【R18/TL】無口で無愛想な旦那様の拗らせ愛は重すぎ注意

春野カノン

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運命の再会? 3

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「気持ちは本当にすごく嬉しい。でも私には無理だよ」

「⋯⋯俺はそうは思わないがな」

「どうしてそう言えるの?」


私と東雲くんは高校時代特別仲が良かったわけではなく、ただのクラスメイトだった。
そんな彼に私をそこまで評価できるとは思えない。


「加賀美は高校時代、誰もやりたがらない仕事をいつも率先してやってたり、誰でもいい仕事を何も言わずにやってた。そういうことができる人材を俺たちは求めてる」

「なんで⋯⋯」

「俺はずっと見てた。加賀美のことを」


つまらなさそうで人に興味がなさそうな高校時代を過ごしていたように思えた東雲くんは、今私を見つめるその瞳が優しくて甘ったるくてとても不思議な感じだ。


「加賀美ならできると思う」


誰にも気づかれていないと思っていたけど、見てくれている人はいたんだとあの頃の私が報われた気がした。
こんな絶好のチャンスを逃してしまってもいいのか、もう二度と訪れないかもしれないというのに。


それに私にはお金が必要だ。
生活ももちろんだが、冬麻の通う大学の学費を稼ぐ必要がある。
東雲ホールディングスに行けば確実に安泰だろう。


実力的には見合っていないかもしれないが、これからそれはいくらでも挽回することができる。
だけど東雲くんに出会えて、こんなチャンスを与えてくれるのは今だけかもしれない。


それであれば私の選択肢にNoという言葉はなかった。
この与えられたチャンスを全力で掴みにいき、自分の手で成長に繋げる。


「東雲くん。ぜひ働かせてください」

「よかった。なら早速4月からだな」

「本当にいいのかな⋯こんな形での入社で」

「⋯加賀美ならそう言うと思った。入社までは常に助けてやれるけど、その後はずっと加賀美のそばにいてやれないから、加賀美の頑張り次第かもしれない」

「⋯誘ってくれただけでも本当に感謝しかないから、その後は全力で頑張る。周りについていけるように、力になれるように頑張るね」


不安がないといえば嘘になる。
ゲームのプログラミングは専門ではないため通用するか不安なことが大きい。
だけどまだ入社まで時間があるし、準備を整えて当日を迎えたい。


その後、東雲くんと連絡先を交換する。
入社までのやり取りだけでなく、単純に同級生として連絡を交換しようということになった。


「何かあれば俺を頼ってくれ」

「うん。本当にありがとう」

「⋯⋯加賀美の力になれて良かった」


無口で無愛想な東雲くんが口角をほんのり上げて微笑んでくれた。
高校生の時からそんなにたくさん笑っている姿を見ていなかったからか、その微笑みはとてつもなく綺麗で見惚れてしまうほど美しい。


私に向ける視線は最後まで甘ったるくてそんな視線を向けられる理由が分からないままだ。
とにかく東雲くんは昔から変わらず、いや昔に増してかっこよくて人目を集める大人に成長していた。


「こんな上手い具合に東雲くんに出会えるなんて奇跡かな」

「どうだろうな」

「会えて良かった東雲くんに」

「俺もだ」


なんでもない会話のはずなのにこんな素敵な男性にそう言われるとやっぱりドキッとしてしまう。
彼との出会いがこれからの私の人生を大きく変える。


そんなことを知らない私は純粋に高校時代の同級生に会えたことを心から喜んでいた。
東雲くんとの出会いは私にとってのどのように転ぶのか⋯⋯。


今の私は明るい未来を想像していた。
これからとんでもない変化が待っているとも知らずに。
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