19 / 47
第19章:波音の向こうで待つ人へ
しおりを挟む
「……海辺のリゾートって、どうしよう……」
その夜、悠真は梨乃の部屋のソファで、抱きしめたクッションに顔を埋めていた。
桐谷とのディナーデートから帰ったばかりの顔には、まだ微かな赤みが残っている。
「で? ちゃんと“行きたいです”って言ったんでしょ?」
「うん……けど、旅行って、泊まりで、しかも連休中だから結構長いの、 ずっと女の子でいなきゃいけないし、……ばれたらって思うと怖い」
梨乃は静かにうなずきながら、悠真の髪を撫でた。
「大丈夫。今までのあんたの頑張りなら、きっと自然に過ごせるよ。それに……」
彼女は押し入れから、大きなトランクを引っ張り出してきた。
「準備は、私が手伝ってあげる。女の子の“旅支度”って、楽しいんだから」
まず最初に決めたのは、水着だった。
「……ビキニはさすがに無理だと思うけど……タンキニならお腹も隠せるし、可愛いの多いよ」
ピンクの花柄、ネイビーのシンプルなセット、肩紐付きのフリルワンピース。
鏡の前で一つずつ試着するたびに、悠真は心拍が上がるのを感じた。
「あと、日焼け止めは絶対。メイク崩れないようにウォータープルーフのやつ使お」
次はリゾートワンピース。
白地に淡いブルーのグラデーションが入ったノースリーブのワンピは、砂浜でも風に揺れて映えそうだった。
「インナーはこれがいいかな。シームレスで響かないし、胸元も自然に見える」
梨乃が出してきたのは、ベージュのシームレスブラとショーツのセット。
肩紐を透明に替えれば、ワンピースにも合わせられる。
(こんなにたくさんの“女性の持ち物”を、僕が……)
戸惑いと、でもどこか誇らしさが入り混じる。
「寝間着は……どうする? 普通のTシャツでもいいけど、せっかくだし可愛いの着てみない?」
「…………えっ」
梨乃が差し出したのは、パステルブルーのキャミワンピ。胸元にレースがあしらわれていて、透け感もある。
「冗談だってば、そんな顔しないの。……でも、こういうの似合っちゃいそうで怖いわ」
二人で笑い合ううち、悠真の中の緊張が、少しだけほどけていった。
スーツケースには、日焼け止め、軽いメイクセット、髪用のブラシやピン、ヒールサンダル、涼しげなシャツワンピ。
「女性として4泊5日を過ごす」ためのアイテムが、きちんと並んでいく。
(ちゃんと準備したら、大丈夫。……彼に、“一緒にいてよかった”って思ってもらえるように)
心の中で、そっとつぶやいた。
その夜、悠真は梨乃の部屋のソファで、抱きしめたクッションに顔を埋めていた。
桐谷とのディナーデートから帰ったばかりの顔には、まだ微かな赤みが残っている。
「で? ちゃんと“行きたいです”って言ったんでしょ?」
「うん……けど、旅行って、泊まりで、しかも連休中だから結構長いの、 ずっと女の子でいなきゃいけないし、……ばれたらって思うと怖い」
梨乃は静かにうなずきながら、悠真の髪を撫でた。
「大丈夫。今までのあんたの頑張りなら、きっと自然に過ごせるよ。それに……」
彼女は押し入れから、大きなトランクを引っ張り出してきた。
「準備は、私が手伝ってあげる。女の子の“旅支度”って、楽しいんだから」
まず最初に決めたのは、水着だった。
「……ビキニはさすがに無理だと思うけど……タンキニならお腹も隠せるし、可愛いの多いよ」
ピンクの花柄、ネイビーのシンプルなセット、肩紐付きのフリルワンピース。
鏡の前で一つずつ試着するたびに、悠真は心拍が上がるのを感じた。
「あと、日焼け止めは絶対。メイク崩れないようにウォータープルーフのやつ使お」
次はリゾートワンピース。
白地に淡いブルーのグラデーションが入ったノースリーブのワンピは、砂浜でも風に揺れて映えそうだった。
「インナーはこれがいいかな。シームレスで響かないし、胸元も自然に見える」
梨乃が出してきたのは、ベージュのシームレスブラとショーツのセット。
肩紐を透明に替えれば、ワンピースにも合わせられる。
(こんなにたくさんの“女性の持ち物”を、僕が……)
戸惑いと、でもどこか誇らしさが入り混じる。
「寝間着は……どうする? 普通のTシャツでもいいけど、せっかくだし可愛いの着てみない?」
「…………えっ」
梨乃が差し出したのは、パステルブルーのキャミワンピ。胸元にレースがあしらわれていて、透け感もある。
「冗談だってば、そんな顔しないの。……でも、こういうの似合っちゃいそうで怖いわ」
二人で笑い合ううち、悠真の中の緊張が、少しだけほどけていった。
スーツケースには、日焼け止め、軽いメイクセット、髪用のブラシやピン、ヒールサンダル、涼しげなシャツワンピ。
「女性として4泊5日を過ごす」ためのアイテムが、きちんと並んでいく。
(ちゃんと準備したら、大丈夫。……彼に、“一緒にいてよかった”って思ってもらえるように)
心の中で、そっとつぶやいた。
0
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる