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三章 狂ったコト
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近頃はマシン酔いもしなくなってきて、現実と仮想現実の区別が薄くなってきた。それをアールに話してみたら、
「仮想現実に熱中出来るのも人間の才能だ」
なんて言っていた。じゃあ僕は今まで人間ではなかったのだろうか。
そんな事はさておき、アールが僕を心配する事が増えた。これは少し、理解出来ない。
特にVR喫茶から帰ってきた時だ。僕は気分良く帰って来てるつもりなんだけど、必ず一言は「大丈夫か?」と言われる。
仕事が終わった後も、「ストレスは以前より感じていなさそうだ」なんて言う割に、少し寂しげな様子だ。
いや、アールが寂しがるわけないんだ。つまり、僕の主観。これはアールが僕を映す鏡だと言い換える事ができる。
では僕が寂しがっているという事か。何に対して?
自分がわからない。
「ユキ、シュウから電話だ」
近頃は毎日の様にシュウとは連絡を取っている。
僕はケータイを開いて通話モードにする。
『よ、ユキ。元気か?』
「それ、昨日も質問されたよ」
『はは、元気ならまた空を飛ぼうと思ってな』
「また戦闘要請?」
僕らは連戦に連勝中だ。一体どこの無謀な物好きが戦いたがるのか。仮想現実空間内でも死ぬのは不快な筈だけど、それは僕だけか?
いや、僕は寧ろ現実に生きたくない。
仮想現実にずっといたい。
だからこんなに空に執着するのかもしれない。
『いや、今日は俺と戦わないか?お互いのお願いを一つ賭けて』
「え?どうしたのさ」
『俺たちが組んで勝てない相手なんて殆どいないだろ?だからその方が面白いと思うんだ。ま、ユキに頼みたい事があるから賭けにしたんだけどな』
僕は空を飛ぶだけで楽しんでいるし、シュウの頼みなら大体聞くだろう。だけど確かに、彼と戦ってみたいとも思った。
「オーケー。受けるよ」
電話越しに笑った彼を訝しむ事もなく、僕は準備し始めた。
「仮想現実に熱中出来るのも人間の才能だ」
なんて言っていた。じゃあ僕は今まで人間ではなかったのだろうか。
そんな事はさておき、アールが僕を心配する事が増えた。これは少し、理解出来ない。
特にVR喫茶から帰ってきた時だ。僕は気分良く帰って来てるつもりなんだけど、必ず一言は「大丈夫か?」と言われる。
仕事が終わった後も、「ストレスは以前より感じていなさそうだ」なんて言う割に、少し寂しげな様子だ。
いや、アールが寂しがるわけないんだ。つまり、僕の主観。これはアールが僕を映す鏡だと言い換える事ができる。
では僕が寂しがっているという事か。何に対して?
自分がわからない。
「ユキ、シュウから電話だ」
近頃は毎日の様にシュウとは連絡を取っている。
僕はケータイを開いて通話モードにする。
『よ、ユキ。元気か?』
「それ、昨日も質問されたよ」
『はは、元気ならまた空を飛ぼうと思ってな』
「また戦闘要請?」
僕らは連戦に連勝中だ。一体どこの無謀な物好きが戦いたがるのか。仮想現実空間内でも死ぬのは不快な筈だけど、それは僕だけか?
いや、僕は寧ろ現実に生きたくない。
仮想現実にずっといたい。
だからこんなに空に執着するのかもしれない。
『いや、今日は俺と戦わないか?お互いのお願いを一つ賭けて』
「え?どうしたのさ」
『俺たちが組んで勝てない相手なんて殆どいないだろ?だからその方が面白いと思うんだ。ま、ユキに頼みたい事があるから賭けにしたんだけどな』
僕は空を飛ぶだけで楽しんでいるし、シュウの頼みなら大体聞くだろう。だけど確かに、彼と戦ってみたいとも思った。
「オーケー。受けるよ」
電話越しに笑った彼を訝しむ事もなく、僕は準備し始めた。
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