【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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【特別編】陽葵と理玖〜夫婦〜(2)

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「笠井さんはいつまでも私のこと百瀬って呼んでくれるんですね」

「百瀬はいつでも百瀬だろ。四ノ宮なんて絶対呼ばねぇ」

「なんでです?」

「理玖と同じ名前になったろ?あいつのことも呼んでるみたいで嫌だ」

「陽葵でもいいですよ?」

「んな呼び方したら理玖がうるせぇだろ」

「───そうだよ!圭哉が陽葵ちゃんのこと名前で呼ぶなんて許さないよ」


カフェスペースに現れたのはムスッとした表情の夫である理玖くんだった。
私の目の前ではぁとため息をついた笠井さんは呆れたように苦笑いする。


もう何度も見たことある光景だった。
笠井さんとの関係にムスッとした表情の理玖くんがやって来る。


「ほんとおめぇはこういうタイミングで来るよな」

「陽葵ちゃんに男が近づいてるのはすぐ分かるよ!センサーがビビっと反応するからね」

「過保護だないつまでも」

「もうこれからもずっと過保護だよ!だって奥さんだよ!陽葵ちゃんが!こんな可愛い女の子が俺の奥さんだよ?!過保護にもなるよ!可愛すぎて取られないか心配だもん」


私の隣にはやって来た理玖くんは会社だと言うのにぎゅうと抱き締めてきた。
それを見せつけられて心底面倒くさそうにしてる笠井さんの表情を見ていると思わず笑ってしまう。


「こんな重たい旦那がいる奴から誰も取ろうとしねぇだろ」

「陽葵ちゃん優しいし面倒見いいし慕われるじゃん?現に副島くんとも仲良しだし横山くんのことも蓮くんなんて呼んで慕われてるし、圭哉も相変わらず可愛がってるし、心配の種は尽きないのよ俺の」

「この会社の人間は理玖がどんだけ百瀬を溺愛してるか知ってんだからなんも心配いらねぇよ」


なかなか私を離してくれない理玖くんに痺れを切らした彼の身体を押し返す。
そんなことをされるとは思っていなかったのか理玖くんの背中からガーンという効果音の文字が見えた。


(今は仕事中なんだし⋯⋯)


「圭哉カッコイイから陽葵ちゃんが惚れちゃう⋯⋯」

「惚れないから!ほら、もう仕事戻って理玖くん!」

「俺を除け者に⋯⋯!」

「違うから!」


理玖くんはしょぼんと肩を落としてカフェスペースから出ていく。
その背中を見つめながらクスッと笑ってしまう。


(帰ったら甘やかしてあげよう⋯)


その日、私たちは仕事を無事終えて外で待ち合わせ理玖くんと帰ることにした。
私の姿を見つけた途端、ぱぁと笑顔を見せてくれる所が今も昔も変わらず私の好きな所だ。


2人で手を繋いで家までの帰路を歩く。
理玖くんの機嫌はいいのか私の隣をニコニコしながら歩いていた。


***


夜ご飯を食べ終え、お風呂に入り終わった私の髪を理玖くんが慣れた手つきで乾かしてくれる。
たまにこうして髪を乾かしてくれるがそれがすごく心地よくて、私もとても好きな時間だ。


夫となってからの理玖くんはますますかっこよくて、この人が自分の夫だと言うのが照れてしまう。
同じように仕事をしているはずなのにいつも甘やかされてばかりだ。


「ん~陽葵ちゃんの髪の毛サラサラだね」

「えへへありがとう」

「お風呂入ってスッピンになった陽葵ちゃんも可愛いなぁ」

「理玖くんは本当に私に甘々だね」

「当たり前だよ。だってこんなふうに陽葵ちゃんを甘やかせられるのは夫である俺の特権なんだよ。ここは職権乱用しないと」


立ち上がりドライヤーを片付けた理玖くんは私の隣に戻ってくるとぎゅうと身体を抱き締めた。
お互いからシャンプーの香りが漂い心が満たされていく。


さっきまでは私が甘やかしてあげようと、思っていたのにいつの間にか立場は逆転していた。
とびきり甘い海に私の身体は浸かっている。


「四ノ宮陽葵か⋯⋯」

「ん~どうしたの?」

「陽葵ちゃんが俺の奥さんになったんだなって実感してるとこ」

「まだあんまり実感湧かない?」

「そうだな~あんまり生活変わってないからかな」
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