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アリシア
アリシア3
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アルベダにあんなに痛いほど強く抱きしめられる事は、今までになかった。その痛みは、幼い心に不安と疑問を植え付けるには十分だった。
祖母の身に何かあったのか?
祖母は元気なのだろうか?
アルベダは何か知っている?何か隠している?
実際、あの日から、アルベダの姿を見ない。そして、祖母の顔も……。その事が更に不安に拍車をかけ、そして、その疑問は現実なってしまった。
その日は、朝から激しい雷雨だった。小屋の近くを通る足音も話し声も何も聞こえない。聞こえるのは、激しい雨音と雷の音。小窓から襲う稲光は、一人で居る不安を更に強いものにしていた。
こんな時に、祖母やアルベダが側に居てくれたら……。耳を塞ぎ、部屋の片隅で震えながら小さくなっていたボクはそんな事を願う。
そして、突然、ドン!と激しい音がする。
え?雷の音?それとも、小屋のドアに何か当たった??それすらも、激しすぎる雷雨の音でその時は分からなかった。
確かめに……いく?
一瞬、そんな考えが頭をよぎったが、すぐにその考えは無くなった。外から鍵が掛かっているし、ボクには、そんな選択肢もなかった。
もしかして、アルベダ??心配して、走って来てくれた??雨で地面がぬかるんでいるから、滑ってドアに激突したのかな??
頭の中は、嬉しくなる。鍵を開ける音が聞こえる。アルベダ?
しかし、ドアが開いた瞬間、その甘い考えは無くなった。
そこには、刃物を……剣とノコギリを持った父の姿と複数の大人達の姿があったのだ。
無駄に大きなドアを半分開けた事で、雨音と雷鳴は更に大きく聞こえ。そして、稲光で光った剣を見て、自分の背筋が震えたのが分かった。
剣からは真新しい血が滴り落ちていたから。いや、それだけじゃない。ドアの外に雨に流されながら血だまりが小屋の中に流れ込み始めていたのだ。
え?まさ……か??誰かを……刺して……?
父はその血を払う事無く、ボクに近づいてくる。その体にも……顔にも血が……。そして……目が……。
「……はは。はははははは。アリシア。お仕置きの時間だよ。ははは……はははははは。」
完全にその目は正気をなくしていた。
ひっ!
ボクは恐怖のあまり、尻餅をつく。走り出して、外へ逃げれば逃げれたのかもしれない。しかし、もう、逃げる事は叶わなかった。
そして、父の刃はボクを襲う。
「うわーーーーん!!!いやーーーー!痛い!痛いです!!止めて下さい。お父様!!!」
痛いというものではなかった。ボクは既にノコギリで両脚を切り落とされていた。
どれだけ泣いて、どれだけ許しを乞うても、父はボクを刺す事を止めない。大人は薄ら笑いを浮かべるだけ。
ボクが何をした?何にを許してもらう??
そもそも、それも分からない。
「はははは。何が痛いだ?誰がお父様だ??ははははははは。」
そう言い、今度はボクの左腕を剣で刺し、ノコギリで切り落とした。
もう、痛みで正気を保っていられない……。
なぜ、気を失わないのか……。
失ってくれれば楽になれるのに。
しかし、それも許されない。
それどころか脳裏に不思議な声が聞こえ、意識だけは逆にハッキリとしていく。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
何?誰??心の中でそうたずねても、何も返ってこない。
「お前のせいで……お前のせいでな!母上は死んだんだ!!お前さえいなければ!!!」
そう言い、父はボクの右腕を刺し、ノコギリで切り落とした。
もう、言葉も出ない。溢れてくるのは涙ばかり。
ああ……おばあ様、亡くなっちゃたんだ。
ボクのせいなの?
