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レウキッポスの禁秘たちの略奪
20 ステルスゲーム
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近接格闘技術ってのは最高だ!もう、二人も無効化できたんだからな。結構な見張りを片したから、あとはブツを持ってトンズラするだけだ。俺は、今度こそ助っ人バイトの配達員として店の中に入り込んだ。
「すいません。これオーダー入ったんで。」
厨房の奴が声をかけてくる。見るとブツには間違いないが、量が足りない。もっと大量に運び出してヤクを埋め込まなければならない。
「わかりました。ものは何処にあります?」
俺は、厨房のやつに指示を受けて、ピザを運び出した。少し原付を走らせて店が見えなくなったところで、駐車場待機の瑠夏に電話を入れた。
「ちょっと、架空の住所にオーダー入れてもらえないかな?悪戯にならないギリギリで。」
結構な大企業のピザチェーン店だからな。そんな大量にオーダーしたら、相手にされないだろう。俺は、注意勧告をわざわざつけて瑠夏に指示を出す。
「オーダーって。店員にでもなったつもり?」
瑠夏が電話越しで、変なところに喰いついてくるから、ちょっと不服そうに返してやった。
「とにかくオーダーだけじゃ足りないんだわ。適当に頼んでくれ。」
またオーダーって言っちまった。本当に店員が染み付いちまったみたいだ。
「わかったわ。じゃあ適当に”オーダー“するわ。」
瑠夏が俺に染み付いた店員を拭うかのように言った。電話越しの瑠夏はちょっと様子がおかしいような気がしたが、気にはしない。俺は、無言で電話の赤いボタンを乱暴に押して、通話をぶち切った。そして真面目に配達を進める。
この後、大量のピザを貰うわけだから、俺には、配達を遂行する義理がある。但し、義務はない。腹が減った。満遍なく敷き詰められたピザの具を、均等に掬って客にバレないように綺麗に食べた。
食べ過ぎた箇所には、風邪気味の俺の鼻水と鼻糞をくっつけてやった。俺に配達なんかやらせやがって。ピザも鼻水も塩味なんだから大差ないだろう。
客の家に着く頃には、鼻水半分、具半分って感じになっていた。
こういう時は堂々としておくに限る。胸を張って、インターホンに手をかけた。ピザなんて注文するやつ、冴えない日雇いの中年だろう。そう思って鼻水ピッツァを箱から取り出して、待ち構えた。中から出てきたのは、綺麗めの女と上品そうな女の子だった。
世の中思い通りに動いてくれないもんだ。家主には拍子抜けしたが、なんとか太々しい面持ちを保ちつつこう言ってやった。
「こんにちは。ご注文の品をお届けしました。」
「あら、ありがとう。おいくらでしたっけ。」
大丈夫だ。偽物だってばれていないみたいだ。あとは、隠し味の効いたこいつを渡すだけ……。そんな事より、相当稼いでるみたいで、ピザの値段も忘れているみたいだ。こういう貴婦人には、ステルス性の襲撃をお見舞いしなければならない。俺は、配達車両からメニューを取り出し、本当の注文マルゲリータ3,950円に指を添えた。そこから南に指をスライドさせてデラックスマルゲリータ5,320で留める。
「えーと……。5,320円ですね。」
「あら、そう?」
疑いもなく、一万円札を渡してきた。シラフのはずだが、福沢諭吉が睨みつけてきた気がした。
俺は、万札を丁寧に受け取ると、本体入れるはずの領収箱には入れず、ポケットに突っ込んだ。
「4,680円お返しします。」
釣りは、正規の領収箱から出した。これでプラス1万円だ。
婦人がお釣りを財布にしまうのを見て、ピザを渡した。
「ありがとね。」
金持ちそうな婦人は中身も確認せずにピザを受け取る。こいつは検収もしないのか。だから癌の発症率が高いんだよ。金持ちってのはな。
そして俺が教えてやるのさ。何も知らない専業主婦に、癌の代わりとなって疑わない恐ろしさを。それでもこいつは学ばない。なんでかって?それは俺がスキルス性の気づきにくいやつだからだ。だからきっと、こいつは癌で死ぬ。オッズはイギリス式で1/4ってとこだな。硬いが賭けていい。
俺は、ピザを手に屋内に入ってく貴婦人が完全に見えなくなるまで、凝視して、視姦して、ドアが閉まり切ったのを確認して車に戻った。
車に戻ると丁度ポケットに忍ばせたバイブが作動した。プライベートの方じゃなくって、ピザ屋のやつだ。発信元は店舗のようだ。電話を取ると慌ただしい店内の音が聞こえてきた。
「今大量のオーダー入ったから、今の配達終わったらすぐ戻ってきて!」
