虹の橋 封鎖できません

瑠俱院 阿修羅

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猫たちの家は廃屋仕様

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猫たちがそれぞれ自由に好きな場所にいられる程度の広さがある家はありがたいのだが、なにせ、築50年越えでボロボロ。
窓辺にいる猫たちを見て、子供たちが「可愛い」と言いながら通り過ぎる時はとても嬉しい。 
たまに、廃屋に閉じ込められていると思って救出しようとする子供がいる。
そういう時は遮光カーテンを開けて窓辺に人間の顔も出すようにしている。
子供たちが逃げていく。廃屋の住人=お化け。
ボロ家のせいで、2階の押し入れに入った猫は、なぜか1階の階段下の物置部屋に現れる。
イリュージョンではなく、経年劣化で入れる穴や通り抜けられる空間ができて、通路が完備されてしまっているのだ。
物置部屋に「現れる」だけならいいが、一番体の小さい三にゃんのモネは、はるか上の梁の上で「降りられないよう」とみいみい鳴いて助けを求める。
脚立を持ってきて物置部屋の不安定なガラクタの上に立て、届いた前脚を引っ張ってちょっと強引に引きずりおろし、落ちてきたところをキャッチ。
手にアシ握る救出劇。
だから、いつも2階の押し入れを開けっぱなしにしないよう気をつけている。
…はずなのだが、この前衣替えの時、やってしまった。
この時押し入れに入ったのは長にゃんのジョルジュ。
物置部屋から上に向かって呼ぶと「ニャア」と鳴いて梁の上から顔を見せ、余裕の表情で立ち去って行った。
まだしばらく家の空洞部分を探索するから待ってろ、という意味だ。
さすが、古株の貫禄。その後、呼んでも呼んでも音沙汰なしで、しばらくして不安になって家のあちこちから呼んでみた。応答なし。
で、家の外に出てみたら庭の木の枝にしがみついて降りられなくなっていた。
結局助けが必要になる猫様。
コンクリにヒビが入ってちょっとぐらぐらしているベランダから手を差し伸べて、どうにかキャッチに成功した。
家の中だけでなく外に通じる道もあるらしく、2、3回だが天井裏へ入った後三にゃんのモネも外に出ていたことがある。しかも、私には全く経路がわからない。
城の中の、他の人間が知らない抜け道から外に出る方法を知っているので、猫たちのことは「様」を通り越して「殿」と呼んだ方がいいのかもしれない。
そうは言っても、次にゃんだけはその方法で外に出たことがない。
天井裏へ入ってしまっても、物置部屋の中に降りて「ここだよ」という感じで鳴き続ける。降りておいでと言えば、ほぼ垂直の並びの梁を降りてくる。
甘えれば助けてもらえることがおり込み済みの末っ子と、勝手に行きたいところへ行く長男、そして、おとなしく所定の場所で待ち、指示に従う次男。
ちょっと人間界に似ていると思ってしまった。


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