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第26章:鏡の中の私
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街へ向かう道中、悠真の心はずっとざわついていた。
桐谷と腕を組んで歩くたびに、自分が“女の子として見られている”ことが実感として迫ってくる。
観光客の多い通りに出ると、リゾートワンピースやビーチドレスが並ぶ店が増え、
ふたりが入ったのは、明るい照明のセレクトショップだった。
「見て、これ可愛くない?」
桐谷が手に取ったのは、淡いブルーのノースリーブワンピース。
胸元がゆるく開いていて、腰にはリボンベルト。
少女すぎず、でも女の子らしい。
「ちょっと試着してみない?」
「……え、ここで?……うん……」
視線を気にしながら、店員に案内されて試着室へ向かう。
薄いカーテンを閉めて、心臓がどくどくと波打つ。
(……私、こうやって服を脱いで、着替えて……女の子のワンピースを着るって)
慎重にブラウスを脱ぎ、フレアスカートを外す。
下着は、淡いピンクのブラとショーツ。
お腹周りはソフトガードルで整えてある。
ワンピースを頭からかぶり、肩紐を整えて、
ウエストリボンを結ぶと、柔らかく生地が体に沿った。
鏡の中に映ったのは──
ふんわりとした髪、優しくまとめられたメイク、
少し恥じらった顔と、青いワンピースを着た“女の子”だった。
「……すごい……女の子みたい……じゃなくて、女の子だ……」
そのままカーテンを少し開けると、外にいた桐谷がふっと笑った。
「……すごく綺麗。ちょっと惚れ直しそう」
悠真は顔を真っ赤にしながら、裾を掴んでうつむいた。
「それ、買おう。俺からのプレゼント。今日、それ着て歩こう?」
「……いいの……?」
「もちろん。君が着てる姿、もっとたくさん見たい」
そのあともふたりは、アクセサリーショップや靴屋を巡った。
シェルモチーフのイヤリングや、ビジューのついたサンダル、
そして、日傘や香水も──桐谷はひとつひとつ、丁寧に選んでくれた。
人目を気にする自分と、それでも嬉しくなってしまう自分。
その間で揺れながらも、悠真はどこかふわふわとした気持ちで歩いていた。
(見られてる……でも、今だけは──)
桐谷と腕を組んで歩くたびに、自分が“女の子として見られている”ことが実感として迫ってくる。
観光客の多い通りに出ると、リゾートワンピースやビーチドレスが並ぶ店が増え、
ふたりが入ったのは、明るい照明のセレクトショップだった。
「見て、これ可愛くない?」
桐谷が手に取ったのは、淡いブルーのノースリーブワンピース。
胸元がゆるく開いていて、腰にはリボンベルト。
少女すぎず、でも女の子らしい。
「ちょっと試着してみない?」
「……え、ここで?……うん……」
視線を気にしながら、店員に案内されて試着室へ向かう。
薄いカーテンを閉めて、心臓がどくどくと波打つ。
(……私、こうやって服を脱いで、着替えて……女の子のワンピースを着るって)
慎重にブラウスを脱ぎ、フレアスカートを外す。
下着は、淡いピンクのブラとショーツ。
お腹周りはソフトガードルで整えてある。
ワンピースを頭からかぶり、肩紐を整えて、
ウエストリボンを結ぶと、柔らかく生地が体に沿った。
鏡の中に映ったのは──
ふんわりとした髪、優しくまとめられたメイク、
少し恥じらった顔と、青いワンピースを着た“女の子”だった。
「……すごい……女の子みたい……じゃなくて、女の子だ……」
そのままカーテンを少し開けると、外にいた桐谷がふっと笑った。
「……すごく綺麗。ちょっと惚れ直しそう」
悠真は顔を真っ赤にしながら、裾を掴んでうつむいた。
「それ、買おう。俺からのプレゼント。今日、それ着て歩こう?」
「……いいの……?」
「もちろん。君が着てる姿、もっとたくさん見たい」
そのあともふたりは、アクセサリーショップや靴屋を巡った。
シェルモチーフのイヤリングや、ビジューのついたサンダル、
そして、日傘や香水も──桐谷はひとつひとつ、丁寧に選んでくれた。
人目を気にする自分と、それでも嬉しくなってしまう自分。
その間で揺れながらも、悠真はどこかふわふわとした気持ちで歩いていた。
(見られてる……でも、今だけは──)
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