56 / 161
第五十六話
しおりを挟む
あっ……ちなみに緑川も好きになっている。緑川の場合は、僕が苦しかった時にそっと傍に居てくれた恩みたいなものもある。板額とはまた違った意味で今は大好きな女の子なのだ。
そして板額も緑川も、僕にとってはたった一人の家族である母と共にとても大切な人になりつつあった。
さて、また話がまたあらぬ方向へ流れてしまったので、元にも戻そう。
「板額、お前さ、今の時期、そんなタイツ履いてて暑くないの?」
ここまで言われた僕はもう覚悟を決めて思ってた事をそのまま板額にぶつけた。
「与一は気になるのかい?」
板額は小首を傾げてそう聞き返して来た。
「なんか、こんな蒸し暑い時期は蒸れそうでさ」
「与一、それってやっぱり僕のスカートの中の事想像してる?
いつもの様に触った時に蒸れてるのは嫌って事かな?
いや、ひょっとしてえっちな与一はそっちの方が好み?」
僕がそう答えると、けらけら笑いながら板額がからかうように言った。
「違う! 心配してるんだ!
それに僕はそんなマニアックな性癖は無いぞ!」
正直に言うとそう言う状態で触った時の事を僕は思わず想像してしてしまっていた。そしてそんな状態の板額に触れてみたいとも思った。出来れば可愛く恥ずかしがってくれれば、なおの事良いって思った。でもそれはこの年頃の男の子なら正常な反応だ。決して僕がおかしいとか変態って事ではないはずだ。誰だってそんな妄想をするに違いない……と思いたい。
ちなみに、中間考査などがあって板額……まあ緑川ともだけど……キスはたまにしてたけどそれ以上のえっちな事は自粛してたので僕自身はまだ確かめてないのだ。進学校で有名な葵高の生徒たるもの、例え彼女の一人や二人いても、やはり定期考査期間中は勉学優先でなければならない。
「あっ、与一のその反応、絶対に想像してた!」
僕の反応を見てなおも笑いながら板額はそう言った。まったくこいつはどこまで僕の事を分かってるんだろうか? 下手すると母以上に理解してる様な気すらする。怖い奴だ。でもだからと言って嫌いになれない。むしろここまで理解されてると安心感すらある。
「ああっ、そうですよ!
どうせ僕はえっちな変態さんだよ……」
こうなってはどれだけ口で言い訳したって相手が板額じゃ分が悪い。ここは経験上、開き直った方が良いと僕は判断した。
「与一、素直に認めちゃうんだ。
ちょっと意外」
「お前相手に下手な言い訳は逆にドツボに嵌るわ」
「そう言われると何か嬉しいやら悲しいやら不思議な気分」
板額はそう言って大げさに『テヘペロ』と言う仕草をした。こんなわざとらしい仕草でもこいつはやっぱり可愛いんだよな、と僕はやっぱり反射的に思ってしまう。僕の前ではかなり素直になった緑川でもここまではない。と言うかやっぱり緑川のそれと板額のは、表向きは似てても根っこの部分が全く違う様な気がしてならないのだ。でもそれが何かとはなかなか言葉で言い表せないもどかしさがある。
「でもさ、考えてみたら女子のタイツって、
男子の長ズボンとタイツって同じ様な物だよね。
布地の厚み考えたらズボンの方が夏服でも厚い。
それならあんまり変わらないって気もしてきた。
むしろスカートなんか下が解放されてる分涼しいじゃないか?」
ここで僕はあえて冷静かつ論理的分析を披露して自身の立場の回復を狙うのであった。
「確かにそう思えるよね。
僕もスカート履く前はそう思ってた事もあるよ。
でもスカートって最初はすかすかして頼りないけど、
ミニならいざ知らず僕くらいの長さだと夏場は結構暑いんだよ。
だって上は閉まっていて暑い空気が溜まっちゃうからね。
それに肌にぴったりしてるタイツやパンストは生地は薄くても、
見た目より通気性が悪くてかなり暑くて蒸れて大変なんだよ。
だから夏場は巴みたいに生足が一番!」
「じゃあ、お前もそうすりゃ良いのに」
「って与一は僕の生足が見たいって事?」
「馬鹿野郎! そう言う事じゃない!」
まあ、見たくないと言えば嘘になる。いや実際は積極的に板額の生足を見てみたい。そう言えば僕はまだ板額の生足を見た事はないのだ。
いや、今、板額は何か気になる言い方しなかったか? 僕は今の板額の言葉に妙な違和感を感じた。
「だから僕だって見かけは同じでもちゃんと夏仕様になってるよ。
じゃあ、えっちな与一に見せてあげよう」
ところが、次に言った板額の言葉で、僕はその違和感を考える事をあっさりと放棄してしまった。
そして板額も緑川も、僕にとってはたった一人の家族である母と共にとても大切な人になりつつあった。
さて、また話がまたあらぬ方向へ流れてしまったので、元にも戻そう。
「板額、お前さ、今の時期、そんなタイツ履いてて暑くないの?」
ここまで言われた僕はもう覚悟を決めて思ってた事をそのまま板額にぶつけた。
「与一は気になるのかい?」
板額は小首を傾げてそう聞き返して来た。
「なんか、こんな蒸し暑い時期は蒸れそうでさ」
「与一、それってやっぱり僕のスカートの中の事想像してる?
