2 / 12
猫たちの家は廃屋仕様
しおりを挟む
猫たちがそれぞれ自由に好きな場所にいられる程度の広さがある家はありがたいのだが、なにせ、築50年越えでボロボロ。
窓辺にいる猫たちを見て、子供たちが「可愛い」と言いながら通り過ぎる時はとても嬉しい。
たまに、廃屋に閉じ込められていると思って救出しようとする子供がいる。
そういう時は遮光カーテンを開けて窓辺に人間の顔も出すようにしている。
子供たちが逃げていく。廃屋の住人=お化け。
ボロ家のせいで、2階の押し入れに入った猫は、なぜか1階の階段下の物置部屋に現れる。
イリュージョンではなく、経年劣化で入れる穴や通り抜けられる空間ができて、通路が完備されてしまっているのだ。
物置部屋に「現れる」だけならいいが、一番体の小さい三にゃんのモネは、はるか上の梁の上で「降りられないよう」とみいみい鳴いて助けを求める。
脚立を持ってきて物置部屋の不安定なガラクタの上に立て、届いた前脚を引っ張ってちょっと強引に引きずりおろし、落ちてきたところをキャッチ。
手にアシ握る救出劇。
だから、いつも2階の押し入れを開けっぱなしにしないよう気をつけている。
…はずなのだが、この前衣替えの時、やってしまった。
この時押し入れに入ったのは長にゃんのジョルジュ。
物置部屋から上に向かって呼ぶと「ニャア」と鳴いて梁の上から顔を見せ、余裕の表情で立ち去って行った。
まだしばらく家の空洞部分を探索するから待ってろ、という意味だ。
さすが、古株の貫禄。その後、呼んでも呼んでも音沙汰なしで、しばらくして不安になって家のあちこちから呼んでみた。応答なし。
で、家の外に出てみたら庭の木の枝にしがみついて降りられなくなっていた。
結局助けが必要になる猫様。
コンクリにヒビが入ってちょっとぐらぐらしているベランダから手を差し伸べて、どうにかキャッチに成功した。
家の中だけでなく外に通じる道もあるらしく、2、3回だが天井裏へ入った後三にゃんのモネも外に出ていたことがある。しかも、私には全く経路がわからない。
城の中の、他の人間が知らない抜け道から外に出る方法を知っているので、猫たちのことは「様」を通り越して「殿」と呼んだ方がいいのかもしれない。
そうは言っても、次にゃんだけはその方法で外に出たことがない。
天井裏へ入ってしまっても、物置部屋の中に降りて「ここだよ」という感じで鳴き続ける。降りておいでと言えば、ほぼ垂直の並びの梁を降りてくる。
甘えれば助けてもらえることがおり込み済みの末っ子と、勝手に行きたいところへ行く長男、そして、おとなしく所定の場所で待ち、指示に従う次男。
ちょっと人間界に似ていると思ってしまった。
窓辺にいる猫たちを見て、子供たちが「可愛い」と言いながら通り過ぎる時はとても嬉しい。
たまに、廃屋に閉じ込められていると思って救出しようとする子供がいる。
そういう時は遮光カーテンを開けて窓辺に人間の顔も出すようにしている。
子供たちが逃げていく。廃屋の住人=お化け。
ボロ家のせいで、2階の押し入れに入った猫は、なぜか1階の階段下の物置部屋に現れる。
イリュージョンではなく、経年劣化で入れる穴や通り抜けられる空間ができて、通路が完備されてしまっているのだ。
物置部屋に「現れる」だけならいいが、一番体の小さい三にゃんのモネは、はるか上の梁の上で「降りられないよう」とみいみい鳴いて助けを求める。
脚立を持ってきて物置部屋の不安定なガラクタの上に立て、届いた前脚を引っ張ってちょっと強引に引きずりおろし、落ちてきたところをキャッチ。
手にアシ握る救出劇。
だから、いつも2階の押し入れを開けっぱなしにしないよう気をつけている。
…はずなのだが、この前衣替えの時、やってしまった。
この時押し入れに入ったのは長にゃんのジョルジュ。
物置部屋から上に向かって呼ぶと「ニャア」と鳴いて梁の上から顔を見せ、余裕の表情で立ち去って行った。
まだしばらく家の空洞部分を探索するから待ってろ、という意味だ。
さすが、古株の貫禄。その後、呼んでも呼んでも音沙汰なしで、しばらくして不安になって家のあちこちから呼んでみた。応答なし。
で、家の外に出てみたら庭の木の枝にしがみついて降りられなくなっていた。
結局助けが必要になる猫様。
コンクリにヒビが入ってちょっとぐらぐらしているベランダから手を差し伸べて、どうにかキャッチに成功した。
家の中だけでなく外に通じる道もあるらしく、2、3回だが天井裏へ入った後三にゃんのモネも外に出ていたことがある。しかも、私には全く経路がわからない。
城の中の、他の人間が知らない抜け道から外に出る方法を知っているので、猫たちのことは「様」を通り越して「殿」と呼んだ方がいいのかもしれない。
そうは言っても、次にゃんだけはその方法で外に出たことがない。
天井裏へ入ってしまっても、物置部屋の中に降りて「ここだよ」という感じで鳴き続ける。降りておいでと言えば、ほぼ垂直の並びの梁を降りてくる。
甘えれば助けてもらえることがおり込み済みの末っ子と、勝手に行きたいところへ行く長男、そして、おとなしく所定の場所で待ち、指示に従う次男。
ちょっと人間界に似ていると思ってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる