虹の橋 封鎖できません

瑠俱院 阿修羅

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猫殿さまの趣味は狩り

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今日もまた、猟奇殺虫事件が。
猫の狩猟本能とはいえ、バラバラになった何だかわからない虫の片づけをするのは気が滅入る。
掃除の本能もついでにもってはくれないものかと思う。
片付けるといっても、食っちゃったらそれはそれで大変だけど。
以前、ジョルジュが家に来たばかりの頃、うちにはネズミがいた。
リビングに入って座椅子に座ろうとしたら、そのすぐ前にネズミの死骸が。
ギャーッと言って逃げた。
そして、見間違いかもしれないとわずかな希望をもって戻ってきて座椅子の背もたれの後ろから、そして10本の指の隙間から見てみた。
やはりネズミの死骸だった。
もう一回ギャーッと言って逃げたところで、戻ってきたらまた同じものがあるわけで、キリがないから自分で片付けた。
長さ50cmくらいのチリトリとホウキのセットを持ってきて、なるべく見ないようにして捨てた。
食べるわけでもなく私にお供えしてくれた理由は、いまだにわからない。
俗説のように、狩りのできないママに獲物を持ってきてくれたのかも。
今は幸いなことに、ネズミはいない。
猫3匹の鳴き声が聞こえる家に住み着くネズミがもしいたら、かなりの豪傑。
あるいは世捨てネズミか、ネズミ界隈の罰ゲームだろう。
今、ネズミはいないが、古い家だから前述の虫のように哺乳類以外の生き物のバリエーションが豊富だ。
暖かくなるとそれが顕著になる。
ネズミと違って猫の危険を全く認識していない生き物ばかり。
といっても、動きの遅いヤツはうちのスニャイパーたちに狙わることはない。
動きの速いヤツが狩猟本能を刺激して餌食になる。
そして、中には猫に危険を及ぼすヤツもいる。
以前、家の中で蛇に遭遇したことがある。
猫も驚いて近寄ろうとしなかったし、人間も驚いて近寄れなかったし、蛇も驚いて逃げてくれたから助かった。
困るのは、危険なのに猫が闘いを挑んでしまう生き物。
その代表がムカデだ。
触ろうとする猫たちを部屋の外に締め出し、ムカデと対峙。
自分も逃げたいけど助けてくれる誰かがいるわけではないし、ママが闘わなければ猫たちが闘ってしまう。
もはや、自分が強くなる以外の選択肢はない。
火ばさみで挟んで腕を可能な限り伸ばして自分から遠ざけながら家から出、雑木林になってしまっている庭の一番端に捨てる。(他人の家の敷地に捨てたらそれはそれで新たな闘いが始まってしまうので、その地点が限界)
戻っても猫たちにヒーローとして迎えてもらうわけでなし。
それでも、可愛さと甘えという恩返しをいつも受けているからママはこれからも闘うことを誓う。
あと、虫コロリ粉剤を買ってくることも誓う。

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