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三章 狂ったコト
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高鳴る胸の鼓動が収まらない。
緊張しているのか?
自問するが、答えなんてわからない。
僕はこの感情を長い間忘れていた。
血が滾る。
この言葉が一番しっくりくる。
「さあ、始めようか」
シュウは隣でニッと笑った。
小さい僕は、大きい仲間と共に、ピリピリと張り詰めた空域に入る。
敵機は幾つだろう。二対十って所か。
珍しい、鳥人間を見つけた。あいつは何が出来るのか。僕らのように特殊な技を持っているんだろうな。用心だ。
静寂。
直後、鳥人間が動き出した。速い。
それを合図に一斉に撃ち込まれる。
当然、それを受ける僕らじゃない。
僕は広げた翼から無数の羽根を放つ。
それはすべての弾丸を迎撃し、落とした。
そもそも目視できるスピィドの弾は、僕には当たらない。
右手に剣を創り出して、一直線に飛ぶ。
目標は鳥人間。
彼は一瞬逃げる姿勢をとったが、直ぐにこちらに向かって来た。良い判断だ。僕の速さから逃れられる者はいないから。
振り上げた剣を叩きつける。
鈍い音を立てて弾かれたのは、僕だった。
クソ、力不足だ。
鳥人間は手と一体化した羽を剣にぶつけたわけだけど、どうやらあの羽は相当硬いらしい。剣を握った僕の手は痺れている。
VRマシンが僕の手に電気を流しているのだろうか。
いや、現実の事なんて今は忘れろ。
目の前に集中する。
鳥人間は僕に追撃する事もなく、後方に飛んで行った。なるほど、狙いはシュウか。
僕もあいつに未練はなく、直ぐに九機の戦闘機の位置を確認する。鳥人間はドラゴンのブレスによって焼き鳥になる筈だ。シュウに任せて問題ない。
まずは手近にいる一機に羽根の弾丸をお見舞いする。幾つかは刺さるけど、やはり僕の攻撃は火力不足だ。仕留めきれないまま敵を逃し、僕は背後に迫った弾丸を避ける。
旋回。
ボサッとしてるそいつに剣を振り下ろした。
爆破。
仕留めたつもりでいるからそうなるんだ。
弾丸の雨。
僕は身を捩りながら、羽根で迎撃しながら凌ぐ。
そして、一機に迫り、スピィドを乗せた刺突を繰り出す。
爆破。
気持ちが良い。
僕は止まらず、煙の陰から更に一機を破壊する。
剣はいいな。
攻撃力があるし、
何よりも、
命を絶つ感覚がたまらない。
ゾクゾクする。
僕は笑っていただろうか。
敵と目があった。
ゴーグル越しでもはっきりとわかった。
狼狽が見てとれる。
何をそんなに狼狽えるのだ。
死が恐ければ殺してみろ。
現代を弱肉強食にしたのは誰だ?
僕はもう淘汰される側ではない。
逆手に持った剣をゆっくりと掲げ、全力で投げた。
僕に怯えた時点でお前の敗北は決まっていたんだ。
剣は敵機の操縦士を貫通し、更にその後ろの一機に刺さって爆破した。
ナイスポジショニング。
前線に加わらないで楽してるからバチが当たったんだ。
一機が弾丸を連射しながら向かって来た。近距離なら当たると思ったのかな。
バカだなあ。
僕に攻撃を当てたいなら百機で周りを囲んでからにしなよ。
近くまで来た敵機に僕は微笑んでから、剣を創造した。一定時間が経った事を確認してから剣を捨てたんだ。こいつは僕が丸腰だと勘違いしていたのだろうな。
爆破。
頭が悪い奴も直ぐ死ぬんだ。
その煙の陰を利用して、僕を狙う間抜けがいた。
さっき僕も同じ手段で一機を破壊したけど、だからこそその手段には注意している。
宙返り。煙の向こう側にいたのは、手負いの一機だった。僕の羽根がガラスに刺さり、ヒビが入っている。
口角が上がる。
僕は広げた翼から、無数の羽根を放つ。狙いは全て、ヒビの入ったガラスだ。
攻撃力が低いからって甘く見たな。
確かに戦闘機を破壊する事は叶わなかったが、防弾ガラスは割れ、無数の羽根は操縦士の胸に深々突き刺さる。
血を降らせながら高度を下げていく戦闘機を見送る僕は、このリアリティに満足した。
これだから、やめられない。
さあ、次は誰を殺そうか。
