ナース服の中の僕

なな

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第21章:水色の空に似合う身体

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ホテルの部屋に入ると、大きな窓から海が見えた。白い波が遠くできらめいていて、心がふっと軽くなる。

「ここ、気に入ってくれるといいな。……部屋は、もちろん別だけど」

桐谷が微笑むと、悠真は小さくうなずいてスーツケースを引き入れた。
彼が部屋を出ると、ようやくひとりになれた。

(……水着に、着替えなきゃ)

ベッドの上にトランクを広げ、準備してきた荷物をひとつひとつ取り出して並べる。
まずはインナー。
梨乃と選んだ、ベージュのシームレスブラとショーツのセット。ストラップは透明に付け替えてある。

(目立たないし、胸のラインも自然に……大丈夫、大丈夫)

ブラをそっと手に取り、シャツワンピースの前ボタンを外す。
中にはキャミソールと短めのペチコート──それらを脱ぐと、肌が急に心細くなる。
鏡の前に立ち、ゆっくりブラを着けた。

背中でホックを留めると、ふわっと胸元が包まれる。
カップの中には、少しだけ補整用のパッドが入っている。押しつけすぎず、自然に丸みを作ってくれる。

ショーツはお揃いのシームレス。ウエストで浮かないよう、しっかりとフィットさせて履く。
(本当に、女の子みたい……)

手足は出発前に丁寧に処理してある。脇や腕、脚のうぶ毛もない。
でも、どこか落ち着かない。
女の子の肌として、ちゃんと見えるだろうか──

続いて、選んだのはラベンダーブルーのタンキニタイプの水着。
上は胸元にフリルが重なり、下はスカート付きで太ももをさりげなく隠してくれる。

上をかぶって着ると、フリルがやさしく胸に重なった。
両脇のストラップを肩にかけ、鏡の前で整える。
パッドが押されて、ふわっとした丸みがシャツの下とは違ってはっきりと浮かぶ。

下のスカートはウエストにゴム。ショーツのラインが出ないよう気を付けながら、そっと履く。

最後に、薄手のシースルーパーカーを羽織って、日差し対策。
脚にはベージュのサンダルを履いた。

着替え終わって、全身を鏡に映してみる。

(……女の子として、ビーチに行く。……僕が、こんな姿で……)

心臓が早くなる。ドアノブに手をかけたとき、手のひらが汗ばんでいた。
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