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第十九章:仕草の矯正、女になる動き
「まず、座るとき。足はきちんと揃えて、膝を閉じる。内腿に力を入れて……そう、スカートが自然に脚を覆うように」
会議室の片隅。休日の出勤日を利用して、市川と沙織が本格的な“女性仕草の指導”に乗り出していた。
陸は、ベージュの膝下スカートに白いブラウス、そして透け感のあるベージュストッキングという“おとなしめ”なコーディネートで着席していたが――。
「ん……っ」
内腿に力を入れ続けるのは思ったより難しい。脚を閉じているつもりでも、ほんの少しの油断で膝が開いてしまう。
「ダメ。今、5ミリ開いた。……それは“男の膝”」
市川が鋭く指摘する。
「女の子は“見られてる”のが前提。どんなときでも、油断してはダメよ」
「……ご、ごめんなさい……」
ブラウスの胸元に、うっすら浮かぶレース。レオタードのように張り付くコルセットの締めつけ。身にまとっているすべてが“女”であることを思い出させ、陸は改めて背筋を正した。
昼食の練習。
次は、カフェテーブルでの所作。
「ナプキンを膝に置いて。箸やスプーンを取るとき、肘を張らない。手首を柔らかく使って」
沙織が、スープを飲む真似を見せながら言う。
「それと、“口元”ね。食べるときに、音を立てたり大きく開けたりしない。口紅を汚さないようにスプーンを使うのもコツ」
陸は教えられるまま、ゆっくりスプーンを持ち、丁寧に唇を添える。
(……なんでこんなに緊張するんだろう)
誰かに見られているような感覚。
いや、実際に見られている。市川の目、沙織の目、そして……部屋の隅で記録をつけている優斗の目。
(スカートの中、ちゃんと見えないように……脚を揃えて……)
そんなことを気にする自分が、もう“男ではない”と、陸はぼんやり気づいていた。
午後:録画チェック。
「これが、今日の座り姿。……ほら、膝、また少し開いてる」
市川が録画映像を一時停止する。画面には、自分の姿。
女として見えるはずのスカートの隙間から、ほんの一瞬、レースのショーツが覗いていた。
「だめ……恥ずかしい……」
「そう。恥ずかしいでしょ? でもそれが、“女としての自覚”につながるの。二度と油断しないようになる」
沙織が優しく言う。
「だから、こうやって“見られる訓練”を重ねて、身体に叩き込んでいくのよ」
夜。更衣ロッカー。
着替えようとしたところに、優斗がそっと現れる。
「……陸ちゃん。今日は、ちゃんと“女の子”だったよ」
「……そう、かな」
「うん。でもね、動きじゃなくて、呼吸まで変わってきてる。ブラの下で、浅く息を吸って、鎖骨が動く。その仕草が……すごく綺麗だった」
「……見てたの……?」
「もちろん。君は今、会社の“看板”になる予定なんだから」
優斗は、そっと陸の髪を撫でた。
「次は、“声”のレッスンをしようか。もっと柔らかく、甘く、耳に届く話し方。男の声じゃ通らない空間で、ちゃんと通じるように」
「……はい、お願いします……」
陸の声はすでに、ほんの少しだけ、上ずり気味の“女声”になっていた。
会議室の片隅。休日の出勤日を利用して、市川と沙織が本格的な“女性仕草の指導”に乗り出していた。
陸は、ベージュの膝下スカートに白いブラウス、そして透け感のあるベージュストッキングという“おとなしめ”なコーディネートで着席していたが――。
「ん……っ」
内腿に力を入れ続けるのは思ったより難しい。脚を閉じているつもりでも、ほんの少しの油断で膝が開いてしまう。
「ダメ。今、5ミリ開いた。……それは“男の膝”」
市川が鋭く指摘する。
「女の子は“見られてる”のが前提。どんなときでも、油断してはダメよ」
「……ご、ごめんなさい……」
ブラウスの胸元に、うっすら浮かぶレース。レオタードのように張り付くコルセットの締めつけ。身にまとっているすべてが“女”であることを思い出させ、陸は改めて背筋を正した。
昼食の練習。
次は、カフェテーブルでの所作。
「ナプキンを膝に置いて。箸やスプーンを取るとき、肘を張らない。手首を柔らかく使って」
沙織が、スープを飲む真似を見せながら言う。
「それと、“口元”ね。食べるときに、音を立てたり大きく開けたりしない。口紅を汚さないようにスプーンを使うのもコツ」
陸は教えられるまま、ゆっくりスプーンを持ち、丁寧に唇を添える。
(……なんでこんなに緊張するんだろう)
誰かに見られているような感覚。
いや、実際に見られている。市川の目、沙織の目、そして……部屋の隅で記録をつけている優斗の目。
(スカートの中、ちゃんと見えないように……脚を揃えて……)
そんなことを気にする自分が、もう“男ではない”と、陸はぼんやり気づいていた。
午後:録画チェック。
「これが、今日の座り姿。……ほら、膝、また少し開いてる」
市川が録画映像を一時停止する。画面には、自分の姿。
女として見えるはずのスカートの隙間から、ほんの一瞬、レースのショーツが覗いていた。
「だめ……恥ずかしい……」
「そう。恥ずかしいでしょ? でもそれが、“女としての自覚”につながるの。二度と油断しないようになる」
沙織が優しく言う。
「だから、こうやって“見られる訓練”を重ねて、身体に叩き込んでいくのよ」
夜。更衣ロッカー。
着替えようとしたところに、優斗がそっと現れる。
「……陸ちゃん。今日は、ちゃんと“女の子”だったよ」
「……そう、かな」
「うん。でもね、動きじゃなくて、呼吸まで変わってきてる。ブラの下で、浅く息を吸って、鎖骨が動く。その仕草が……すごく綺麗だった」
「……見てたの……?」
「もちろん。君は今、会社の“看板”になる予定なんだから」
優斗は、そっと陸の髪を撫でた。
「次は、“声”のレッスンをしようか。もっと柔らかく、甘く、耳に届く話し方。男の声じゃ通らない空間で、ちゃんと通じるように」
「……はい、お願いします……」
陸の声はすでに、ほんの少しだけ、上ずり気味の“女声”になっていた。
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