どいつもこいつも、オーダー、オーダーって俺も含めておかしいんじゃないか。
「了解です。大量のオーダーね。”配達終わったら“すぐ戻ります。」
これでゆっくり戻れるな。悠々とキーを回してエンジンをかけた。
「すいません。これオーダー入ったんで。」
厨房の奴が声をかけてくる。見るとブツには間違いないが、量が足りない。もっと大量に運び出してヤクを埋め込まなければならない。
「わかりました。ものは何処にあります?」
俺は、厨房のやつに指示を受けて、ピザを運び出した。少し原付を走らせて店が見えなくなったところで、駐車場待機の瑠夏に電話を入れた。
「ちょっと、架空の住所にオーダー入れてもらえないかな?悪戯にならないギリギリで。」
結構な大企業のピザチェーン店だからな。そんな大量にオーダーしたら、相手にされないだろう。俺は、注意勧告をわざわざつけて瑠夏に指示を出す。
「オーダーって。店員にでもなったつもり?」
瑠夏が電話越しで、変なところに喰いついてくるから、ちょっと不服そうに返してやった。
「とにかくオーダーだけじゃ足りないんだわ。適当に頼んでくれ。」
またオーダーって言っちまった。本当に店員が染み付いちまったみたいだ。
「わかったわ。じゃあ適当に”オーダー“するわ。」
瑠夏が俺に染み付いた店員を拭うかのように言った。電話越しの瑠夏はちょっと様子がおかしいような気がしたが、気にはしない。俺は、無言で電話の赤いボタンを乱暴に押して、通話をぶち切った。そして真面目に配達を進める。
この後、大量のピザを貰うわけだから、俺には、配達を遂行する義理がある。但し、義務はない。腹が減った。満遍なく敷き詰められたピザの具を、均等に掬って客にバレないように綺麗に食べた。
食べ過ぎた箇所には、風邪気味の俺の鼻水と鼻糞をくっつけてやった。俺に配達なんかやらせやがって。ピザも鼻水も塩味なんだから大差ないだろう。
客の家に着く頃には、鼻水半分、具半分って感じになっていた。
こういう時は堂々としておくに限る。胸を張って、インターホンに手をかけた。ピザなんて注文するやつ、冴えない日雇いの中年だろう。そう思って鼻水ピッツァを箱から取り出して、待ち構えた。中から出てきたのは、綺麗めの女と上品そうな女の子だった。
世の中思い通りに動いてくれないもんだ。家主には拍子抜けしたが、なんとか太々しい面持ちを保ちつつこう言ってやった。
「こんにちは。ご注文の品をお届けしました。」
「あら、ありがとう。おいくらでしたっけ。」
大丈夫だ。偽物だってばれていないみたいだ。あとは、隠し味の効いたこいつを渡すだけ……。そんな事より、相当稼いでるみたいで、ピザの値段も忘れているみたいだ。こういう貴婦人には、ステルス性の襲撃をお見舞いしなければならない。俺は、配達車両からメニューを取り出し、本当の注文マルゲリータ3,950円に指を添えた。そこから南に指をスライドさせてデラックスマルゲリータ5,320で留める。
「えーと……。5,320円ですね。」
「あら、そう?」
疑いもなく、一万円札を渡してきた。シラフのはずだが、福沢諭吉が睨みつけてきた気がした。
俺は、万札を丁寧に受け取ると、本体入れるはずの領収箱には入れず、ポケットに突っ込んだ。
「4,680円お返しします。」
釣りは、正規の領収箱から出した。これでプラス1万円だ。
婦人がお釣りを財布にしまうのを見て、ピザを渡した。
「ありがとね。」
金持ちそうな婦人は中身も確認せずにピザを受け取る。こいつは検収もしないのか。だから癌の発症率が高いんだよ。金持ちってのはな。
そして俺が教えてやるのさ。何も知らない専業主婦に、癌の代わりとなって疑わない恐ろしさを。それでもこいつは学ばない。なんでかって?それは俺がスキルス性の気づきにくいやつだからだ。だからきっと、こいつは癌で死ぬ。オッズはイギリス式で1/4ってとこだな。硬いが賭けていい。
俺は、ピザを手に屋内に入ってく貴婦人が完全に見えなくなるまで、凝視して、視姦して、ドアが閉まり切ったのを確認して車に戻った。
車に戻ると丁度ポケットに忍ばせたバイブが作動した。プライベートの方じゃなくって、ピザ屋のやつだ。発信元は店舗のようだ。電話を取ると慌ただしい店内の音が聞こえてきた。
「今大量のオーダー入ったから、今の配達終わったらすぐ戻ってきて!」
どいつもこいつも、オーダー、オーダーって俺も含めておかしいんじゃないか。
「了解です。大量のオーダーね。”配達終わったら“すぐ戻ります。」
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