いつもの様に触った時に蒸れてるのは嫌って事かな?
いや、ひょっとしてえっちな与一はそっちの方が好み?」
僕がそう答えると、けらけら笑いながら板額がからかうように言った。
「違う! 心配してるんだ!
それに僕はそんなマニアックな性癖は無いぞ!」
正直に言うとそう言う状態で触った時の事を僕は思わず想像してしてしまっていた。そしてそんな状態の板額に触れてみたいとも思った。出来れば可愛く恥ずかしがってくれれば、なおの事良いって思った。でもそれはこの年頃の男の子なら正常な反応だ。決して僕がおかしいとか変態って事ではないはずだ。誰だってそんな妄想をするに違いない……と思いたい。
ちなみに、中間考査などがあって板額……まあ緑川ともだけど……キスはたまにしてたけどそれ以上のえっちな事は自粛してたので僕自身はまだ確かめてないのだ。進学校で有名な葵高の生徒たるもの、例え彼女の一人や二人いても、やはり定期考査期間中は勉学優先でなければならない。
「あっ、与一のその反応、絶対に想像してた!」
僕の反応を見てなおも笑いながら板額はそう言った。まったくこいつはどこまで僕の事を分かってるんだろうか? 下手すると母以上に理解してる様な気すらする。怖い奴だ。でもだからと言って嫌いになれない。むしろここまで理解されてると安心感すらある。
「ああっ、そうですよ!
どうせ僕はえっちな変態さんだよ……」
こうなってはどれだけ口で言い訳したって相手が板額じゃ分が悪い。ここは経験上、開き直った方が良いと僕は判断した。
「与一、素直に認めちゃうんだ。
ちょっと意外」
「お前相手に下手な言い訳は逆にドツボに嵌るわ」
「そう言われると何か嬉しいやら悲しいやら不思議な気分」
板額はそう言って大げさに『テヘペロ』と言う仕草をした。こんなわざとらしい仕草でもこいつはやっぱり可愛いんだよな、と僕はやっぱり反射的に思ってしまう。僕の前ではかなり素直になった緑川でもここまではない。と言うかやっぱり緑川のそれと板額のは、表向きは似てても根っこの部分が全く違う様な気がしてならないのだ。でもそれが何かとはなかなか言葉で言い表せないもどかしさがある。
「でもさ、考えてみたら女子のタイツって、
男子の長ズボンとタイツって同じ様な物だよね。
布地の厚み考えたらズボンの方が夏服でも厚い。
それならあんまり変わらないって気もしてきた。
むしろスカートなんか下が解放されてる分涼しいじゃないか?」
ここで僕はあえて冷静かつ論理的分析を披露して自身の立場の回復を狙うのであった。
「確かにそう思えるよね。
僕もスカート履く前はそう思ってた事もあるよ。
でもスカートって最初はすかすかして頼りないけど、
ミニならいざ知らず僕くらいの長さだと夏場は結構暑いんだよ。
だって上は閉まっていて暑い空気が溜まっちゃうからね。
それに肌にぴったりしてるタイツやパンストは生地は薄くても、
見た目より通気性が悪くてかなり暑くて蒸れて大変なんだよ。
だから夏場は巴みたいに生足が一番!」
「じゃあ、お前もそうすりゃ良いのに」
「って与一は僕の生足が見たいって事?」
「馬鹿野郎! そう言う事じゃない!」
まあ、見たくないと言えば嘘になる。いや実際は積極的に板額の生足を見てみたい。そう言えば僕はまだ板額の生足を見た事はないのだ。
いや、今、板額は何か気になる言い方しなかったか? 僕は今の板額の言葉に妙な違和感を感じた。
「だから僕だって見かけは同じでもちゃんと夏仕様になってるよ。
じゃあ、えっちな与一に見せてあげよう」
ところが、次に言った板額の言葉で、僕はその違和感を考える事をあっさりと放棄してしまった。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる