ナース服の中の僕

なな

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第25章:朝の光にとける肌

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窓から差し込む陽光が、レースのカーテン越しに部屋の空気を柔らかく染めていた。
白いシーツの上、悠真はゆっくりと目を覚ます。
桐谷の部屋──彼の隣で、一夜を過ごしたわけではない。
けれど、昨夜のキスの感触が、まだ唇に残っているようで、胸がそっと疼いた。

パウダールームで髪を整えながら、鏡に映る自分を見つめる。
レースのキャミソールと、薄手のシルクガウン。
昨夜、桐谷に「明日の朝食はここで食べよう」と言われていて、
「リラックスできる格好で」とも言われた。

けれど、それでも“女の子として綺麗でいたい”という気持ちは、もう抑えられなかった。

(メイクはほんのりでいい……でも、リップは少しだけ艶を足して……)

髪をゆるくまとめて、イヤリングも小さなものを一つ。
シルクの裾が揺れるたび、太ももにふれる感触が心をざわつかせる。

ノックの音に応じてドアを開けると、桐谷が朝食のワゴンを運び込んでいた。

「おはよう、……その格好、すごく似合ってるね」

「……っ、あの、ラフすぎたらどうしようって……」

「いや、綺麗。むしろ、こういう姿……見れてよかったって思う」

悠真は顔を赤くして、ガウンの裾をぎゅっと掴んだ。

テーブルに並ぶプレート──クロワッサンやフルーツ、エッグベネディクト。
窓辺の席に並んで座ると、会話は自然と昨夜のことに触れそうで、触れない。

「今日は何する?」
「ビーチ以外なら……ちょっと、ショッピング?」

「じゃあ、街のほうに出ようか。服、選んでよ。俺、君が着てるの見るの、ほんと好きなんだ」

(“君”って、どっちの僕を見て言ってるの……?)

そんな迷いを一瞬抱きながらも、どこか嬉しくて、思わず頷いていた。

午前中、部屋に戻ったあと──

鏡の前で、日中の服を選ぶ。
ノースリーブの白いブラウスに、花柄のフレアスカート。
膝がしっかり出る丈に、少し躊躇うけれど、
「脚、綺麗だよ」って言われたのが頭をよぎって、結局そのまま着た。

ブラをしっかりつけて、ストッキングを履き、靴はオープントゥのウェッジソール。

着替えを終えてリビングに戻ると、桐谷がソファから立ち上がり、
ふいにスカートの裾をそっと直してくれた。

「風でめくれてた。……気をつけて」

その仕草に、悠真は何も言えなくて、ただ喉の奥が熱くなる。
“女の子として扱われる”ことに、もう抗う理由が見つからない。
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