丁寧にテープを剥がしていく。エミも洒落た事をする。
「あれ、見てよ見てよ!」
思わず声を上げた僕の手元を、アールは興味深げに覗き込む。勿論、それは僕の主観であって、アールはいつも通りの無表情だ。
「へぇ、エミ、アールを見て憧れたんだってさ。よかったね」
中に同封された手紙と写真。写真にはエミが笑顔で人型ロボの肩に手を置いている場面が写されている。見た目はアールとは違い、少し不真面目そうだ。きっとエミの好みなのだろう。手紙には、アールの様な友達が側にいて欲しかったと書いてある。
「よかったのは人型ロボを開発、製造した者達だろう。しかし、エミは小型の愛玩ロボの方がふさわしい様に見える」
「確かに可愛いのが好きそうだしね」
でもアールが言いたいのは、フットワークの軽いエミには、エネルギィ消費の少ない小型ロボの方が合ってるって事なんだろう。それを言ったら僕も同じなんだけど、そこには触れない。僕はアールに不満があるわけじゃないし。
「……で、どうして指輪が送られてくるんだろうね?」
手紙と写真、それから指輪が、送られてきた内容だった。
「求婚の意味ではないだろうから、単純にユキに似合うと判断したのだろう」
「つけた方がいいのかなあ?」
「そうするべきだ」
どんな理由が込められているのかもわからないけど、僕はシルバーの細い指輪を中指に嵌めた。
「ピッタリだ」
「サイズはね」
アクセサリーをつけたのは何年ぶりだろうか。少しの居心地の悪さと、遠方の友人への思いが入り混じっていた。
「お礼はメッセージでいいかな?」
「伝わればなんでも構わないだろう」
エミが今何をしているか、僕はわからないけど、手紙を送るより気軽にメッセージを送った方が邪魔にならないだろう。そもそも手紙なんて古典的な連絡手段、初めて受け取った。
「メッセージが届いた。シュウからだ」
「え?どうしたんだろう」
こんな雨の日にどこかに誘い出す様な人じゃないし。
「ヴァーチャルフライトをやっているらしい。ユキも来ないか、との事だ」
そうか、VRマシンはほとんどの家庭に置いてある。だからシュウは僕の暮らす部屋にマシンが無いとは思っていないのだろう。
「断るか?」
「いや、暇だし、VR喫茶に行くよ。傘さして行けば問題ないよ」
支度しようとするアールを、僕は手で制した。
「アールは部屋にいていいよ。すぐ近所だし、今日の雨量じゃショートしないか心配だ」
「わかった」
VRゲームか。あまり好んでやらなかったけど、シュウとやるならきっと楽しめるだろう。
エミが僕の心を揺るがして遠方へ帰ってしまってから二ヶ月が経っていた。
降り止まない雨空を窓から眺めていた僕に、アールは小箱を持ってきた。
「開けたら何かが飛び出してくるかもしれないよ」
「流行に拘っていたエミに限って、数十年前に流行った悪戯を再現する可能性はないだろう」
「冗談だってば」
生真面目な執事から箱を受け取り、丁寧にテープを剥がしていく。エミも洒落た事をする。
「あれ、見てよ見てよ!」
思わず声を上げた僕の手元を、アールは興味深げに覗き込む。勿論、それは僕の主観であって、アールはいつも通りの無表情だ。
「へぇ、エミ、アールを見て憧れたんだってさ。よかったね」
中に同封された手紙と写真。写真にはエミが笑顔で人型ロボの肩に手を置いている場面が写されている。見た目はアールとは違い、少し不真面目そうだ。きっとエミの好みなのだろう。手紙には、アールの様な友達が側にいて欲しかったと書いてある。
「よかったのは人型ロボを開発、製造した者達だろう。しかし、エミは小型の愛玩ロボの方がふさわしい様に見える」
「確かに可愛いのが好きそうだしね」
でもアールが言いたいのは、フットワークの軽いエミには、エネルギィ消費の少ない小型ロボの方が合ってるって事なんだろう。それを言ったら僕も同じなんだけど、そこには触れない。僕はアールに不満があるわけじゃないし。
「……で、どうして指輪が送られてくるんだろうね?」
手紙と写真、それから指輪が、送られてきた内容だった。
「求婚の意味ではないだろうから、単純にユキに似合うと判断したのだろう」
「つけた方がいいのかなあ?」
「そうするべきだ」
どんな理由が込められているのかもわからないけど、僕はシルバーの細い指輪を中指に嵌めた。
「ピッタリだ」
「サイズはね」
アクセサリーをつけたのは何年ぶりだろうか。少しの居心地の悪さと、遠方の友人への思いが入り混じっていた。
「お礼はメッセージでいいかな?」
「伝わればなんでも構わないだろう」
エミが今何をしているか、僕はわからないけど、手紙を送るより気軽にメッセージを送った方が邪魔にならないだろう。そもそも手紙なんて古典的な連絡手段、初めて受け取った。
「メッセージが届いた。シュウからだ」
「え?どうしたんだろう」
こんな雨の日にどこかに誘い出す様な人じゃないし。
「ヴァーチャルフライトをやっているらしい。ユキも来ないか、との事だ」
そうか、VRマシンはほとんどの家庭に置いてある。だからシュウは僕の暮らす部屋にマシンが無いとは思っていないのだろう。
「断るか?」
「いや、暇だし、VR喫茶に行くよ。傘さして行けば問題ないよ」
支度しようとするアールを、僕は手で制した。
「アールは部屋にいていいよ。すぐ近所だし、今日の雨量じゃショートしないか心配だ」
「わかった」
VRゲームか。あまり好んでやらなかったけど、シュウとやるならきっと楽しめるだろう。
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