揚げ物、お好きですか?リメイク版

ツ~

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疾風の靴

疾風の靴9

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 モンスターは吼えも何もしない。
 ただ、ゆっくりとこちらに向きを変える。
 違う所が一つだけあった。石ツブテがあたって、怒らせたのだろうか?口からは息が煙りのように、モクモクと立ちのぼるように吐き出され、薄くなった魔原石の灯りに照らされて、不気味に輝いていた。
 とりあえず、意識を向ける事に成功したのは、「よし。」としておこう。
 逃げ切る事が出来なくなった以上、時間を稼ぐしかないだろうし、気を失っているアリシアから出来るだけ離れて、時間さえ稼げれば、きっと、イリア達が助けに来てくれるはず……。
 いや……気がついたら、アリシアに助けを読んでもらうほうがいいかもしれない。うん。そうだ。それまでの時間さえ稼げればいい。
 まずは、モンスターの攻撃を避ける事に集中だ……。どんな攻撃をしてくるかも分からない。しばらくは様子見だ。そして、イケそうなら隙をついて攻撃をする。
 俺はポーションを一気に飲み干し、麗月を鞘から抜き構える。
 最初の攻撃を見る限り、棍棒での攻撃は受け止められない。さばく事に集中だ。ララに稽古をつけてもらっているし、俺ならやれる。自分を信じる。ララが何時も言ってるように。
 モンスターは棍棒を振り上げ、叩き下ろす。
 速い!!しかし!!
 力は流してやればいい!
 麗月を滑らして、受け流す。
 棍棒は肩すかしをくらったように地面を叩く。それと同時に、モンスターの身体は傾いた。
 よし!今だ!!
 俺はモンスターの腕に一太刀浴びせる。
 ダンジョンのモンスターらしく、血は出ない。が大きな傷がモンスターの腕に刻まれる。
 どうやら、俺の斬撃でもダメージは与えられるようだ。
 これなら少しは戦えるな。
 そう思ったのも、束の間。モンスターの攻撃は激しさを増した。
 また、怒らせてしまったようだ。口から出る煙りは激しさを増し、輝きを増していた。そして、心なしか寒くなったような……。季節は冬。日暮は早い。外はもう夜になったのだろうか?
 不思議と余裕が生まれる。
 ……あれ??何で外が夜なんだろうか?とか考えれる余裕があるんだ??
 それに、自分の心がやけに静かだ。モンスターを見た瞬間は背筋が凍る思いをしたのに……。最初の斬撃が効いたからなのか、ララとの修行の成果なのか?
 ……何か違和感が残る。
 いやいやいや!いけない!邪心は取り除け!!じゃないと、あっという間にやられてしまう!!集中しなきゃ!
 俺は集中し直し、モンスターの攻撃に備える。
 よし!全部は流石に流せないけど、さばいて攻撃だ!!
 俺はモンスターの攻撃をさばきながら、ダメージを与えていった。これなら、イリア達が来るまでしのげそうだ。
 
 どれくらい戦っただろう?時間にしてはそう長くはないと思うけど……。凄く長く感じる。寒さも増してきて身体が凍えそうだ、モンスターの吐く煙りが凄くはっきりと見える……。まるで固体化しているような……。いや、そんな筈はない……。煙りが固体化するなんて。いや、待てよ?煙りが見えると言う事は、元々、気体ではないという事だろ?
 もしかして、モンスターが吐き出しているのは冷気??冷えた液体や氷の粒子が含まれていた??
 このまま、じっくり戦っていたり、アリシアを寝かせていたら、凍死するのか??
 くっ!
 とりあえず、アリシアだけでも起こして、避難させなくちゃ!!
 一瞬だけでも、まずは隙を作らないと……。
 俺は麗月を鞘に戻し、両手に石ツブテを唱え、必中を重ね掛けする。
 そして、目を狙って投げる。
 一つは弾かれたが、一つが見事に片目に命中した。
 流石にこれは効いたのか、モンスターは片目を押さえて悶絶する。
 今だ!!
 俺は全力でアリシアの元へ走った。
 「おい!アリシア!!起きろ!!アリシア!!」
 急いでポーションを振り掛け、体を揺する。しかし、揺すっても起きないので、軽く頬を叩いた。
 「……ん。ヤマト君……。」
 良かった!起きた!!
 「すまん。アリシア。起きて直ぐに悪いが、走れるか?」
 「……え?」
 アリシアはイレギュラーの事を忘れてしまっているようだった。
 そして、モンスターを目にして思い出したようにまた、顔面蒼白になる。
 「時間がない!すまない!!アリシア。このダンジョンから脱出してくれ。あの通路を真っ直ぐ行けば浮遊石がある。それを使って……。そして、イリア達を呼んできてくれ!!」
 「……え?ヤマト君は??一緒に逃げようよ!!」
 そうしたいのはやまやまだけれど、直ぐにモンスターは怒り狂って俺達を襲いに来るだろう。一人は必ず囮にならなければ……。
 「そうしたいのはやまやまだけれど、俺は囮になる。二人一辺には逃げられない。だから、頼む!イリア達を呼んできてくれ!!」
 「でも!!」
 アリシアは悲壮感の漂う瞳で俺を見つめる。その瞳が告げる事も分かっている。でも……時間がない。
 「早く!!」
 俺の声に、アリシアはビクンと身体を震わせ、俺の指差した通路に走って行った。
 そして、俺はもう一度、石ツブテを唱え、モンスターに投げつけ、意識もこちらに向ける。
 
 一瞬、俺でも倒せるか?と思ったけど、やはり上手くはいかない。甘かった。
 寒さで動きも鈍くなり、足元も凍ってきたのか……滑って踏ん張りも効かない。
 なんとか、まだ受け流す事は出来ているけど……反撃にでる為の行動が滑ってとれない。
 くそ!早く来てくれ!!
 俺はまた、モンスターの攻撃を受け流す。しかし、ここで足を滑らせてしまった。
 しまった!!そう思った瞬間に俺は次の防御体制もとれないままに、俺はモンスターの攻撃で薙ぎ払われてしまった。
 
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