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第三章︙聖国、地下帝国編
神明の追憶4
しおりを挟む終着点。
あの女がそう言っていた理由がわかった気がする。
俺たちが今いるところは、掃き溜めの……謂わば『ゴミ捨て場』と言ったほうが分かりやすいだろうか。
無限の空間に、無限のものがそこら中に散らばっていた。
あまりに広すぎて、俺でも把握しきれない。
完全に世界と切り離された『終着点』。
「これってさ、でれるかな?」
俺の言葉に、クロスは曖昧な笑みを浮かべて周囲を見渡す。
まあ、難しいだろうね。
シルも戸惑ったように俺の腕の中に飛び込んできたし、未知のものに怖がっているんだろう。
白い空間の時も薄々感じていたけど、俺の『理』能力に限界を感じた。
この空間において俺は好きなように出来るけど、なんでも出来るわけじゃない。
ある程度のラインまでは力を振るえるけど、『完全に』力を振るうことができないみたいな。
多分これは、俺がこの魔導具の主ではないからだと思うけど………
でも、あの女も魔導具の主じゃないし、さっきから何回も思っていることだけど、俺はあの女の振る舞いに少しの違和感を感じていた。
まず戦っている時に俺にしか攻撃してこなかったこと。
他にもあの女の振る舞いや言動にも、同様の違和感があった。
そして多分その手掛かりを握っているのは……
「おまえだ!!」
俺はビシッとクロスに向かって人差し指を向けて言い放ってやった。
「え………え?ちょっと待って、僕?」
慌てるクロス。うーむ、怪しい。
「あやしい………かくしごと、やましいこと……」
「違う違う!!そんな目で見ないで!!分かった、分かったから!!」
やっぱり!!
なーんか隠し事してるなーって思ってたんだ!!
そもそもあの女が意図的にクロスを無視していたし、攻撃だってクロスを避けて攻撃してた。
普通は精霊王でつよつよなクロスを真っ先に封じ込めるか足止めするかしないといけないのに、何もしてなかったし。
クロスもあの女について何か知ってる感じを醸し出してたから、「実はあの女とこの僕クロスは遠い昔、実は仲間でしたー」的なこともあり得るかも。
でもクロス結構えげつない言葉を女に向かって言い放ってたし、案外違う関係なのかも。
果たして、あの女とクロスはどういうカンケイだったのか………
「主、なんかもの凄く不謹慎なことを考えてる顔してるね。………実は、二千年前の『大戦』の時、レヴィアタンが精霊の都を侵略しようと魔族達を引き連れて攻めてきたことがあるんだよ」
クロスの話によると、大分激しい戦いになる………わけ無くて、その時大戦で沢山の精霊たちが避難していたことに加えて、偶々アクア達七属性の最上位精霊も揃っていたらしい。
クロウやアクアレベルが七人もいて、プラスアルファで沢山の精霊さん。
もはや一方的な袋叩きだったとか。
「魔族を皆殺し………殆ど倒した後、突然レヴィアタンは魔物たちを差し向けてきたんだ」
それは白マリモを含めた五体の魔物で、それぞれが白マリモレベルのエグい奴らだったらしい。
勿論クロス達精霊側も臨戦態勢。
魔法都市の時とは比べ物にならない、大陸の地形が歪むほどの戦いが巻き起こった。
アクア達最上位精霊を筆頭に、精霊さん達の魔法の雨が降り注ぎ、最上位精霊のアクア達も本気で魔物を潰しにかかった。
全属性の魔法が入り乱れ、魔物達を殲滅していった。
それでも恐るべき再生耐久を誇る白マリモを筆頭にジリ貧戦に持ち込まれていた。
押してはいるけど、決定打に欠ける。
そんな状態に終止符を打ったのは結局クロスで、白マリモと広範囲爆発を持っているヒュドラ擬きを『抹消』させて、結局精霊側の勝利で終わったらしい。
それからというもの、レヴィアタンは姿を見せなかったけど『精霊』という生き物に興味を持ち始めたのか知らないが、異様な執着を見せていたんだとか。
因みに戦いの後、神により精霊の都に結界が張られたらしいけど………
多分世界が乱れるほどの問題をなるべく起こして欲しくないから、何より世界の規律を管理する精霊が消えては困るため、結界を作ってくれたとクロスは言っていた。
「だからレヴィアタンは精霊王である僕に興味を示していたんじゃないかな?」
クロスがいい感じにまとめてくれたけど、うん。どういうこった。
つまりあの女は精霊に興味津々で、クロスにも興味津々だからってこと?
