【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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とびきり甘い理由 side理玖(5)

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「いろんな表情を見せてくれて陽葵ちゃんほんと可愛いね」

「っ!」

「今日1日でまた俺のこと意識してくれた?」


陽葵ちゃんの頬に手を添えてこちらに向かすと頬が赤く染まった彼女と視線が交わった。
ほんとに愛おしくてこのまま自分の部屋に閉じ込めたいくらいには可愛すぎる。


「なんでそんな甘いの?理玖くんが甘すぎるんだけど⋯」

「それ言わせる?」

「いや、あの⋯⋯」

「そんなの好きだからに決まってるじゃん。陽葵ちゃんにも俺のこと好きになって欲しいからアプローチしてるんだよ」


陽葵ちゃんに甘すぎるほどの視線を注ぐとその視線から逃れるように陽葵ちゃんは顔を背ける。
それを許さないと言わんばかりにこちらに向かせると、目を潤ませながら見つめられ心臓がぎゅんと掴まれたような感覚に陥った。


(どうしようもなくキスしたい⋯⋯)


「あのさ陽葵ちゃん。キスしてもいい?」

「いや、でも、私たち付き合ってない⋯」

「分かってる。でもどうしようもなく陽葵ちゃんに触れたいんだ」


ゆっくりと顔を近づけるとぎゅっと目を閉じる陽葵ちゃんの表情が目に入る。
拒否することだってできるはずなのに、されなかったのをいいことに俺はそのまま陽葵ちゃんの柔らかい唇に口付けを落とした。


陽葵ちゃんとの口付けはあの会議室ぶりで、その時よりももっと甘くて心地よい。
舌を差し込みたい衝動を抑えて柔らかい唇を全力で堪能する。


そっと唇を離すと先程までとは比べ物にならないくらい真っ赤に染め上げた顔の陽葵ちゃんの表情が目に入る。
これほど恥ずかしがるくらいには俺を意識してくれているようだ。


今はそれだけで十分だと考えよう。
これ以上すれば自分が我慢できなくなる。


「陽葵ちゃん好きだよ」

「⋯⋯っ」

「早く俺に愛される覚悟、決めて?」


不敵に微笑みもう1度陽葵ちゃんのおでこにちゅっと触れるだけの口付けを落とした。
そして俺たちは自分の部屋にそれぞれ別れる。


陽葵ちゃんの部屋の扉が締まりきる瞬間までその背中をしっかり見送る。
ほんの少しだけその背中が名残惜しそうに見えたのは、俺の気のせいだろうか。


自分の部屋の扉を開けた瞬間、力が抜けたのかその場にへたり込む。
自分でも驚くくらい陽葵ちゃんとのデートは緊張していたのかもしれない。


「はぁ⋯⋯やば、陽葵ちゃん可愛すぎでしょ⋯」


陽葵ちゃんにアプローチするためのデートにも関わらず、俺の方がドキドキさせられっぱなしだった。
終始可愛くて俺の方が陽葵ちゃんにもっと夢中にさせられている気がする。


陽葵ちゃんとの口付けを思い出すようにそっと自分の唇を撫でる。
今なお俺は陽葵ちゃんを溺愛しているようだ。


俺の溺愛が伝わるまであと少し。
ずぶずぶに甘やかして陽葵ちゃんを可愛がる準備は万端だ。
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