ごめんね。おばあ様。
ボクのせいで……。
ごめんね。ごめんね……。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
また、不思議な声が聞こえてくる。
何なのだろう?いったい……。
「あっ。そうだ。あの者も、お前なんかを庇わなければ死ぬ事はなかったのにな。ははは。はははははは。」
父は笑いながら、思い出し、さも愉快にそう話す。
「……あの……も……の?」
ボクは嫌な予感がし、振り絞るように声を出した。
「ん?まだ、喋れるのか??流石、バケモノだな。まあ、いい。……なんと言ったか。……そうだ。アルベダだ。あの若いメイドの。」
……え?アルベダが……死んだ??ボクを庇って??
「ははは。愉快だったぞ?何度も何度も私にすがりついてな。お前の許しを乞うんだ。それを私は何度も蹴飛ばしてここまで来たのだが……あまりにもうるさいので、そこで刺してやったわ。滅多刺しだ。くくくく。ははははははははは。」
それを聞いて、ボクの中で何かが弾けた。心の底で紫にも似た黒い炎が勢い良く燃え始めたのが分かった。
コイツは何だ?人をバケモノ呼ばわりして、自分がバケモノではないか??それが、腐っても自分の父親??
クソ!反吐が出る。
なんで、アルベダが死ななければならない??
なんで、自分がこんなめにあわなくてはならない!!
この男は理不尽だ。
死ぬべきなのは、この男だ。
憎い!憎い!!憎い!!!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い…………………憎い!!!!!
ボクの怒りは頂点を迎えた。そして、その瞬間、瞳が焼けるように熱くなったのを感じ、あの声がまた頭の中に流れてくる。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
それは、自分を言葉にせよ。憎しみを込め、言葉にして発せよ。そう言っているようだった。それに、ボクは従う。
「『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう』」
あと一言。それで全て言い終える。しかし、その瞬間、半開きだったドアは全開に開き、誰かの声がした。
「この愚か者が!!貴様は何をしておるか!!!」
次の瞬間、何かが迫って来たと思ったら、父と大人達は壁へと吹き飛ばされていた。
え?どういう事??
ボクの視線の先には、雨でずぶ濡れとなった壁が立ち尽くしていた。
祖母の身に何かあったのか?
祖母は元気なのだろうか?
アルベダは何か知っている?何か隠している?
実際、あの日から、アルベダの姿を見ない。そして、祖母の顔も……。その事が更に不安に拍車をかけ、そして、その疑問は現実なってしまった。
その日は、朝から激しい雷雨だった。小屋の近くを通る足音も話し声も何も聞こえない。聞こえるのは、激しい雨音と雷の音。小窓から襲う稲光は、一人で居る不安を更に強いものにしていた。
こんな時に、祖母やアルベダが側に居てくれたら……。耳を塞ぎ、部屋の片隅で震えながら小さくなっていたボクはそんな事を願う。
そして、突然、ドン!と激しい音がする。
え?雷の音?それとも、小屋のドアに何か当たった??それすらも、激しすぎる雷雨の音でその時は分からなかった。
確かめに……いく?
一瞬、そんな考えが頭をよぎったが、すぐにその考えは無くなった。外から鍵が掛かっているし、ボクには、そんな選択肢もなかった。
もしかして、アルベダ??心配して、走って来てくれた??雨で地面がぬかるんでいるから、滑ってドアに激突したのかな??
頭の中は、嬉しくなる。鍵を開ける音が聞こえる。アルベダ?
しかし、ドアが開いた瞬間、その甘い考えは無くなった。
そこには、刃物を……剣とノコギリを持った父の姿と複数の大人達の姿があったのだ。
無駄に大きなドアを半分開けた事で、雨音と雷鳴は更に大きく聞こえ。そして、稲光で光った剣を見て、自分の背筋が震えたのが分かった。
剣からは真新しい血が滴り落ちていたから。いや、それだけじゃない。ドアの外に雨に流されながら血だまりが小屋の中に流れ込み始めていたのだ。
え?まさ……か??誰かを……刺して……?