大事な好奇心の対象はなるべく大事にしたいって?
俺が思うにそれだけじゃないような気がするんだけど………
「………主、魔力の気配が少しおかしくない?」
クロスの疑問の声に考え込んでいた俺はハッとすると、周囲の魔力を調べてみる。
確かに色々な魔力が溢れかえっているけど…………あ。これって……
「ひかりのやつ、ピカピカしてる」
俺達からそう遠くない場所で、弱いけど微かな光の波動を感じ取った。
雑多な魔力が多すぎて気が付かなかったけど、間違いない。
「れいなさんの、せーれーさんのまりょく!!みつけたぞ!!」
慌てて走ろうとしたけど、地面がない。
俺は平泳ぎみたく両腕と両足をかきかきして前へと進もうとしたけど、結局クロスに抱えられて転移した。
「………精霊王。そして契約者様。お願い、私の契約者……レイナを助けて」
そこにいたのは、目を閉じて光の結界の中で静かに横たわるレイナさんと、今にも倒れそうなほどに弱っている光の最上位精霊さん。
「んー………まりょくない。おれの、ひかりぞくせい、あげるぞ」
俺はクロスの腕からえっちらおっちら光の結界に入って、光の最上位精霊さんの両手を手にとった。
セレナーデ様とアンブロシア作る時の魔力操作が、まさかここで役に立つとは思わなかった。
今回は光属性だけを送ればいいだけだし、俺自身の魔法の腕も上がっているから楽勝だ。
俺は最上位精霊さんにを送り込むと、みるみるうちに、回復する最上位精霊さん。
「ありがとう。もういいわ。それにしても凄い魔力………いえ、これは完全純粋な魔力だから魔素と言ったほうが合ってるわね。とっても特別な力………レイナが言っていたことは本当だったのね」
優しくレイナさんの頬を撫でながら、俺が送ったばかりの魔力で治癒を施す最上位精霊さん。
「私の名はライト。皆そう呼んでいるから、契約者様もそう呼んでくださいね」
「おれはダイキ。さいきょーでさいこーのまほうつかい。このわんこはシル。かあいーまほうつかいのわんこだ」
俺は久し振りの自己紹介で張り切って胸を張ると、クロスがパチパチと拍手してくれた。
「ライト。可愛いわんことか、主の言葉は嘘じゃないけど………ちょっとズレているというか………まあ、そこの所はよろしく頼むよ」
ここで余計なことを挟むクロス。
俺はクロスをベシッと叩いてレイナさんのほうに歩み寄る。
身体的な損傷は無いけど、内部………魔力に大きな穴が空いていた。
ライトの魔力不足とは違う。
レイナさんは、激しい長期的な戦いの痕跡で、魔力を生成する『核』部分が完全消耗していた。
「元々レイナは私を助けるために、一人で嫉妬の悪魔と戦っていて、更にこの空間に長期間放り込まれていたから………もう、息も……」
ライトは暗い顔をした俺に、これまでの状況を説明してくれた。
魔力を生成する部分が消耗しているということは、もう魔力が生成されなくなる。
それによって体内にある魔力不足により、体外にある魔力を過剰摂取してしまう。
レイナさんの体内は、長らく循環されていない淀んだ魔力で溢れかえっていた。
俺より魔力に詳しいクロスの分析だと、持って数時間。
レイナさんの身体が保てるタイムリミットは、着々と近づいていた。
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