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27歳、先行き真っ暗 1
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先行き真っ暗な人生ってきっと今の私みたいな人のことを言うんだろう。
27歳、仕事に全力だった私は突然無職になることが決まりました。
私は加賀美心春、27歳。
プログラマーとして現在働いているこの会社の倒産が1ヶ月後の4月に決定したと告げられたのは突然の出来事だった。
従業員が100人ほどのそこまで大きな会社ではないがプログラマーとしてやりがいも感じていた矢先のことで、誰一人この現実を受け入れられていない様子だ。
一緒に働く社員たちは途方に暮れており、再就職先を急いで探していた。
それは私自身も同じで、どうしても私には働き続けなければいけない理由がある。
私には4月から大学3年生になる弟がおり、彼の大学の学費を払うために無職になるわけにはいかなかった。
「突然倒産なんてありえない。仕事なくなったら私たちどうなるのよ」
「こんなぎりぎりまで言ってくれないなんて、どういうつもりなんだよ」
会社に対しての不満が同僚の口々から溢れていき、空気がどんどん重たくどんよりとしていくのが分かった。
そんな風に愚痴や怒りを言いたい気持ちもすごく分かる。
会社は、はい倒産します、と言ってしまえば気が楽になるのかもしれないが、私たちとしてはこれから生きていくために次の就職先を探さなければならない。
だけどたった1ヶ月ですぐ見つかるほど世の中甘くはないと思う。
それぞれに生活や家族などがあるだろうし、それを守るために私たちは必死だった。
私はと言うと、パソコンに向かって最後の仕事になるであろうプログラミング作業に向き合う。
「それ、加賀美ちゃんが任されてた最後の仕事だよね?」
「うん。これだけは仕上げておきたくて」
「えらいよねほんと加賀美ちゃんって。こんな状況なのにちゃんと仕事しててすごいや」
「あははは。私自身すごく焦ってるよ。次の仕事先見つけないとなって思ってる」
数箇所のバグが見つかっているためそれの修正と動作確認のテストを終わらせれば先方に提出することができる。
あと数日で終わらせられそうだった。
この作業を終わらせた後、急いで次の就職先を探すつもりだ。
プログラマー自体は名前もかっこいいしなりたいと思う人はたくさんいるものの、案外地味な職種だと思う。
表舞台に立つことは基本的になく、ほとんどの時間をパソコンと向き合ってにらめっこしていた。
基本的には設計通りに動作するかのテスト、デバッグ作業と言ってバグと呼ばれる間違いを探し不具合の原因を特定、修正、排除を繰り返す。
名前だけがかっこいいと先行しがちだが、実際やってみるとパソコンに向き合う時間以上に圧倒的に完成までの時間がかかるのも特徴だ。
だけどこの地味なデバッグ作業はプログラムの開発や品質向上において、なくてはならない存在のためやりがいも感じられる。
「加賀美くらいのプログラマーだったら"東雲ホールディングス"とか入社できそうじゃない?」
「確かに。加賀美ちゃんなら入れそう」
「買い被りすぎだよ」
同僚の口々から聞く"東雲ホールディングス"とは、主にシステム開発を中心に功績を残す大企業だ。
多数のシステムエンジニアやプログラマーが所属しており、私たちのような仕事をしている者からしたら1度は入ってみたいと思う憧れの会社だった。
ただ求められるスキルもやはり高い分、入社は高い壁だとも言われている。
新卒採用も入社予定人数10人に対して応募が300名以上来たとの噂も聞いたことがあった。
パソコンに向き合う横で男女2人の同僚が先の不安を打ち消すように会話を繰り返す。
倒産が決まっている会社のため、クライアントからの仕事はもうほとんどないため、皆やることがないんだろう。
「どうするかな~俺。株式会社kisaragiとか応募してみようかな」
「あんたじゃ無理でしょそこだって。システム開発の企業のNO.2だよ?」
「あははだよな」
システム開発の企業の中で言わずもがな東雲ホールディングスが不動の1位の座に君臨しているが、株式会社kisaragiもそれに続く堂々2位を常にキープしている大企業のひとつだ。
この業界ではこの2つが二大巨頭と言われている。
そんな同僚の会話を横目にある程度の修正の目処が着いたため、残りは家でやるため帰り支度を始めた。
ノートパソコンをバックにしまい、その他の資料をファイルにまとめて詰め込む。