しかし、もう残っているのは二機だけ。楽しい事ほどすぐに終わってしまう。
その時、上空から何か降ってきた。
「避けろ!」
シュウの叫び。
声に突き動かされて距離を取る。
しかし、その規模は大きすぎた。
爆発。
空中で咲いた花火のようにその爆弾は弾けた。
身体を庇った腕が、ジリジリと焼かれる。
風圧で大きく飛ばされる。
熱い。
痛い。
僕を見下ろす鳥人間と目が合った。
お前の仕業か。
憎い。
殺す。
爆風に機体を煽られた愚かな一機に僕は迫り、その隙を叩いた。
同じ瞬間、もう一機はドラゴンの尻尾で叩き落とされていた。
あとはお前だけだ。
もう一度鳥人間を見上げる。
僕より高いところにいるのが気に食わない。
舞い上がる。
突き出した剣は彼の片翼に阻まれる。その状態のまま、僕は羽根の弾丸を放つ。
しかしもう片方の翼が彼の身体を守った。
邪魔な翼だ。
だが身体自体は人間と変わらない弱さらしい。
防ぎきれなかった羽根が刺さって血を流している。
一旦距離を置く。
直後、火炎放射が落ちてきた。
鳥人間は足を燃やしながらも躱していた。
熱そうじゃないか。
剣を横に薙ぐ。
火に覆われた両足が切り離され、落ちた。
感謝しろよ。焼き鳥にならずに済んだのだから。
しかし直後、ドラゴンの尻尾が彼に叩きつけられた。これでは挽肉になってしまう。
慌てて吹き飛んだ鳥人間に迫り、彼の羽の付け根に剣を差し込んだ。
硬いけど、先端ほどではない。
肉を裂く音と共に片翼は千切れ、上手く飛べなくなった彼は、平衡感覚を失ったゴキブリみたいにその場で無様にジタバタと回る。
「醜い奴に美しい空を飛ぶ権利はない」
僕は無防備な彼を見下ろし、振り下ろした剣で真っ二つにした。
緊張しているのか?
自問するが、答えなんてわからない。
僕はこの感情を長い間忘れていた。
血が滾る。
この言葉が一番しっくりくる。
「さあ、始めようか」
シュウは隣でニッと笑った。
小さい僕は、大きい仲間と共に、ピリピリと張り詰めた空域に入る。
敵機は幾つだろう。二対十って所か。
珍しい、鳥人間を見つけた。あいつは何が出来るのか。僕らのように特殊な技を持っているんだろうな。用心だ。
静寂。
直後、鳥人間が動き出した。速い。
それを合図に一斉に撃ち込まれる。
当然、それを受ける僕らじゃない。
僕は広げた翼から無数の羽根を放つ。
それはすべての弾丸を迎撃し、落とした。
そもそも目視できるスピィドの弾は、僕には当たらない。
右手に剣を創り出して、一直線に飛ぶ。
目標は鳥人間。
彼は一瞬逃げる姿勢をとったが、直ぐにこちらに向かって来た。良い判断だ。僕の速さから逃れられる者はいないから。
振り上げた剣を叩きつける。
鈍い音を立てて弾かれたのは、僕だった。
クソ、力不足だ。
鳥人間は手と一体化した羽を剣にぶつけたわけだけど、どうやらあの羽は相当硬いらしい。剣を握った僕の手は痺れている。
VRマシンが僕の手に電気を流しているのだろうか。
いや、現実の事なんて今は忘れろ。
目の前に集中する。
鳥人間は僕に追撃する事もなく、後方に飛んで行った。なるほど、狙いはシュウか。
僕もあいつに未練はなく、直ぐに九機の戦闘機の位置を確認する。鳥人間はドラゴンのブレスによって焼き鳥になる筈だ。シュウに任せて問題ない。
まずは手近にいる一機に羽根の弾丸をお見舞いする。幾つかは刺さるけど、やはり僕の攻撃は火力不足だ。仕留めきれないまま敵を逃し、僕は背後に迫った弾丸を避ける。
旋回。
ボサッとしてるそいつに剣を振り下ろした。
爆破。
仕留めたつもりでいるからそうなるんだ。
弾丸の雨。
僕は身を捩りながら、羽根で迎撃しながら凌ぐ。
そして、一機に迫り、スピィドを乗せた刺突を繰り出す。
爆破。
気持ちが良い。
僕は止まらず、煙の陰から更に一機を破壊する。
剣はいいな。
攻撃力があるし、
何よりも、
命を絶つ感覚がたまらない。
ゾクゾクする。
僕は笑っていただろうか。
敵と目があった。
ゴーグル越しでもはっきりとわかった。
狼狽が見てとれる。
何をそんなに狼狽えるのだ。
死が恐ければ殺してみろ。
現代を弱肉強食にしたのは誰だ?