父はその血を払う事無く、ボクに近づいてくる。その体にも……顔にも血が……。そして……目が……。
「……はは。はははははは。アリシア。お仕置きの時間だよ。ははは……はははははは。」
完全にその目は正気をなくしていた。
ひっ!
ボクは恐怖のあまり、尻餅をつく。走り出して、外へ逃げれば逃げれたのかもしれない。しかし、もう、逃げる事は叶わなかった。
そして、父の刃はボクを襲う。
「うわーーーーん!!!いやーーーー!痛い!痛いです!!止めて下さい。お父様!!!」
痛いというものではなかった。ボクは既にノコギリで両脚を切り落とされていた。
どれだけ泣いて、どれだけ許しを乞うても、父はボクを刺す事を止めない。大人は薄ら笑いを浮かべるだけ。
ボクが何をした?何にを許してもらう??
そもそも、それも分からない。
「はははは。何が痛いだ?誰がお父様だ??ははははははは。」
そう言い、今度はボクの左腕を剣で刺し、ノコギリで切り落とした。
もう、痛みで正気を保っていられない……。
なぜ、気を失わないのか……。
失ってくれれば楽になれるのに。
しかし、それも許されない。
それどころか脳裏に不思議な声が聞こえ、意識だけは逆にハッキリとしていく。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
何?誰??心の中でそうたずねても、何も返ってこない。
「お前のせいで……お前のせいでな!母上は死んだんだ!!お前さえいなければ!!!」
そう言い、父はボクの右腕を刺し、ノコギリで切り落とした。
もう、言葉も出ない。溢れてくるのは涙ばかり。
ああ……おばあ様、亡くなっちゃたんだ。
ボクのせいなの?
ごめんね。おばあ様。
ボクのせいで……。
ごめんね。ごめんね……。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
また、不思議な声が聞こえてくる。
何なのだろう?いったい……。
「あっ。そうだ。あの者も、お前なんかを庇わなければ死ぬ事はなかったのにな。ははは。はははははは。」
父は笑いながら、思い出し、さも愉快にそう話す。
「……あの……も……の?」
ボクは嫌な予感がし、振り絞るように声を出した。
「ん?まだ、喋れるのか??流石、バケモノだな。まあ、いい。……なんと言ったか。……そうだ。アルベダだ。あの若いメイドの。」
……え?アルベダが……死んだ??ボクを庇って??
「ははは。愉快だったぞ?何度も何度も私にすがりついてな。お前の許しを乞うんだ。それを私は何度も蹴飛ばしてここまで来たのだが……あまりにもうるさいので、そこで刺してやったわ。滅多刺しだ。くくくく。ははははははははは。」
それを聞いて、ボクの中で何かが弾けた。心の底で紫にも似た黒い炎が勢い良く燃え始めたのが分かった。
コイツは何だ?人をバケモノ呼ばわりして、自分がバケモノではないか??それが、腐っても自分の父親??
クソ!反吐が出る。
なんで、アルベダが死ななければならない??
なんで、自分がこんなめにあわなくてはならない!!
この男は理不尽だ。
死ぬべきなのは、この男だ。
憎い!憎い!!憎い!!!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い…………………憎い!!!!!
ボクの怒りは頂点を迎えた。そして、その瞬間、瞳が焼けるように熱くなったのを感じ、あの声がまた頭の中に流れてくる。
『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう 死は汝を許すだろう』
それは、自分を言葉にせよ。憎しみを込め、言葉にして発せよ。そう言っているようだった。それに、ボクは従う。
「『黒は闇に万物を呑み込み 白は光に万物を打ち消す 生は混沌を生み 死は秩序に安寧をもたらす 死は汝を救うだろう』」
あと一言。それで全て言い終える。しかし、その瞬間、半開きだったドアは全開に開き、誰かの声がした。
「この愚か者が!!貴様は何をしておるか!!!」
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ボクの視線の先には、雨でずぶ濡れとなった壁が立ち尽くしていた。
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