【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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終わったあとは(2)

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しっかりと内容を確認しそのまま了承すると唯斗は笑顔で笑った。
唯斗と華乃子ちゃんのお付き合いは順調そうで、お互い赤くなっている姿を見ると胸がキュンと高鳴る。


「何ニヤニヤしてんの。すげー表情筋緩んでるんだけど」

「え、ほんと?唯斗と華乃子ちゃんの見つめあって顔赤くなってるとこ想像したら思わずニヤニヤしちゃった」

「ちょ、どんなとこ想像してるの。やめて恥ずかしいから」

「華乃子ちゃんも幸せそうで私もすごく嬉しいんだ~」

「陽葵にそう映ってるなら安心だな。これからもずっと大切にするから陽葵にはこの先も見守ってて欲しい」


私にとって華乃子ちゃんと唯斗はただの同期じゃない。
いち友人として2人の幸せを願う身としてはこの先も2人の行く末を見届けたいと思っていた。


きっと華乃子ちゃんは唯斗の隣にいればずっと笑顔で過ごせるはずだ。
私もそれを信じているから安心して見守っていられる。


「じゃ、これ華乃子に渡してくる」

「うん、お願いね」


そう言って唯斗は私の元から離れていった。
しばらく1人で作業をしていると、チーフ会議から戻ってきた理玖くんと笠井さんの姿が見えたため、確認してもらいたい資料を片手に2人の元へ向かう。


「陽葵ちゃん!おつかれ」

「お疲れ様です」

「どうかした?」

「今回の合同企画の内容をまとめた資料です。確認お願いします」


2人に作成した資料を確認するとページをめくりながらニコニコ嬉しそうに微笑んでくれる理玖くん。
その横で笠井さんは真剣に内容を確認していた。


「うん、すごくいいと思う。これから時間かけてゆっくり確認するね」

「分かりやすい資料だ。俺もちゃんと読み込んどくわ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


ペコッとお辞儀をすると2人と視線が絡み、キョトンとした表情を浮かべてしまう。
私の顔に何か付いているのだろうか。


「楽しそうだな百瀬」

「え、そうです?」

「もしかして陽葵ちゃん。今日の打ち上げが楽しみなのかな~?」

「あ、ふふふっそれは楽しみかも。笠井さんも乗り気でしたよね」

「まぁな。あいつらとなら悪くない」

「俺も楽しみ。横山くんや副島くんがお店探してくれたんでしょ?」

「みたいだよ」

「横山のお店のチョイスはセンスがいいからな。前行った出張のお店も良かった」

「確かに。すごく美味しかったですよね」

「俺にも分かる話してよ~」


口を尖らせて拗ねる理玖くんを見て私と笠井さんは思わずふっと声を出して笑ってしまう。
そんなやり取りをしながら私たちは仕事をこなし、無事に定時に上がるのだった。


***


「はい、ではみなさん!飲み物持ってますかー!」

「持ってまーす!!」

「おいまだ酒入ってねぇだろ。どんだけテンション高いんだよ副島と関は」

「すみません笠井さん。あれは2人のデフォルトです」


お酒が入っていないというのに既に華乃子ちゃんと唯斗のテンションは高い。
元々合コンに行き慣れている華乃子ちゃんは盛り上げ上手だし、人懐こくて誰とでも仲良くなれる唯斗はこういう場にもってこいだ。


その様子を苦笑いしながら見ている笠井さんはそうは言いつつもいつもより楽しそうに見えた。
私の向かい側に笠井さんが座り、その横に横山くん、そしてその隣に唯斗が座っている。


私を挟むように理玖くんと華乃子ちゃんが座っており、とても賑やかになりそうだ。
私自身もお酒は強くないがみんなと一緒にご飯を食べたりするのはすごく好きで楽しみだった。


「はいじゃあ乾杯の音頭は笠井さん⋯⋯と、言いたいとこですが、きっとやってくれないと思うので我らがチーフ四ノ宮さん!お願いします!」


唯斗の言葉に一瞬チッと舌打ちが聞こえた気がしたが気のせいだと思う。
苦笑いしながら理玖くんは隣でビールの入ったジョッキを片手にフーっと息を吐く。


「まずは合同企画本当にお疲れ様でした。いろいろみんなには迷惑をかけたと思います。だけどみんなの協力のおかげで全てうまくいきました!本当にありがとう。最高のチームでした。今日は経費で落とすし無礼講だからみんな食べて飲んで楽しみましょう!それじゃかんぱい!」

「かんぱーーい!!」


みんなでグラスを合わせて乾杯した私はピーチウーロンに口をつける。
紅茶のような甘みが口いっぱいに広がり最高に美味しい。


順番に頼んだ料理たちが運び込まれてきた。
私の隣に座ったのが理玖くんと華乃子ちゃんのため、私は完全に甘やかされている。


「陽葵ちゃんこれ食べる?好きだよね」

「陽葵お刺身取ってあげる。お皿貸して」


至れり尽くせりな私の取り皿には2人が取ってくれた食事がたんまりと乗せられている。
目の前で繰り広げられるその様子を見慣れた様子で眺める笠井さん。


私が理玖くんにこんな風に甘やかされているのを見るのは慣れているんだろう。
なんとも思ってません、と言いたげに黙ってお酒を飲んでいた。


「あの、みなさん。本当にありがとうございました」

「横山くん⋯⋯」

「始まりは僕の父でもあったので、みなさんには本当に申し訳なさでいっぱいです」

「まぁけど結果的にうまくいったんだから気にしないでよ。これからも横山くんは俺らと仕事してくれれば嬉しいよ」


横山さんが彼を辞めさせようとしてきたことが、この企画の破綻の始まりだった。
そこから複雑にいろんな人の思惑が絡み合い、結果としてあのような一件が起こった。


誰が悪いなんてそんなことは言えないだろう。
それは誰もが思っていることだ。


「それにしても副島と関はいい仕事してくれたよな」

「そりゃ大事な同期の一大事ですからね!」

「そうです!陽葵のためならどんだけでもやりますよ私たち。ほんと心底ムカついたんですからあの女に!」


私の隣でプリプリとする華乃子ちゃんはその感情のままにビールのジョッキをゴクゴクと飲み干した。
こんなにハイペースで飲んでいるというのに全く顔に出ないところが恐ろしい。


華乃子ちゃんは次のお酒をタブレットで注文する。
それに釣られるように笠井さんと唯斗も追加でお酒を注文したようだ。


ゆっくりと楽しい時間は過ぎていく。
打ち上げが始まって1時間が経った頃にはみんな酔いが回り更に賑やかになっていた。


「笠井さん!飲んでますか?!」

「飲んでるだろどう見たって」

「グラス減ってないんじゃないですか~」

「おい百瀬。このうぜぇ絡みをする副島を止めろ」

「ん~それは無理ですね。付き合ってあげてください」


いつの間にか笠井さんの隣には華乃子ちゃんと唯斗が挟むように座っており、お酒強い組が笠井さんにウザ絡みしている。
横山くんは追いやられるように私の隣にやって来た。


「横山くん、ごめんね。華乃子ちゃんと唯斗がうるさくて」

「いえ、すごく楽しいです」

「そう言ってくれて助かるよ。ご飯を食べてる?」

「はい、食べてます」
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