「加賀美ちゃん帰るの?」
「うん。残りは家でやろうかなって思って」
「そっか。お疲れ様!」
27歳、仕事に全力だった私は突然無職になることが決まりました。
私は加賀美心春、27歳。
プログラマーとして現在働いているこの会社の倒産が1ヶ月後の4月に決定したと告げられたのは突然の出来事だった。
従業員が100人ほどのそこまで大きな会社ではないがプログラマーとしてやりがいも感じていた矢先のことで、誰一人この現実を受け入れられていない様子だ。
一緒に働く社員たちは途方に暮れており、再就職先を急いで探していた。
それは私自身も同じで、どうしても私には働き続けなければいけない理由がある。
私には4月から大学3年生になる弟がおり、彼の大学の学費を払うために無職になるわけにはいかなかった。
「突然倒産なんてありえない。仕事なくなったら私たちどうなるのよ」
「こんなぎりぎりまで言ってくれないなんて、どういうつもりなんだよ」
会社に対しての不満が同僚の口々から溢れていき、空気がどんどん重たくどんよりとしていくのが分かった。
そんな風に愚痴や怒りを言いたい気持ちもすごく分かる。
会社は、はい倒産します、と言ってしまえば気が楽になるのかもしれないが、私たちとしてはこれから生きていくために次の就職先を探さなければならない。
だけどたった1ヶ月ですぐ見つかるほど世の中甘くはないと思う。
それぞれに生活や家族などがあるだろうし、それを守るために私たちは必死だった。
私はと言うと、パソコンに向かって最後の仕事になるであろうプログラミング作業に向き合う。
「それ、加賀美ちゃんが任されてた最後の仕事だよね?」
「うん。これだけは仕上げておきたくて」
「えらいよねほんと加賀美ちゃんって。こんな状況なのにちゃんと仕事しててすごいや」
「あははは。私自身すごく焦ってるよ。次の仕事先見つけないとなって思ってる」
数箇所のバグが見つかっているためそれの修正と動作確認のテストを終わらせれば先方に提出することができる。
あと数日で終わらせられそうだった。
この作業を終わらせた後、急いで次の就職先を探すつもりだ。
プログラマー自体は名前もかっこいいしなりたいと思う人はたくさんいるものの、案外地味な職種だと思う。
表舞台に立つことは基本的になく、ほとんどの時間をパソコンと向き合ってにらめっこしていた。
基本的には設計通りに動作するかのテスト、デバッグ作業と言ってバグと呼ばれる間違いを探し不具合の原因を特定、修正、排除を繰り返す。
名前だけがかっこいいと先行しがちだが、実際やってみるとパソコンに向き合う時間以上に圧倒的に完成までの時間がかかるのも特徴だ。
だけどこの地味なデバッグ作業はプログラムの開発や品質向上において、なくてはならない存在のためやりがいも感じられる。
「加賀美くらいのプログラマーだったら"東雲ホールディングス"とか入社できそうじゃない?」
「確かに。加賀美ちゃんなら入れそう」
「買い被りすぎだよ」
同僚の口々から聞く"東雲ホールディングス"とは、主にシステム開発を中心に功績を残す大企業だ。
多数のシステムエンジニアやプログラマーが所属しており、私たちのような仕事をしている者からしたら1度は入ってみたいと思う憧れの会社だった。
ただ求められるスキルもやはり高い分、入社は高い壁だとも言われている。
新卒採用も入社予定人数10人に対して応募が300名以上来たとの噂も聞いたことがあった。
パソコンに向き合う横で男女2人の同僚が先の不安を打ち消すように会話を繰り返す。
倒産が決まっている会社のため、クライアントからの仕事はもうほとんどないため、皆やることがないんだろう。
「どうするかな~俺。株式会社kisaragiとか応募してみようかな」
「あんたじゃ無理でしょそこだって。システム開発の企業のNO.2だよ?」
「あははだよな」
システム開発の企業の中で言わずもがな東雲ホールディングスが不動の1位の座に君臨しているが、株式会社kisaragiもそれに続く堂々2位を常にキープしている大企業のひとつだ。
この業界ではこの2つが二大巨頭と言われている。
そんな同僚の会話を横目にある程度の修正の目処が着いたため、残りは家でやるため帰り支度を始めた。
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「うん。残りは家でやろうかなって思って」
「そっか。お疲れ様!」
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