僕はもう淘汰される側ではない。
逆手に持った剣をゆっくりと掲げ、全力で投げた。
僕に怯えた時点でお前の敗北は決まっていたんだ。
剣は敵機の操縦士を貫通し、更にその後ろの一機に刺さって爆破した。
ナイスポジショニング。
前線に加わらないで楽してるからバチが当たったんだ。
一機が弾丸を連射しながら向かって来た。近距離なら当たると思ったのかな。
バカだなあ。
僕に攻撃を当てたいなら百機で周りを囲んでからにしなよ。
近くまで来た敵機に僕は微笑んでから、剣を創造した。一定時間が経った事を確認してから剣を捨てたんだ。こいつは僕が丸腰だと勘違いしていたのだろうな。
爆破。
頭が悪い奴も直ぐ死ぬんだ。
その煙の陰を利用して、僕を狙う間抜けがいた。
さっき僕も同じ手段で一機を破壊したけど、だからこそその手段には注意している。
宙返り。煙の向こう側にいたのは、手負いの一機だった。僕の羽根がガラスに刺さり、ヒビが入っている。
口角が上がる。
僕は広げた翼から、無数の羽根を放つ。狙いは全て、ヒビの入ったガラスだ。
攻撃力が低いからって甘く見たな。
確かに戦闘機を破壊する事は叶わなかったが、防弾ガラスは割れ、無数の羽根は操縦士の胸に深々突き刺さる。
血を降らせながら高度を下げていく戦闘機を見送る僕は、このリアリティに満足した。
これだから、やめられない。
さあ、次は誰を殺そうか。
しかし、もう残っているのは二機だけ。楽しい事ほどすぐに終わってしまう。
その時、上空から何か降ってきた。
「避けろ!」
シュウの叫び。
声に突き動かされて距離を取る。
しかし、その規模は大きすぎた。
爆発。
空中で咲いた花火のようにその爆弾は弾けた。
身体を庇った腕が、ジリジリと焼かれる。
風圧で大きく飛ばされる。
熱い。
痛い。
僕を見下ろす鳥人間と目が合った。
お前の仕業か。
憎い。
殺す。
爆風に機体を煽られた愚かな一機に僕は迫り、その隙を叩いた。
同じ瞬間、もう一機はドラゴンの尻尾で叩き落とされていた。
あとはお前だけだ。
もう一度鳥人間を見上げる。
僕より高いところにいるのが気に食わない。
舞い上がる。
突き出した剣は彼の片翼に阻まれる。その状態のまま、僕は羽根の弾丸を放つ。
しかしもう片方の翼が彼の身体を守った。
邪魔な翼だ。
だが身体自体は人間と変わらない弱さらしい。
防ぎきれなかった羽根が刺さって血を流している。
一旦距離を置く。
直後、火炎放射が落ちてきた。
鳥人間は足を燃やしながらも躱していた。
熱そうじゃないか。
剣を横に薙ぐ。
火に覆われた両足が切り離され、落ちた。
感謝しろよ。焼き鳥にならずに済んだのだから。
しかし直後、ドラゴンの尻尾が彼に叩きつけられた。これでは挽肉になってしまう。
慌てて吹き飛んだ鳥人間に迫り、彼の羽の付け根に剣を差し込んだ。
硬いけど、先端ほどではない。
肉を裂く音と共に片翼は千切れ、上手く飛べなくなった彼は、平衡感覚を失ったゴキブリみたいにその場で無様にジタバタと回る。
「醜い奴に美しい空を飛ぶ権利はない」
僕は無防備な彼を見下ろし、振り下ろした剣で真っ二つにした。
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